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🎬戦争と女の顔 少しネタバレ感想

第二次世界大戦独ソ戦後間もないレニングラードを舞台に、二人の元女性兵士の戦後を淡々と描く。

映画では戦争描写は全くなく、戦後のソ連の軍病院や生活の姿が静かに描かれている。

「のっぽ」とあだ名で呼ばれる看護師のイーヤのPTSD、戦友のマーシャの不妊などは苛烈を極め女性も戦場で戦った独ソ戦の名残りを随所にあらわしている。
戦争を始める行為には"男性"性が色濃くにじんでいて、女性への一方的な性行為に共通するものがある。
映画は戦争を強い男性性になぞらえ、それに翻弄される女性の姿を描いているように思えた。

イーヤとマーシャの行動はときどき衝動的で意味のないもののように思えるのだが、心や体に受けた傷の後遺症だと思うと痛々しくなる。
マーシャが前線でどんな生き方をしていたのかは最後まで観ないとわからないのだが、独ソ戦においてソ連側でマーシャと同じようにして生き延びた女性たちがたくさんいたことをうかがわせる。

マーシャとイーヤが最後に決断した生き方が当時のソ連で受け入れられたのだろうか?という疑問と不安は払拭できないし、妊娠・出産という同性同士ではどうにもならない問題を抱え、どこかで男性を受け入れないと成り立たない二人の関係性であるとしても、女性と女性の愛に二人が向き合い幸せを感じる姿には荒廃した戦後にわずかな望みが漂っていた。

戦争で四肢麻痺になり安楽死を望む戦争の"英雄"の夫婦の姿は男女関係なく生々しく戦争の傷を描き出していて、いつまでも心に残る。

終始赤茶色の瓦礫のような背景なのだが、そこに鮮やかな緑のさし色が映える映像の美しさは印象に残った。

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