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僕が1年半かけて学んだ「聴く」ことについての発表してきました! #NuCon2020 #ヌーラボのアドベントカレンダー

※この記事はヌーラバーAdvent Calendar 2020 17日目の記事です。明日はMegumi Isogawaさんの記事です。

2020年12月5日に開催されました NuCon 2020 という弊社のオンラインイベントで「1年半全力で1on1をやって気づいたこと〜「聴く」コミュニケーションの価値とその難しさ〜」というタイトルで発表してきました。

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僕の発表は LT 枠でしたので発表時間は5分でしたが、まず一気に話したいことをまとめて資料を作ってみたところ10分超えの壮大な内容になってしまい、どうやって時間を5分に短縮するかが一番大変でした。なので発表では話したいことのほんの一部だけしか内容に入れていないです。その時話せなかった内容も合わせてこのブログで解説したいと思います。

イベントのアーカイブ動画も公開されてますので、まだ発表を見ていない方はぜひ見てみてくださいね。資料もアップしています。

自己紹介

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発表内では時間削減のために名前しか言えなかったので、せっかくなので趣味について少しだけ補足させてください。

お絵かき」と書いていますが、実はこの発表で使った資料のイラストは全部自分で描きました。今この本を見ながらグラレコの勉強・練習をしているのでその一環です。

また「バンド活動」とも書いていますが、コロナ禍の影響で最近はほとんどできていません。その代わりに YouTube で弾き語りをアップしたりしてますので、よければチャンネル登録と高評価をいただけると活動の励みになります!(笑)
https://www.youtube.com/channel/UCrPPUepIHta_V7-7nu9jv0A/featured

5分後のゴール

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僕がコーチングでよくやる手法を今回の発表でも取り入れてみるという試みをやってみました。

コーチングセッションを始める時に「このセッションが終わった時に自分がどういう状態になっていたいですか?」という質問をします。そのセッションの明確な目標を共有してもらって認識を合わせることで、お互いに同じ方向を向いてセッションをスムーズに進めることができるからです。

今回はこの発表が終わった時になっていてほしい「みなさんが聴くを意識してコミュニケーションしたい!と思っている状態」を最初に共有することで、みんなが僕と同じ方向を向いて発表を聴いてくれればと思い、同じ手法を取り入れてみました。

この発表が終わった後に「聴きたくなった!」という嬉しいコメントもいただいたのでこの試みは成功だったと思っています。僕自身もこの状態を意識することで内容にブレがなくなりスムーズに話すことができたので、特に時間が短い発表の場合はまず目的を共有するというやり方はとても有効だと感じました。

全力で1on1した話

発表タイトルにも書いてあるようにどれだけ 1on1 を全力でやってきたかの話です。

弊社ヌーラボには Bridge という独自の取り組みがあります。Bridge のアクションの目的は、ざっくりいうと「社員の成長応援団」かつ「会社文化のエバンジェリスト」です。そして Bridge の大きな仕事のひとつとしてチームメンバーと 1on1 をするというものがあります。

昨年の4月からその Bridge のメンバーに参加させていただきました。それで初めて1on1を自分がする側になりました。全くの未経験でしたが、新しい分野に挑戦するいい機会でしたし、せっかくやるのなら相手にとって価値のある1on1にしたいという思いが強くあって、その思いから全力で取り組もうと決めました。これがコーチングに興味を持った最初のきっかけです。

そこから約1年半どっぷりとコーチングにハマることになります。振り返るとこのようなことを継続して取り組んできました。

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発表内ではさらっとしか説明しませんでしたが、せっかくなのでもう少し詳しく説明していきます。今コーチングに興味持ち始めている人にとって少しでも参考になれば嬉しいです。

① 社内1on1を月に最低5セッション
② プロのコーチングを体験
③ コーチング関係の動画
④ 社内コーチング部立ち上げ
⑤ 社外でもコーチングを実践
⑥ コーチング関係の読書やセミナー参加など

① 社内1on1を月に最低5セッション
1on1を始めた頃から毎月最低5セッション行っています。今年から Small Talk という雑談や対話などその人の目的に合わせた1on1となりましたが、多い時には月に8セッションくらいやっています。

全員にコーチングをしているというわけではありませんが、相手の話を肯定的に聴くという大事な実践の場になっています。よくできたと思う時もあれば、全然できなかったと思うこともあり、毎回セッションを振り返って自分の今の課題を見つけることができます。やはり実践こそが最大の学習だと感じます。

② プロのコーチングを体験
自身が良い1on1を受けた体験がないと良い1on1を提供することはできないと思い、今年からプロのコーチングを受けるようになりました。自分の中でこれが一番成長につながったと感じています。

プロコーチの間の取り方や質問などのいわゆるコーチングスキルはもちろんですが、本当に自分のことを真剣に考えてくれているという共感の部分や、プロコーチが生み出す安心感を実際に体験して、自身がどういう風に感じるのか、どういう状態になるとかということを体感することができ、とても学びになりました。

