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「ジョジョって第何部がオススメ?」 への100%完璧な解答をつくる! (前編)


「ジョジョ読んでみたいんだけど、第何部がオススメ?」


最近、日常で”ジョジョ”という言葉を目にする機会が増えました。特に、鬼滅の刃の作者・吾峠呼世晴先生がジョジョ好きを公言してからは、”ジョジョ”がより身近になりました。

”ジョジョ”こと「ジョジョの奇妙な冒険」は、1986年に荒木飛呂彦先生が週刊少年ジャンプで連載を開始し、現在もウルトラジャンプで連載を続けている漫画です。

最大の特徴は、「”部”ごとに主人公が変わっていく」ということです。現在は第八部の連載中ですので、8人目の主人公ということになります。すでに130巻近く出版されているにも関わらず、ファンが飽きることなく読み続けられるのは、この”部”というシステムのおかげでもあります。

そして、”部”ごとにストーリーが完結しているので、どの”部”から読み始めても面白く、未読の方も手をつけやすい漫画です。


さて、そこで冒頭の質問です。初心者の方には第何部を薦めれば良いのでしょう?


自分が好きな”部”を薦めるというのも一つの手ですが、もし薦めた”部”が気に入ってもらえなかったら悲しいですよね。

一番いいのは「その人が気に入りそうな”部”を薦める」ということなのですが、読む前からどの”部”が気に入るかなんて分かりようがありません。


本当に?


その人がどの”部”が気に入るか、予想することはできないのでしょうか?

たとえば、その人が好きな漫画を聞いてみて、その漫画と同じような系統の”部”を薦めれば、高確率で気に入ってもらえるのではないでしょうか?



ここでは、ジョジョ各部を特徴ごとに分類し、有名な漫画と比較することで、
「〇〇が好きならジョジョ第△部も気に入ってもらえるはず!」
というような、『ジョジョオススメ表』を作っていこうと思います。




【第0章】 そもそもどうやって分類する? 〈基本四大構造〉


では、どのように漫画を分類すれば良いのでしょうか?

ここで、ジョジョ作者・荒木先生が書いた「荒木飛呂彦の漫画術」という本を見てみましょう。

本の冒頭で、漫画の「基本四大構造」について説明しています。

実際に漫画を描くとき、常に頭に入れておくべきこと、それは、僕が漫画の「基本四大構造」と呼ぶ図式です。
重要な順に上げていくと、
① 「キャラクター」
② 「ストーリー」
③ 「世界観」
④ 「テーマ」

ということになります。
この四つは、それぞれ独立して存在するのではなく、互いに深く影響を及ぼし合っています。読者の目に見えているのは絵ですが、その奥には「キャラクター」「ストーリー」「世界観」「テーマ」がそれぞれにつながり合って存在しているのです。(P47,48 一部省略)

そして、この四要素の『バランス』は漫画によって異なります。

例えば、

『こち亀』…「ストーリー」はほぼ無いが「キャラクター」の魅力が強い
『AKIRA』…「世界観」を中心に描いていて、「ストーリー」「キャラクター」の内面を描くことには、それほど重点が置かれていない。

という感じです

今回は、ジョジョの各部とその他の漫画について、この四要素のバランスを調べることで、特徴ごとに分類していこうと思います。


(注1)現時点で第八部は連載中ですので、すでに完結している第一部〜第七部までを対象に調べていきます。
(注2)なるべく客観的に評価しようと努めていますが、私の主観が含まれている部分もあります。あらかじめご了承ください。




【第1章】 キャラクター


「どんなキャラクターが魅力的なのか」を評価するのはとても難しいです。

ここで、また「荒木飛呂彦の漫画術」を見てみましょう。

人真似をせず、なおかつ魅力的なキャラクターをどう作れば良いのでしょうか。
この時に一番大事なのは「動機」です。主人公はなにをしたい人なのか、その行動の動機をはっきり描かないと、キャラクターというものは出来上がってきません。(P58,59 一部省略)

良いキャラクターは良い「動機」を持っている、ということです。

例えば、デスノートの主人公・夜神月は、「裁き」と称して犯罪者を殺していますが、彼の殺人には「世の中を良くするため」という明確な動機があります。もし「自分の欲望のため」だけにデスノートを使っていたら、彼の魅力は半減していたでしょう。

今回は、「明確な動機があるか」を軸として、キャラクターとしての魅力を評価していきます。また、脇役が充実していることがジョジョの魅力でもありますが、簡単のため、今回は「主人公のみ」を評価します。


