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蚘事の䞭で映画、ゲヌム、挫画などのネタバレが含たれおいるかもしれたせん。気になるかたは泚意しおお読みください。
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🎬aftersun/アフタヌサン 感想

※3,600字になりたした。

20幎前、トルコでの旅行を楜しむスコットランド人の父ず嚘の䜕気ない旅。

ずにかくラストの切なさにあふれた䜙韻が匷く印象に残る映画でした。

しかし正盎に蚀うず、ずおもわかりにくい映画であるようにも思いたす。
父嚘の旅の様子は淡々ず描かれおいお、特にこれずいった事件は起こりたせん。
その映画ずしおの描写に二人が録画したホヌムビデオの映像が挟たれたす。

この映画の描写を絶賛する感想も少なくありたせんが、それはおそらくラストを芋お耇数回鑑賞した方の感想ではないか、ず思いたす。
この感想は1回しか芳おいない䞊で曞いおいたすから、映像や挔技に仕蟌たれおいたであろう芳客にさたざたな感情を抱かせる现かい描写にはあたり気づいおいたせん。
逆に蚀えば、この映画はラストを知った䞊で耇数回芳ないずちゃんずした理解に蟿り着くこずがずおもむずかしい䜜品に仕䞊げられおいるずも思いたした。

初芋の正盎な感想ずしおは、ラスト近くたではひどく退屈でした。

父カラムが端的にはわからない悩みを抱えおいるこずは圓初から無邪気な゜フィず察比しお描いおいる郚分も少なくないので比范的わかりやすいのですが、それ以倖は劻ずの離婚のこず以倖ははっきりしたせん。
䟋えば圓初カラムがなぜ右手を骚折しおギプスをはめおいる蚭定なのかも、それが䜕かのヒントなのかず芳客に想像させたすが、最埌たではっきりずはわかりたせん。
カラムがビデオの画像で逆光ゆえにシル゚ットになったり、ビデオを止めたあずテレビの画面に映り蟌んだりず现かい映像ずしおの描き方がされおいたすが、それの意図するものも明確にはわかりたせんでした。

しかし、ラスト近くになっおいろいろなヒントがわかりやすくなるこずで、やっず父カラムがこの旅の間どんな心境だったのかを芳客偎が積極的に想像するようになりたす。

たた、゜フィがレズビアンずしおパヌトナヌず赀ちゃんを匕き取り育おながら暮らしおいるこずもわかり、この映画の構造が少しず぀わかっおきたした。
(珟圚の゜フィが、その旅で買った「䞀぀ひず぀にドラマがある」ペルシャ絚毯を今でも敷いおいお、䞀人ひずりの人生にドラマがあるこずを暗瀺しおいるのはヒントずしおはわかりやすかったです)

たず、この映画そのものが゜フィが旅から20幎経っお圓時の父ず同じ幎霢になり、旅を蚘録したビデオの映像ず自分の蚘憶ず擊り合わせお父カラムを思い出しおいるずいう、゜フィの䞻芳的な蚭定であるこずがわかっおきたす。
ただそれには疑問も残りたす。
映画の䞭でカラムの描写の䞭には゜フィが知らないこずやカラムの心理的なものもたくさん描かれおいたす。
しかし、次第にそんなカラム䞻芳の描写も実は゜フィが今想像しおいるこずで、自分の知らないずころでカラムはそんな颚に悩んでいたのではないかずいう゜フィの想像の具珟化のように思えおきたした。

特に今レズビアンでパヌトナヌず暮らしおいる事実があるがゆえに゜フィが父が自殺たでしおしたった理由を想像する䞊で、父がゲむたたはバむセクシャルだったのではないかずいうセクシャリティぞの悩みに䞻芳的な想像を巡らせおいるこずは圓然あり埗るこずだず思いたす。
途䞭唐突にマむケルがバむセクシャルであるこずを匂わせる描写や、クむヌンの"Under Pressure"が象城的に流れカラムが螊るシヌンのこずを考えるず、映画にセクシャリティに関しお描いた郚分があるこずは間違いないず芳客は゜フィずずもに想像するこずができたす。

20幎前ずいう時代背景を考えるず、同性愛者に察しおは、今では瀟䌚的に先進的ず思われるペヌロッパでも今ほど寛容ではなかったのかもしれたせん。
特にカラムたちがスコットランド、むギリスでも田舎での暮らしだったずしたら、保守的な考え方が支配的だったずいう想像はあながち間違いではないように思いたす。
もしかしたら、劻ずの離婚の背景にも自身が同性愛者であるこずに原因があったかもしれたせん。たずえ劻は蚱しおも劻の家族はカラムを蚱さなかったのかもしれない。
劻ずの離婚は゜フィずの別居も意味しおいお、自分が心から愛しおいる゜フィずこんな旅のようなかたちでしか䌚うこずができない珟実は、カラムを少しず぀削っおいったのかもしれたせん。
たた普通の日々の生掻がひずりがっちずいう寂しさは、同性愛者云々は別ずしおも人の心を蝕んでいくもののように思いたす。

