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「個人OKRxコーチング」でメンバーのモチベーションが爆上がりした話を発表してきました!#NuCon2021 #ヌーラバーブログリレー2021

※この記事はヌーラバーブログリレー2021 16日目の記事です。明日はTerry (Teruo Kunihiro)さんの記事です。

に引き続いて今年も NuCon 2021 という2021年11月27日に開催された弊社のオンラインイベントで「個人OKRxコーチング」について発表してきました!

今年は「ヌーラボ屋台」という、発表者が動画を作りその動画を数名で見ながら気になったところで一時停止をして感想などを話すという新しいコンテンツが追加されました。僕がちょうどイベントの当日に予定があり今年は参加できないな〜と思っていたのですが、この「ヌーラボ屋台」のおかげで動画出演という形で参加できました。

NuCon2021 発表中

そして、今回僕の動画を見ながら感想を話すメンバーとして、同じ Typetalk チームのたいちろうさん、コーチング部で一緒に社内でコーチをしているちひろさんアンヂェラさんにご協力いただきました。3人の素敵な感想やコメントのおかげで素晴らしい発表になった!と感じています。あらためてご協力ありがとうございました!

発表のアーカイブ動画はこちらです。発表で時間がなくて話せなかったことをこのブログで補足解説していきますので、まだ動画を見ていない方はこのブログを読む前にまずそちらを見てみてほしいです。資料も SpeakerDeck にアップされてます。

OKR の説明

動画を5分程度に収めるという制限もあり、発表では思い切って OKR の説明は省きました。ちょっと探せば OKR の説明をしている記事や書籍はたくさんあるからです。その代わりに、次の項目で「今回の発表の OKR」を紹介して具体例を見せることで 、全く OKR を知らない人にもなんとなくでもわかってもらえる工夫をしています。ブログではその具体例を見ながらもう少しだけ補足解説します。

動画でも話している通り、 Google re:Work の OKR の説明資料をまず最初に見てみるのがおすすめです。僕も OKR の勉強を始めたとき、最初にこの記事を見て概要を理解しました。OKR スコアカードのテンプレートもこのページからダウンロードできるのもありがたいです。

オススメの本

このスライドの背景に本の画像を入れてますが、この2冊を僕も勉強のために読みました。

最短最速で目標を達成するOKRマネジメント入門」は OKR って何?というところから OKR の決め方や運用方法まで詳しく載っていて、あまり知識がない状態でも説明がとてもわかりやすい本です。どちらかというと OKR 初心者におすすめです。

Measure What Matters(メジャー・ホワット・マターズ)」はインテルで OKR を学び、その後 Google に OKR を導入したジョン・ドーアさんが書いた本です。先程の Google re:Work のページでも彼の名前が出ています。この本は OKR の様々な企業での導入事例や具体例がたくさん書かれています。

この本を読んで OKR がもたらす様々な効果や可能性をさらに感じることができました。 また参考資料として Google の OKR 実践マニュアルがついているのも嬉しい。ただ内容は少し難しいので、ある程度 OKR の知識があった方が読みやすいと思います。

もしこのブログを読んで OKR に興味を持ったら、僕が紹介した記事や本を読んでいただけると嬉しいです。もちろん他にもたくさんいい本はあると思いますので僕もいろいろと読んでみようと思ってます。

今回の発表の OKR

今回この発表の OKR を作ったのは2つの目的があります。

ひとつは OKR の具体例を見せることで OKR がどんなものなのかをイメージしてもらうため。もうひとつは前回の発表と同じくこの発表の自分にとってのゴールを共有することで、自分と聞いてくれている方の認識を合わせて同じ方向性を持つためです。

ではこの OKR を使いながら簡単に OKR の説明をしていきます。

Objective: たくさんの人に「個人OKR・コーチングを試してみたい!」とワクワクしてもらえる発表をする

OKR の O は Objective で「目的」です。何のために僕はこの発表をやるのか、発表することでどんな変化を起こしたいかということを言語化し Objective に設定しています。その Objective を達成した未来を想像してみてワクワクできるくらいのエモい Objective を立てるのがポイントです。

例えば Objective を「xxx機能をリリースする」というような内容にしたいのであれば、「何の為に」という目的を入れることでより良い Objective になります。「ユーザーの〜という問題を解決するためにxxx機能をリリースする」とかですかね。もしくは「ユーザーの〜という問題を解決する」でもいいかもしれませんね。「機能リリース」はあくまで目的を達成するための手段なので次に説明する Key Results に入れるでも良さそうです。

僕の発表の場合は、この Objective が今回の発表のテーマとなったので、あとはそのテーマに沿って資料と原稿を作るだけとなりました。プレゼンって資料作ってる途中でブレちゃって全部作り替えるっていうのはあるあるですが、今回しっかりテーマを作っていたのでブレることもなく作業効率は上がりました

