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ハナサカステップ解釈小説:『夏に咲く花』
本作は、企画「『ハナサカステップ』解釈小説対決」のために書かれたものです。これは、ぼっちぼろまるさんの曲「ハナサカステップ」をVRChatのフレンドさんたちと聴き、歌詞への解釈の違いを小説で表現し合う企画です。
ソーサツ・チエカさんの作品はこちら。
原曲MV(映像は解釈の対象としない):
夏に咲く花
雨の匂いにはもううんざりだ。
今日も一日、朝から雨が降りそうな曇り空が続いている。
明日はきっと、降水確率100%?
突然だが、俺は雨が好きだ。
梅雨時の今は、俺にとっては最高の季節といっても過言ではない。
このことを言うと、大概の人は変な顔をする。
濡れる。冷たい。風邪を引く。雨なんかのどこがいい?
彼らは、揃いも揃って同じようなことしか言わない。
何故彼らには、雨の尊さがわからないのだろう。
ぱらぱら降る小雨は、肌にしっとりと染み込んで、冷たくて気持ちがいい。
滝のような豪雨も、思い切って浴びてみると、心ま
きっとあなたの140字
桜
目覚めると病室だった。
また運び込まれたようだ。もう何度目か分からない。
開け放しの窓から桜の花びらが舞い込んできた。
ベッドの脇で眠る彼の頭に、ひらりと落ちる。
目を覚ますと彼は必ず傍にいてくれた。
桜が散る頃には、きっと私は――
花びらを彼の掌に置き、そっと包む。
ずっと傍にいるよ。
乾杯
「いらっしゃい」
月光の降り注ぐ庭。
小さなテーブルで一人、少年が微笑む。