わかりにくいシヌンですが、カラムの誕生日に゜フィがサプラむズで芳光客たちみんなで歌を歌うシヌンでカラムは少なくずも喜んではいたせんでした。
その埌䞀人で泣いおいる背䞭が描かれおいお、そこには゜フィに本圓の自分の姿を芋せるこずなど蚱されない、理解しおもらうこずなどかなわない悲しみず、い぀たでも゜フィを芋守っお生きおいける自信がない虚しさ、゜フィをどんなに愛しおいおも自分が父ずしおふさわしい人間ではないず思っおいる自己吊定が衚珟されおいるように思いたした。
このシヌンは䞀芋カラムの䞻芳に芋えるのですが、実は゜フィがあの埌父は泣いおいたのではないかずいう想像に至った䞊での描写だず思えたした。
珟代になり、瀟䌚的な理解もありパヌトナヌず堂々ず暮らしおいる゜フィが圓時の父が同性愛者ずしお孀独に悩んでいた苊悩を想像するのは自然な流れのように思いたした。

ただ、それもカラムの悩みの䞀端でしかない可胜性も残されたす。
劇䞭で重芁な蚀葉に聞こえる「生きたい堎所で生きる、なりたい人間になれ、時間はある」ずいう蚀葉を圓時の同性愛者の悩みだけの蚀葉ず取るのかそれだけで終わらせおしたうのも想像力䞍足のように思えおきたす。
「堎所」ずいう単語が瀺す堎所に囚われた生掻が意味するもの、先に曞きたしたが、郜垂ず田舎の同性愛者に察する寛容性の枩床差はあるように思いたすから、それを意味しおいたのかもしれたせんが、もっず違うカラムが䜏んでいるコミュニティの独特の地域的な閉塞感そんなものもあったのかもしれたせん。
これは、郜垂だず倚様性に察しお寛容ゆえにあたり気になりたせんが、日本でも地方に行けば土俗的なコミュニティのルヌルや慣習、そしおそれから倖れた人に察する「村八分」に近い扱いなどは珟代でも実際に存圚しおいるように思われたす。
カラムが䜕かそんなコミュニティから疎倖感を持たざるを埗なくなった䜕かがあったのではないかそんな背景も想像するこずもできたした。

映画党䜓ずしおは、やはり゜フィが父芪ずいう、芪子ず蚀っおも別人栌の人間に察しお、「蚘憶」ず「想像」ずいう䞻芳でその人に思いを巡らせる、過去には理解し助けるこずのできなかったこずぞの悔恚ず別れた人に思いを巡らせるずいうやさしい気持ちに満ちた映画のように思いたす。
そう思うずこの映画は、゜フィずいう䞀人の人間が旅の圓時の父ず同じ幎霢になるずいうこずをきっかけにしお、圓時の父の具䜓的にはわからなかった事実や心情を理解しようずする、それが自分自身が生きおいく䞊で必芁な他者ぞの感情や理解、そしお自分自身の生き方ぞの肯定感を獲埗しおいく物語のように思いたす。
人間は幎霢や環境の倉化で過去に理解できなかった他者の事実を想像する力があるず思いたす。
それによっお人は過去の他者に察しおやさしい気持ちを抱いたり怒りなども蚱したりしお自分の生きる糧にする力があるのではないかず思いたす。
この映画が、そんな以倖ず誰にでもある"ある時点になったずきの過去の他者に察する理解"ずいう、人が人らしい感情を厚くし自分自身も救枈しおいくずいう普遍性のあるテヌマを描いおいるずしたら、難解ず思える映画そのものの評䟡はかなり倉わるように思いたした。

ただ、これは客芳的で個人的な意芋ずしお読んでいただきたいのですが、シャヌロット・りェルズ監督が゜フィ䞻芳の「蚘憶」ず「想像」による人間が持ち埗る他者ぞの想像力の倧切さずその人の可胜性を瀺す意図はよくわかりたすし、最終的な結論も芳客自身のそれぞれの経隓から導き出される他者ぞの想像力にほがすべおを委ねたこずもわかりたす。
しかし、その結論の出し方を高く評䟡するか吊かは、淡々ずし過ぎおいるストヌリヌ展開ずあたりにもわかりにくい现かいヒントのばら撒き方が混圚する構成ゆえに鑑賞埌の賛吊も分かれるずころだず思いたす。
説明的でわかりやすい䞻匵の匷い具䜓的な描写を排陀し、芳客がそれぞれに感じるやさしく切ない感芚にすべおを委ねる手法は、䞀぀間違えるず䜕床芳おも芳客個人それぞれがなかなか映画ぞの理解には至らず、結果映画の描写を䜜り手のあざずさずしか取られかねない危険な偎面もあるように思いたした。

ただ若いシャヌロット・りェルズ監督が次の䜜品でどんな映画を䜜るのか
今埌の監督䜜品によっおも、この映画自䜓の評䟡自䜓がいろいろな方向に倉わっおいくのではないか
いい意味での可胜性を感じたした。

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