見出し画像

提案営業を個人の力量に依存しない-1

提案営業とは

いつまで営業に人が介在するかという論点は別として、人的営業で必要なのは「提案ができる営業マン」の育成です。
そうでなければ、いつまで立っても価格でしか勝負できない営業マンから脱却できません。
では、「提案できる営業マン」とはどのような営業マンなのでしょうか。
わかりやすい例としてマンション販売の営業マンで見てみましょう。
お子さんを一人連れたご家族が賃貸マンションを探しにお店にいらっしゃいました。
様子を見ていると一人息子を非常にかわいがっており、来年小学校に入るとのこと。
「いちばん大切なのはお子様の教育に良い文教地区のマンションでは無いでしょうか」と提案する営業マン。
初老のご夫婦でお子さんも既に独立したご夫婦であれば、「買い物がしやすくお医者さんが近くにあるマンションはいかがですか」とお勧めする営業マン。
端的に言えば、「顧客の潜在的なニーズを把握しそれに対応する商品・サービスを提案することができる営業マン」と定義できます。

提案営業を個人に依存してもできない

では、このような営業マンをどうやって育成したら良いのでしょうか。
おそらく上記のような事例を上げて、お客様の情報を収集してそれに対応した商品サービスを提供しましょうという研修を行い、あとは個々人の努力にお任せとなるでしょう。
DX化と言う割には、先輩や他の人の良い点を見習ってコツコツと努力するという至って人的要素に依存することになります。
実は、この人的要素に依存することが提案できる営業マンの育成を阻んでいます。
ではどうするのか。
提案営業を仕組み化しデータベース(以下DB)を作り上げることが必要です。

提案営業の体系化

ここではまず、提案営業の体系を示したいと思います。
フェーズ1:収集情報の明確化
個人相手であれば収集すべき情報は少なくてすみますが、企業を相手とする組織営業などでは収集すべき情報は多岐にわたります。
まず必要なのは、収集すべき情報をリスト化することがスタートとなります。
収集すべき情報は、外部環境情報の他顧客の内部情報などが挙げられますが、詳細は別に説明します。
フェーズ2:情報と顧客ニーズのマッチングDB構築
収集した情報の影響で顧客はこのような状況になり、このようなニーズが発生するという顧客情報と顧客ニーズのマッチングDBを次に構築します。
例えば、電力コストが上がったことによりLEDが急速に普及したというのは、外部環境変化の影響で電力コストの削減という顧客ニーズが発生したというわかりやすい事例です。
このように情報をつかめばそれに対応する顧客ニーズが検索できるDBの構築を行うのですが、このDBを作成するためには、過去の成功事例を明文化するしか方法がありません。
暗黙知の形式知化ですが意外と難しいといえます。
なぜなら、営業マンはなぜそのネタが発生したのかという背景まではつかんでいないことが多いからです。
フェーズ3:収集情報と顧客ニーズの検証ヒアリング
フェーズ2でこのような状況下ではこのようなニーズ(又はお困り事)は発生しているというDBを構築しましたので、これを顧客ヒアリングにより検証することが必要です。
YESであれば、解決策の選定に進みますが、NOの場合は「何故か?」と質問し顧客の回答を必ず収集します。
そもそも顧客ニーズが発生していないのであれば、「フェーズ2:情報と顧客ニーズのマッチングDB」を修正しなければなりません。
しかし、実はもっと知りたいのは、顧客側で既に対応し既に問題が解決している場合その解決策です。
次のフェーズ4でも記載していますが、新しい提案策(解決策)を作ることは大変難しいので、顧客から新しい解決策を学ばせてもらうのは非常に有効といえます。
フェーズ4:提案策(解決策)のDB構築
対組織営業で一番難しいのは、実はこの解決策の立案です。
若い営業は製品知識も薄く、顧客ニーズまで聞き出せるもののそれを解決する手段を知りません。
また、一般的には簡単に解決できる提案はそう残っておらず、対応が難しい顧客ニーズが残っているといえます。
営業マン個々人に提案営業を任せるとこの段階で提案できるものがなく挫折します。
そうなると、営業マンが拾ってきた顧客ニーズに対して全社員で知恵を出し合う仕組みとそれをためて検索できるDBが必要となります。
フェーズ5提案の実施
ここまできたら提案を素早く行うだけとなります。
提案がNoであれば、フェーズ4に戻り解決策の再検討を行うこととなります。

今回は、提案営業の体系について整理しました。
次回以降、より具体的な内容に入ろうと思います。






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?