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奇声を発する寿司屋

2023 3/4(土)

これまで、新作落語を600本近く作って発表してきた。
その殆どが、2015年より始めた、実話をネタにするドキュメンタリー落語である。今回紹介する演目は「ワオの大将」という噺だ。

「ワオの大将」 2015年10/19・ねりま落語ライブにて初演

あらすじ

今から35年以上前、俺が小学生の頃の話だ。
地元、神戸の鈴蘭台駅にあった寿司屋「やぶ鮨」
ここの大将が、一風変わっていた。
いや、二風位は変わっていた。
大将、なぜか、寿司を出す度に、毎回「ワオ!」「ワオー!」「ワッオ!」と意味不明な奇声を発するのだ。
しかも、かなりの大声。
初めて来店した客は、まず、ビビる。
突然、怒鳴られたのかとさえ思う。
だが、不思議なことに、寿司、三貫目位から、
「ワオ!」に慣れて来る。
なんか、ワオ!って楽しいなぁ、みたいな雰囲気になって来る。
そして、段々、この奇声が心地よくなって来て、気づけば「ワオ!」を聞きたさに、次のネタを頼んでしまう。
すっかり、この大将のキャラクターが好きになってしまったお客さんは、また、あの「ワオ!」が聞きたくて店にやって来る。
「寿司を食べに行くんじゃない、大将の奇声を聞きに行くんだ!」

残念ながら、お店は随分前に閉店したようだが、
あの大将がご存命ならお会いしたい。
そして今更だけど聞きたい。
「大将、あの奇声は、一体なんだったんですか?」

という訳で、今回は三遊亭はらしょうの演目紹介、
「ワオの大将」でした。
真実は落語より奇なり。

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