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目が落ちた

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ふと考えたストーリーです。軽く読み流してください。
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目が落ちた_完結

左目が無くなって判った事はシンプルだ。
右目がある。

アンケート用紙の欄にはもちろんいいえに丸をつけた。

果たして死んだことのある人とは何なのだろうか。臨死体験ということだろうか。

この世には面白い体験をした人がたくさんいるが、私はまだ臨死体験した事のある人には会った事がない。

まあ、目を落とした人の事は聞いた事さえないからどっこいどっこいと言うところか。

審査他室に入り事情を話すと先生

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目が落ちた-2

目が落ちた契約社員の米倉三雄は市川市在住で築32年のアパートに住んでいる。職場が豊洲なので割と通勤時間は少なく、一人暮らしとしては特に不自由を感じていない。年齢は37才、彼女はネットで知り合った派遣社員の御手洗美恵。2人はどちらかと言うとインドア派であり、2人で会っている時にもお互いが携帯を見ている時間も長く、会話もSNSを介してと言うこともよくある。米倉の両親は千葉市で暮らしており、米倉が一生独

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目が落ちた

ある日、私の目が落ちた。淀んだ雲の空を写したアスファルトに落ちた私の左目は私を見ている。

痛みはなかった。

何故なんだろう。何か悪いものでも食べたのだろうか。それとも何か目が落ちる程の悪事でも働いたのだろうか。

特に身に覚えはない。

果たして、拾うべきか、このまま救急車でも呼ぶべきなのだろうか。どちらにしろ冷静な自分に我ながら恐ろしさを感じる。

人間味が薄い気がしたので取り敢えず感謝して

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