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🎬葛城事件 ネタバレ感想

映画で起こる事件は、すべて父親の葛城清(三浦友和)の独りよがりな人生観が引き起こした出来事だと思う。

清は昭和の男にありがちな「男」とはこうあるべきという狭い視野でしかものを考えられない人間。
清は親から金物屋を継いでから、まともに社会に出たこともないので社会的な付き合い方も知らない。
毎日家から同じ道を通勤し、金物屋の奥からわずかな隙間で見える道だけが彼の世界観を作り上げていて、そこにまともな社会性など介在する余地などない。

男は一家の中でこうあるべき、妻である女はこうあるべき、男の子どもたちはこうあるべき、それが幸せという自分の固定観念を生身の家族に押し付け続ける。

子どもたちに共感することもなければ、やさしく接することもない。
きびしく育てて大学を出しエリートになれれば、自分が口ずさんむ「薔薇の歌」のような薔薇色の人生が待っていると勝手に思い込んでいる。
子どもへの愛情はミカンの木に象徴されるようになくはないのだろうが、清の行動は自分が出来なかったことを子どもで実現させたいだけの単なる親のエゴ、自己満足にしか思えない。結局子どもたちは自分のエゴを満足させる道具でしかない。
そんな父を恐れて長男は父親に頼ったり相談することもできないし、次男はやさしくされたことがないので、人間としてのまともなやさしさや思いやりすら持てずに育ってしまう。

清は最後まで自己実現できた証のマイホームにこだわり続ける。それが自分の全てであり、家族を幸せにすることだと信じて疑っていない。
表には出てこないが、清も親からきびしく育てられ、やさしくされたことがないのではないかと思った。
やさしい親、やさしい夫という存在が全く想像できず、自分の間違いに最後まで気づかない清のような昭和の親とそんな人間に育てられ、まともな親になれない人は意外と多いのかもしれない。

三浦友和の毒親演技は生々しすぎるほどで見応え十分。

映画として語り部的存在のはずの田中麗奈が、最後まで何者なのかわからず、実は1番薄気味悪かった。
彼女の存在で映画は完全にホラーに。

映画としては、展開に『復讐するは我にあり』のような犯罪家族劇としての匂いがあったり、キャストの演技力も高く評価できるものの、久しぶりに観た後味の悪い映画を簡単にはおすすめできない感じ。

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