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引っ越しトラック

昭和45年(1970年)、父の仕事の関係で転勤になり、引っ越しをしました。
引っ越しでは、会社が用意してくれたトラックを利用しました。
その時のトラックが凄いものでした。
(※上の映像ではありません)

そのトラックというのは、二階建てになっていて、2階には、引っ越す方の家族が寛げるように3人は並んで座れるソファーのようなシートがありました。
シートの後ろには、ベッドスペースもありました。
それで、荷台の方では、自家用車がスッポリ入るのです。
その頃は父は、セダンのファミリーカーに乗っていたのですが、決して小さくはありません。
家財道具(母の嫁入りダンス、ステレオ、冷蔵庫、洗濯機、テレビなど)と、車が一緒に積まれました。

当時で、九州に3台しかないと言ってた、その車は、大き過ぎたのかも知れません。
家にやってきたトラックは、6m道路の角が曲がれず、四苦八苦していました。

今、探してみると全国に一台という、「アート引っ越しセンター」の“ファミリーサルーン”という前の部分かバスで、後ろがコンテナというトラックがあるそうです。
それが一番似ているかもしれません。

ファミリーサルーン

車まで、乗せずに乗っていけば良いのに、そうはせず、何故車を乗せて、引っ越さないといけないかと言うと、
まるで出征のように会社の人達が、駅まで送りに来て、万歳をする習わしがあったからです。
そういえば、昔は、新婚旅行もそうやって見送りがあっていましたね!

もちろん、我が家もそうやって送られました。
周りの人達の視線を感じながら見送りに来てくれた人達が、
「転勤おめでとう」と、万歳してくれました。
列車が出発して、手を振るまではいいのですが、その後の車内の雰囲気を感じながらの列車の旅は辛いものでした。

もちろん、到着すると、今度は新しい会社の方のお迎えが来ています。
車で、社宅まで送ってくれました。
父は偉い人ではありません。
一、会社員で、役職が高い訳でもありません。
ですから、一生で一番華やかな接待を受けた時だと思います。

しかし、その社宅を見た瞬間、信じられないとしか言いようがないボロボロの建物で、ビックリしました。
親切にも、会社の人が、掃除もしてくれていましたが、まるで、明治時代にタイムスリップしたようでした。その社宅の記事もあります。

そこへ、九州で3台しかないおっきなトラックがやって来ました。
近所の人達も何事かと、ワイワイ集まって来て、お祭り騒ぎです。
トラックの後方扉が開くと車が出て来て、みんな歓声をあげ、 拍手をしました。
恥ずかしい事に、何が後入っているのかみんな押すなの大渋滞になり、家財道具をジロジロ見られてしまいました💧
そうして、荷物を下ろしたトラックは帰って行きました。

誰も彼も、方言で喋っているので、同じ九州なのに大分から来た者にはまるで外国に来たように言葉がわかりませんでしたが、
どうにか何を言っているのかわかりました。

「凄い!あんたんち金持ちじゃなかと⁉️」
「お嬢さまやーん」

金持ちだったら、社宅に入ったりしません❗️


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