また今も継続しているコーチを含め計3人のコーチのセッションを受けました。どのコーチも素晴らしく学びがあったのですが、その中でも自分に合ったコーチを見つけることも重要だと思いました。コーチ側の観点だと相性まではコントロールできないので、結局のところは自分がやれることをやるしかない!という気づきもありました。

コーチングを学びたい!と思っている人はまず自身がコーチングを受けてみるというのを強くオススメします。

③ コーチング関係の動画
プロのコーチをやってる僕の友人から YouTube に「プロコーチ Channel」というコーチングを学べるいいチャンネルがあるよと教えてもらって、このチャンネルの動画を見始めたのがコーチングにハマった最初のきっかけです。なのでこのチャンネルに出会わなかったら今の自分はないと思っています。

それからは通勤中や空き時間に必ず1日に1動画は見る習慣ができました。スクールに行かないと学べないような話がたくさん動画にアップされていたので、これをしっかり見るだけで充分な知識が身に付くと思います。特にコーチングで大事にしないといけないことや、コーチのマインドの持ち方など心に刺さる内容が多く、とても参考になりました。

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余談ですが、ちょうどこの発表の前日にこの YouTube チャンネルでコーチングを教えていらっしゃる、僕がずっと憧れていた宮越大樹さんにお会いすることができました!いい状態で発表に臨めたのもこれが大きかったです。(ますます宮越さんのスクールで学びたくなりました)

宮越さんから直接「聴く」について大事にしていることの話をお聞きできました。

聴くとはその人が考えていることを一緒に考えること

④ 社内コーチング部立ち上げ
独学で勉強をしているうちにスクールに行きたい気持ちがどんどん高まってきます。ただ予算や時間のことを考えるとそう簡単に行くことを決めれるものでもありません。

その前にまずは一緒に学ぶ仲間を会社で作ろう!と思ったのがきっかけで社内コーチング部を作りました。社内コーチング部を立ち上げた詳しい経緯はこちらの記事に書いています。

社内コーチング部を作ったことで少しずつではありますが社内にコーチングが浸透していっている気がしています。実際に社外の講師を呼んで社内の一部のメンバー向けにコーチング研修も実施しました。そのきっかけを作ったのはこの社内コーチング部だと思っています。
https://nulab.com/ja/blog/nulab/bridge-mento-coaching-training/

会社でコーチングを広めていきたいと思っている方は、まず興味のありそうな仲間を巻き込んで一緒に学んでいくというやり方はとても有効だと思います。

⑤ 社外でもコーチングを実践
社内メンバーとのセッションももちろん実践になるのですが、基本的にどういう人かを知っている人とやることが多いので、最初の信頼関係の構築の面はそんなに苦労しないです。ただそこがコーチングの一番大事かつ難しいところだと思っているので、そこもできるようになりたいという思いで、副業という形で社外でもコーチングが実践できる環境を作りました。

初めて全く知らない人とセッションをやった時は手が震えるくらい緊張しました(笑)でもきちんと最初の信頼関係を構築できて、セッションもスムーズに進められたことが自分にとって大きな自信につながって、一皮剥けた感を感じれました。

⑥ コーチング関係の読書やセミナー参加など
これはコーチングの知識を身に付ける為のいわゆる勉強です。ただ実践するのではなく、きちんと確立された知識を自分に取り入れて、その知識を元に課題を持って実践することが大事だと思います。僕も毎回「今日はひたすら傾聴する」など何らかの課題を持って実践に取り組んでます。

終わった後に課題をやってみて実際どうだったかと振り返り、また新しい課題を見つける。そうすることで知識を少しずつ体得できていると感じます。今まで意識しないとできなかったことを当たり前にできるようにする作業ですね。前は「何の質問しようか」とかセッション中に考えることもありましたが、今は自然と質問が出てくるようになってきて、成長を感じました。

ちなみに恥ずかしいことに以前の僕は年に本を2~3冊読むくらいでしたが、今年は30冊以上読みました。おかげで読書が趣味になりました。機会があれば僕がこの1年でどんな本を読んだかのブログも今度書きたいなと思ってます。

「聴く」について

以上のように全力で取り組んでいくうちに自分の中で大きな気づきがありました。それは今までの自分が「聴く」を全くできていなかったこと、そしてその「聴く」ことの価値が一般的に重要視されていないということです。

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そもそもこの「聴く」とはどういうことをすることなのでしょうか?この耳辺の「聴く」は、普段私たちがよく使うこの「聞く」とは全然意味が違います。

