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オーストラリア農業の先進性から学ぶ! 第56回 投資先として有望な「植物工場」事業の見分け方 ~その2 コスト分析~

有望な植物工場企業を見つける上での鍵は何でしょうか?前回の記事で述べたように、植物工場事業は新たなジャンルとして注目を集めています。その一例として、日本企業のSoftBank Vision Fundなどは米国の植物工場を開発する農業スタートアップPlentyに約2億ドルの投資を行いました。

一方で植物工場事業は他産業とは異なり、「見える化」が難しい傾向があります。したがって、事業を分析し投資先を見つけるのは複雑な作業と言えます。その背景には、依然として高い運営コストと新たな販路の開拓がネックになっているケースが多いことが挙げられます。今号と次号では、この課題に焦点を当てて解説します。

運営コスト、高いのは電気代

まず、露地野菜と比較して植物工場野菜がどのように異なるかを考えてみましょう。運営コストに関しては、通常の露地野菜に比べて数十倍に達するとも言われています。特に人工光を使用するため、電気代がその中で2~3割を占めることがあります。

それでは、次に高い運営コストを補うための有益なノウハウをみていきましょう。

安定した収量の確保

露地野菜の場合、天候不順や異常気象により収穫が不安定であることが多く、収穫物が全滅することもあります。しかし植物工場野菜は周年栽培が可能であり、約2-3倍の収穫タイミングがあるため、一貫して安定的な収穫が期待できます。これにより、取引先への確かな供給を確保し、事業の信頼性を向上させることができます。露地野菜の事業では収穫量の不安定性が最もストレスを引き起こす要因であり、これを解消することは重要です。

無農薬栽培が可能

閉鎖型環境で運営する植物工場は、病害虫のリスクが少ないため、農薬を使わずに栽培が可能です。そのため、「無農薬野菜」としてPR販売が容易です。例えば、カット野菜の場合、加工時における洗浄コストも削減できるメリットもあります。

次号は、新たな販路の開拓「商品付加価値」の付け方について解説します。

参考情報

私がオーストラリアで参画した植物工場(葉物野菜:マイクロハーブ等)プロジェクト一例:

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