はじめてなのに懐かしい場所 ージャワの山麓にてー
夕刻ようやく辿り着いたジャワの山麓の町
標高約700メートル
見晴らしのいいホテルに部屋をとる
着いた翌日、早朝から居室の窓や扉を開け放ち快い風をうける
もう正午も近い
あちこちのモスクから祈りの声が響いてくる
はじめて訪れた場所
それなのに なぜか懐かしい
あの人が生まれ、そして この世を去ったところだから
どの集落で生まれ、どのあたりで最後の日々を暮らし、どこで息を引きとり、どこに葬られたのか・・・
いまのわたしに もう知る手立てはない
しかし、この視界に収まるどこかの場所に きっとあるに違いないのだ
あてもなくさまよい歩こうと思った
でもきょうは、疲れたからだを休め 追憶に浸ることにしよう
せっかくの涼風をこのまま身に受けていたいから
この風のなかに あの人の匂いの痕跡を もはや感じとることができないとしても
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