俳句の源流を歩く|酒折の歌⑤(全8回)
古事記にいう「酒折の宮」――― 二千年を隔てた現在では所在不明であるが、最有力とされる場所が、酒折駅近くにある。
その名も「酒折宮」。ヤマトタケルを主祭神とする神社で、その御神体は、焼津で命の窮地を救った火打嚢。伝承では、東国の造に任命された御火焼翁がここに留まり、この宮を中心として東国を開拓したという。
その日は雨であったが、春らしい優しい雨。境内の所々に咲く小さな花々を撫でるようにして、雨は参道を潤していた。
それにしても、清々しい場所。観光地らしさというものは