Key Results:
・この発表中にTwitterで #OKRxコーチング が 20ツイート以上される
・Typetalkチームへの採用面談が前月比2倍になる
・この1ヶ月の社内コーチング新規7人以上申し込みがある

Objective は定性的な目標になってしまうので、何を持ってしてその Objective が達成されたかがわかりません。それを測る指標が OKR の KR である Key Result「主要な結果」です。全ての KR が達成されれば Objective も達成されたと言える「主要な結果」を設定します。指標となるので Objective は定性的であるのに対して Key Results は定量的なものを設定する必要があります。

この Key Results こそが OKR の一番の特長であり効果だと思います。Objective だけだと目的地はわかってるけど、そこにどういう行き方があるのかわからない迷子のような状態です。OKR は自分の行きたい目的地がどこで(Objective)、そこにどういう道のりで自分は行きたいのか(Key Results)を指し示す地図のようなものだと思っています。

そしてこの OKR をチームや組織全体に取り入れることで、現在地や方向性などの認識を合わせ、メンバー全員で目的地に向かうことができます。それが Google やメルカリなどの大企業が OKR を目標管理手法として取り入れている大きな理由のひとつだと思います。

発表の中のたいちろうさんの感想で「強気な目標」と言われていましたが、もちろんこれにも意味があります。OKR は「ストレッチなゴール設定」を推奨していて、達成率が 60%~70% から達成とみなします。むしろ簡単に100%達成できるような目標であれば「目標設定が甘い」とみなされます。

いわゆる「ムーンショット」と呼ばれるもので「困難な目標に挑戦することでもし達成できなくても大きな成果・成長を得ることができる」という考え方です。また困難な目標を達成する為には当たり前のことをやっていても達成できないので、大胆な新しいアイデアが生まれやすいというメリットもあります。

ただ、あまりにも難しい目標だとなかなか達成感を味わえずモチベーションが下がってしまうので、あくまで現実的な範囲内で考えるという意味で 60%~70% 達成はちょうどいいところだと思っています。

ちなみにこの OKR の結果ですが、下の2つはあまり社外に出す情報でもないので割愛します。ただ、未来の社員の方からこの発表を見てコーチングの申し込みがあったと嬉しい報告をいただきました。

そして #OKRxコーチング のツイート数の結果は13ツイートでした!ですので達成率 65% ですので OKR 的には達成ということになります!🎉🎉(自分のツイートは除外、ハッシュタグ間違いは含んでいます)
みなさんご協力ありがとうございました!!

チームに個人 OKR を導入した効果

では、僕の所属する Typetalk チームに個人OKRを導入した経緯と得られた効果についてお話しします。

もともと Typetalk チームでは、チーム全体とプロジェクト単位で Objective とそれを測る KPI を作っていたので、それらと個人の目標を紐づけることができればモチベーションやパフォーマンス向上に期待できるのではないか?と PM からの提案があり、個人的にコーチングのスキルが活かせそうだと感じたので、実験的な意味も込めて今年の10月からスタートしました。

発表の前にメンバーに OKR をやってみてどうだったかのアンケートをしたところ、このような効果を感じてくれていました。

個人OKRを導入した効果

OKR の効果はよく Focus, Alignment, Commitment, Tracking, Stretching の頭文字をとって F.A.C.T.S と表されます。まさにみんなの感想を見るとこの F.A.C.T.S が発揮されているなと感じます。

・Focus: 優先度が高く本当に重要なタスクに集中できる
・Alignment: メンバー全員の方向性・足並みを揃える、それぞれの OKR の達成に向かって連携する
・Commitment: 目標が透明性を持つことでメンバーは安心してそれにコミットできる
・Tracking: 進捗状況や責任の所在がはっきりする
・Stretching: 困難な目標に挑戦することでもし達成できなくても大きな成果・成長を得ることができる

動画でたいちろうさんも話していましたが、「困っているメンバーがいたらビデオを繋いで会話する」という目標を立てて表明していたからこそ、他のメンバーがたいちろうさんに気軽に質問しやすくなる、さらにそれがたいちろうさんの OKR の達成に繋がるといういい連携が生まれました。それをお互いでやることで協力関係ができ、チーム内の信頼関係がより強化されたと感じています。

この取り組みを始めてまだ2ヶ月半くらいですが、現時点でいろんな改善点が見えてきています。例えば今回はチームとして Key Results を作成していなかったので、ダイレクトに Objective と紐付けて個人 OKR を考えるのは難しかったです。Key Results の方が具体的な目標なので、その Key Results の中で自分が一番取り組みたいことなどが明確になりやすいと思います。なので次回からはしっかりチーム内で OKR ツリーを作っていこうとしています。

