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衣替えには気合いが必要

2022 11/10(木)
 
しようしようと思いながら、寒い寒いと感じながら、面倒くさい面倒くさいとごろごろしながら、まだ暑い日もあるだろうから、などと本格的な冬に向けての衣替えを後回しにしていた。
俺の部屋にはタンスはなく、五段積みの衣装ケースがある。
五段の内、一段は着物専用、二段は、下着も含む、私服専用、あとの二段は捨てられないものをいったん収納する物入れになっている。
この中を開けると、なかなか面白い。
懐かしい写真の数々、年賀状の数々、随分前のガラケー、使わなくなったウィンドウズ7,聴かないないCD、カセット、もう観れないVHS、8ミリビデオテープ、電気えんぴつ削り機、などなど、骨董屋のようで、一度見始めると、あっという間に時間がたってしまう。
ほぉ、なんなんだこのカセットは?
昔、神戸の中華街で買った、中国の知らない歌手のカセットが出てきた。
当時、演劇をやっていた俺は、自分の劇団で使う変わった音楽を探していて、これを買ったのだった、ああ懐かしいな~
いやいや、こんなことをしている場合ではない。
俺は衣替えをしなくてはいけないのだ。
今、この衣装ケースの一段の中には、夏物がぎっしりと入っている。
10月位から寒くなってきているのに現在まで過ごせたのは、この中に、
ヒートテックのシャツやズボンが数枚、トレーナー数枚、長袖シャツ数枚、が紛れ込んでいたからである。
だが、これだと冬は越えられない。洗濯が間に合わないからだ。
必ず衣替えをしなければいけない。
冬物がしまってあるのは、クローゼットの中にある衣装ケースだ。
ええい!と気合いを入れれば、あっという間に終わるのだが、このクローゼットの中が、非常に複雑な構造になっている。
というのも、以前、住んでいたアパートには押し入れがあった為、収納が余裕だったが、今の家にはクローゼットしかなく、そこに無理やり物を入れているのだ。
スーツ一式、夏布団、冬布団、こたつ布団、マットレス、キャリーケース、通販で買った訳の分からない物、その他、なんだか分からない沢山の物、
それらの一番下に土台のように、冬物の入った衣装ケースが置いてある。
つまり、すべての物をクローゼットから出さなければならない。
ええい!と気合いを入れたとしても、土台の衣装ケースに辿り着くまでの道のりは長く、もし、途中でやめてしまったら、部屋の中が散らかってしまう為、途中でやめていいという選択肢はなく、始めたら最後までやらないと行けない、衣替えという死のゲームが始まるのである。
だが、いつかはやらくてはいけない。
そんなことを一か月くらい思いながら、今日に至る。
こうなったら、先に進むには、衣替え自体を楽しいことに変えていくしかない。楽しい気分にさえなれば、ええい!と気合いが入るはずだ。
そうだ、ここは音楽をかけよう。
何かテンションがあがりそうな曲を探そう。
そういえばさっき、物入れの中に、中国の知らない歌手のカセットテープがあったな、あれをかけてみよう。
あれっ、ラジカセがない、どこにいった?ないと聴けないじゃないか。
まずは、ラジカセを探そう。
衣替えには、もう少しかかりそうである。
 
 

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