結果は表の通りです。

図4-min

主人公の「キャラクターとしての魅力」(=「明確な動機があるか」)をA,B,C,Dの4段階で評価しました。


A:主人公に明確な動機がある
第一部〜第三部:「家族・友人のため」という少年漫画では最も強い動機。

B:主人公の動機がやや弱い
第五部:「ギャングスターになるため」という動機は、他の部と比べると動機としてやや弱い。

C:主人公の動機が後半まで分からない(動機が変化する)
第六部:序盤〜中盤は「父を助けるため」、終盤になって「世界・愛するもののため」というように、動機のスケールが大きく変わる。
第七部:ジョニィは動機がはっきりしないままレースに参加し、中盤から「ゼロをマイナスに戻すため」に遺体を集め始める。ジャイロは「優勝して恩赦を得るため」にレースに参加するが、のちに「自分の成長のため、納得のため」に遺体を集め始める。二人とも中盤以降で”本当の動機”に気づく。

D:動機がバラバラ
第四部…アンジェロを倒すのは「家族のため」、吉良を倒すのは「友人のため」と動機が変化する。また、ラットとの戦いなど、正義感にかられての戦闘も多い。全体を通して「杜王町を守るため」という動機はあるが、他の部と比べると動機として弱い。




【第2章】 ストーリー


「どんなストーリーが良いストーリーなのか」を評価するのはとても難しいです。

そこで、また「荒木飛呂彦の漫画術」を見てみましょう。

ストーリー作りにおいて、「起承転結」「主人公は常にプラス」は二大鉄則です。「起承転結」のバリエーションで、「起承転転転転結」という構成にした場合でも、「転」の中では主人公は常にプラスで「上がって」いかなければなりません(P113)

「キャラクターは常に成長してするように描くことが大事だ」と書きましたが、特に少年漫画は、常にプラス、プラス、プラス……と、ひたすらプラスを積み重ねて、どんどん上がっていく、これがヒットするための絶対条件です。(P112)

「主人公が常に成長していくストーリー」が良いストーリーだということです。

確かに、ドランゴンボールやワンピースでも、主人公は常にプラス、プラスで強くなっていきます。

今回は、「主人公が成長しているか」を軸として、ストーリーの良し悪しを評価していきます。


また、「荒木飛呂彦の漫画術」の中では、このようなことも書かれています。

漫画を描く上では、この「エピソード」という概念も、とても重要です。連載が終わるまでずっと続いていくストーリーに対して、エピソードは一話毎に、その都度完結します。実はこのエピソードこそが読者の心を捉える上で決定的に重要な役割を果たすのです。

たとえば、最終的には「宿敵を倒す」というストーリー上の大きな目的があったとして、そこに至るまでの過程が「ただ遠い道のりを歩くだけ」とか「ひたすらトレーニングに励む」というのでは、読者は目標へたどり着く前に読むのをやめてしまうでしょう。(P106,107 一部省略)

たとえ主人公が常にプラス、プラスで成長していっても、その成長過程(=エピソード)に面白みがなければ、ストーリーが良いとは言えない、ということです。

たとえば、最近は「最強の主人公が異世界で無双する」という物語が流行っています。しかし、そのような成長過程がほぼ描かれないような作品は、ストーリーが良いとは言えないないですよね。

今回は
①ストーリー全体:「主人公が成長しているか」
②エピソード:「一話の中で起承転結があるか」
という2つの軸で、評価していきたいと思います。


結果は表の通りです。

図5-min


① ストーリー全体:「主人公が成長しているか」

A:主人公が「精神的」「能力的」に大きく成長している
第一部・第七部:登場したとき主人公は精神的にもとても弱く、「こいつが本当に主人公でいいのか?」と不安になるほどだった。しかし、修行・戦闘を通して能力だけでなく、精神的にも成長していき、最終的にはラスボスと互角に渡り合っています。

B:主人公が「能力的」に成長している
第二部・第六部:登場時したときの主人公は、能力的には未熟だったものの、精神的にはある程度強かった(少なくともジョニィよりは強かった)。その後、戦闘を通して能力面が大きく成長した。

C:主人公があまり成長していない(登場時から強かった)
第三部〜第五部:登場時から精神的・能力的に強く、成長の幅は小さい。承太郎は当初からアブドゥルと互角以上に渡り合っていて、仗助は初っ端から承太郎に本気を出させた。ジョルノは能力的な成長はあったが、精神的には登場時からかなり成熟していた。


② エピソード:「一話の中で起承転結があるか」

A:一話の中に起承転結があり、バリエーションも豊富
第四部:一話の中で起承転結があるのはもちろん、岸辺露伴が主人公のエピソードや、イタリア料理を食べるだけのエピソードなど、バリエーションが豊富で飽きることがない。

B:一話の中に起承転結がある
第三部・第五部・第六部・第七部:エピソードごとに起承転結があるが、どれも「行手をはばむ強敵と戦う」という内容でバリエーションがない。たいていの場合「新手のスタンド使いに攻撃されている!?」という感じでエピソードが始まる。

C:修行エピソードでの起承転結が乏しい
第一部・第二部:敵と戦うエピソードでは明確な起承転結があるが、修行エピソードでは「転」の部分での変化が弱い。たとえば、第二部の油の流れる柱を上るエピソードの「転」の部分は、「トラップに引っかかり高圧の油が噴き出す」シーンだが、やはり他の部と比べると「転」として弱い。



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後編へつづく

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