ただ、一般的に OKR ツリーは組織の上から下にトップダウンで降りてくるのが一般的ですが、今回のように個人からボトムアップで始めるというのはなかなか珍しく面白い取り組みだったと思ってます。完全にトップダウンでもメンバーのモチベーションが上がりにくく、ボトムアップでも方向性が合いにくいので、そのチームにとってちょうどいいバランスをいろいろ試しながら見つけていくのが大事ですね。

OKR とコーチング

先ほども書いた通りチームの Key Results を今回は用意しておらず、かなり個人 OKR を作るには大変な状態でした。それでもモチベーションが上がるような OKR を作ることができたのは「コーチング」のおかげです。

僕は今年アナザーヒストリーのエッセンシャルクラスというスクールで学びながら、社内で約100セッションほどコーチングを実践してきました。その知識や経験が非常に活きたと感じています。

というのも OKR コーチという肩書きの方がたくさんいるくらい OKR とコーチングはとても親和性が高いです。僕が普段コーチングでやっている関わりや問いかけが大いに役立ちました。OKR とは言ってませんが、コーチングでも同じような目標設定をすることが多いです。

コーチングにはいくつかフレームワークがあり、有名なものだと GROW モデルというものがあります。このフレームワークは OKR 作りにそのまま使えます。

GROWモデルをざっくり説明するとこんな感じです。

・G(Goal):目標やその目標の先にある目的を明確にする
・R(Reality, Resource): 今の現状の自分の状態やすでに持っているリソースを認識する
・O(Options): 理想とのギャップを埋めるための方法をたくさん洗い出す
・W(Will): その中からやってみたいアクションを決める

このような流れでセッションを行います。この流れで相手の話をしっかり聞いて、行きたい目的地、自分の現在地、目的地までの自分が行きたい道のり、などをはっきりさせることで目標達成への地図を作ることができます。それをそのまま OKR に当てはめることができますね。

他にもコーチングのフレームワークは SMART モデルWOOP モデルなどいろいろとありますので、興味ある方は調べてみてください。僕がコーチングにハマったきっかけでもあり、師匠の1人でもある宮越大樹さんの「プロコーチ Channel」がおすすめです。もちろん対人のコミュニケーションはフレームワーク通りには話が進まないことも多いですが、知っておくだけでも全然違うと思います。(簡単にうまくいかないからこそ面白い)

個人 OKR を作る際に意識したこと

このようにコーチングの知識は OKR 作りに非常に役に立ちます。ここからはコーチとしてメンバーの個人 OKR 作りにおいて特に大事にしたことを3つご紹介します。まずは自分のOKRを作ってみたい人やチームメンバーの OKR 作りのお手伝いをする人の参考になれば幸いです。

①その先にある未来の理想の姿から逆算する
②その人の価値観や強みを反映する
③チームのOKRと方向性を合わせる

①その先にある未来の理想の姿から逆算する

これは先程紹介した GROW モデルと同じ考え方です。OKR を作るために「あなたにとって3ヶ月後どうなってたら最高?」と一番聞きたいところですが、それをいきなり聞いてパッと出てくる人はほとんどいませんし、もし出てきたとしてもそれが本当の目的だと判断するのは危険です。あまりに近い未来から考えてしまうといろんな制約が思考の邪魔をしてしまって、どうしても目の前のことしか考えられなくなってしまいます。

なので一旦制約を抜きに「その先の理想の未来」から逆算して考えてもらいたいです。例えば四半期の OKR を作る場合はその先の1年後、3年後の自分やチームにとっての理想の状態を制約を抜きに考えてもらって、それが実現した未来ではどんなことが起きているのかを想像してもらいます。

その未来を存分に味わってもらった後に、それを実現させるために「この3ヶ月は何に取り組むべきなのだろう、どんな成長をすればいいのだろう」と逆から考えた方がいろんなアイデアが出やすいです。

動画のコメントでアンヂェラさんも言っていましたが、まさに「7つの習慣」に書いてある「終わりから思い描くことから始める」ですね。自分のお葬式にどんな人達が来て、どんな思い出話をしていてほしいのか、究極そこから考えると自分の人生で大切にしたいことがぼんやり見えてきますよね。目標設定が苦手だと感じている方は「その先の未来から逆算する」をぜひ試してみてほしいです。

問いかけ例:「1年後を理想の状態にするために、この3ヶ月何に取り組みたい?

②その人の価値観や強みを反映する

自分の OKR に自身がどれだけ納得できているかがモチベーションに大きく影響します。そしてその納得感はその人の強みや価値観がしっかり反映できているかどうかによって決まります。

なので、メンバーから出てきた OKR が「誰にでも当てはまる目標になっていないか?」「その人しかできないようなことか?」ということはかなり意識しました。そうすることで自分の OKR に納得感が増して、違和感なく達成に向けて動けるようになります。

たいちろうさんの例で言うと「困っている人を助けたい」というのがたいちろうさんの価値観のひとつだったので、それを反映した OKR にすることで地味なプロジェクトでもモチベーション高く取り組めたと話してくれていました。

ただ、本人も自分の価値観や強みに気づいていないことも多いので、たくさん対話して一緒に見つけてほしいです。そのきっかけとしてコーチングを受けたり、ストレングスファインダーをやってみるというのもいいかもしれませんね。

問いかけ例:「〜の達成のために、あなたしかできないことは?

③チームのOKRと方向性を合わせる

これはチームで OKR を導入する場合はとても重要です。いくら自分の納得のいく OKR でも、チームの OKR と全く紐づいてなければ効果は出にくいと思っています。方向性がバラバラになってしまうので特に F.A.C.T.S の Alignment が機能しなくなります。全く違うことをやっているメンバー間で協力関係は生まれないですよね。

かといってチームの方向性に合わせて自分の気持ちを無視するとモチベーションが上がらないので、自分の理想であり価値観の反映された Objective をまずは考えて、そこからチームの OKR との共有ゾーンを見つけて OKR に落とし込んでいきましょう。

その共有ゾーンをいろんな観点から見つけることができれば、自分にとって成長できて、チームにも貢献できる、どちらにとっても Win-Win な最高の OKR を作ることができると思いますし、そんな OKR を一緒に見つけたいという思いでメンバーの OKR 作りに関わりました。

アンヂェラさんが OKR は「みんなでさらに遠くに行くためのツール」と動画でコメントしてましたがまさにその通りだと僕も思ってます。「早く行きたいなら一人で行け、遠くへ行きたいならみんなで行け」という有名なアフリカのことわざがありますが、OKR がうまく機能すれば「みんなで早く遠くへ行ける」を実現できる可能性のあるツールだと感じます。

問いかけ例:「あなたがそれを達成することで、チームの OKR にどんないい影響がありそう?

Tips: 抽象的な言葉を深堀りする

最後に、コーチングでよく使っていて OKR 作りにも役立つ Tips を紹介します。「インタラクティブリスニング」と呼ばれているもので、相手が言った抽象的なキーワードを「〜っていうのは?」と深堀りしてより具体的にしていきます

これ簡単そうに見えて実はしっかり傾聴できてないと難しいです。こういう言葉が出てきた時に人は自分の解釈でついわかったつもりになってしまうからです。また言っている本人も自分にとっても当たり前すぎてなかなか言語化する機会がないので、口に出すことで気づきも多くあります。

例えば「楽しいチームを作る」という Objective だと、「みんな仲良しでいつもワイワイしてるチーム」のことなのか、「みんなが気兼ねなく意見を言い合えるチーム」 のことなのか、それとも「みんな仕事に没頭できているチーム」なのかわからないですよね。それがわからないと他のメンバーにも伝わらないのでメンバー間の連携も生まれにくいです。逆にそれぞれの「楽しい」で解釈してしまい方向性が合わなくなることもあります。

同じコーチングスクールで学んだちひろさんが言っていましたが、その人の話を「映像化」するとして、その為に必要な情報を埋めるために深堀りするという意識を持って聞けるとかなりいろんなことが言語化されてより具体的にできますね。「映像化」が難しい場合は頭の中で「絵」を書くように聞くという意識でもいいと思いますし、いろんな意識で試してみて自分が一番イメージしやすい聞き方を見つけてみてください。

ちなみに、先日僕が参加した OKR のセミナーでも同じような話が出ていました。英語ではそういう言葉のことを「Weasel word(イタチ言葉)」というようです。元 Google の OKR コーチ Zachary Ross さんが「イタチ言葉が OKR に入っていたらみんながわかるようにもっと具体的にしましょう」と話されていましたので、説得力がありましたね。

まとめ

OKR に関わらず、目標管理ツールの一番の効果は「迷いのないワクワクする毎日」を過ごすためのツールだと思っています。今の自分にとってのゴールを見つけて、その達成にやるべきことを日々取り組む。すごくシンプルなことですがとても難しい、でも今日この日を充実したものにするためには必要なことです。

そのために個人 OKR を試してみたい!という方やコーチングを受けてみたい!という方​​が増えればいいなと思っています。もし興味のある方は僕に連絡いただければご相談に乗りますので気軽にご連絡くださいね。

余談ですが、今回はプレゼン動画ということでしっかり原稿を作って、納得がいくまで何回も撮り直すことができたので、僕のようなアドリブの弱い人間にとってはすごくやりやすかったです。おかげさまで弊社社長に「ラジオMCみたい」とのお褒めの言葉もいただきました😂

発表が苦手ー!という人はぜひオンラインイベントのプレゼンテーション動画にチャレンジしてほしいです。(普段からこれくらい喋れるようになりたい・・・)

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