・「聞く」:自然と音が耳に入ってくること
・「聴く」:心を集中して、注意深く耳にとめること

耳辺の方の「聴く」には心という文字が入っているのがポイントです。つまり「聴く」とは、積極的に相手の話に耳を傾けて、心から相手を理解しようとする行為のことです。

そういう「聴く」できてますか?実は案外できていない人が多いです。正直僕もできている方だと思っていましたが、「聴く」について学ぶうちにどれだけ自分が聴けてなかったということに気づかされました。

「聴く」ことの難しさ

具体的にどういう聴き方がダメなのかを紹介します。こんな聴き方が実はダメな代表例です。

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よく言ってしまいがちですし、実際僕もよく言ってました。
これもある意味共感ではありますが、見当違いの共感になっていませんか?最後まで相手の話を聴き切る前に自分で勝手に解釈して意見すると、相手に「わかってもらえていない」と思われる可能性があります。

自分の過去の経験を元に解釈してしまうのは仕方ないことですが、ひとつ覚えておいて欲しいのはその解釈が相手にとって正しいとは限らないということです。

この間違った解釈が以下のようなあまり良くない聴き方を生んでしまいます。

・すぐアドバイスしてしまう
・相手の意見を判断・評価してしまう
・話を遮ってしまう

その為にもまずはわかったつもりにならないことが大事ですね。僕もそれを意識するようになってから自分の「聴く」スキルが少しずつ上がった気がしています。

自分の聴くを意識することがはじめの一歩

「聴く」の価値

また自分の聴くに意識を向け始めると、「聴く」ことのいろんな価値が見えてきます。
自分が実際に感じたり勉強して学んだ価値の中で一番重要だと感じた価値を「聴かれる人」「聴く人」「組織」の三つの観点からひとつずつ紹介します。

①聴かれる人にとっての価値

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聴いてくれていると感じることで心理的安全性が生まれる

これはまさに自分がコーチングを受けて感じたことです。弱音だったり愚痴だったり思いついたことや自慢したいことなどなど、自分が話したいことを何でも話せるって安心感が溢れた場はすごく居心地がいいんです。僕は「こんなこと言ったら無能だと思われないかな」とかよく考えがちの人なのですが、コーチがすべて肯定的に話を聴いてくれて心から共感してくれるので、「この人なら何でも話せる!」って気持ちにさせてくれました。

会話はよくキャッチボールで例えられますが、例えば受け手側の人がプロ野球選手だったら投げる人も安心して力いっぱい投げれますよね?これと同じで何を言っても受け止めてくれるという安心感が心理的安全性を作っていきます

近年心理的安全性が注目されているように、心理的安全性が高い環境だと自分が気づいてなかったアイデアが自分の中から生まれやすく、その結果パフォーマンスも上がると言われています。

なので上司部下の関係のある1on1の場合、相手に価値を感じてもらう為に心理的安全性をどうやって作るかが一番重要だと思います。

②聴く人にとっての価値

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「聴く」ことでいろんな知見を得て、視野が広がる

聴くことでいろんな人の考え方や価値観に触れることができます。それを意識することで自分にたくさんの視点を持てるようになります。

今までの「優秀なビジネスパーソン」は発信できる人のイメージでしたが、多様化が進む今の時代では正解が決してひとつではないので、これからの「優秀なビジネスパーソン」は「たくさんの視点を持っている人」になると僕は考えてます。つまりこれからは「聴く」技術が必須スキルになってくるわけです。

もちろん発信も大事ですが、「聴く」を意識するといろんな知見が自分の中に貯まっていくのでそれが発信にもつながっていきます。僕も発信苦手タイプなのですが、こうやってブログ書いたり登壇したり少しずつ発信できるようになってきました。

③聴き合う組織にとっての価値

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「聴く」がイノベーションを生み出すきっかけを作る

そして最後に、みんな「聴く」を意識するようになって、組織が「聴き合う組織」になった場合の価値です。

イノベーションとは価値観が違う人同士で新しいアイデアを生み出すこと、つまりコラボレーションの成功です。それを実現するには価値観の違う人とのコミュニケーションが絶対に必要になります。そしてそのコミュニケーションを円滑にするには必ずこの「聴く」スキルが必要になるということです。

つまり「聴くをなくしてイノベーションは実現しない」「コラボレーションの成功は実現しない」ということです。弊社ヌーラボはコラボレーションツールを開発している、いわゆるコラボレーションカンパニーなので、私達がそのコラボレーションの成功を実践していく為に「聴く」ことを大事にしていきたいです。

オススメの本

この発表やブログを見て「聴くをもっと知りたい!」と興味を持ってくれた方がいましたら「マインドフルリスニング」という本をぜひ読んでほしいです。この発表でも大分参考にさせていただきました。エール株式会社取締役の篠田真貴子さんが書いている最初の解説を読むだけでも充分価値があると思います。

まとめ

聴くことの難しさや価値の根底にあるのは「価値観が違う人の意見を受け入れる」ことだと僕は思っています。自分が聴くことでその力を身に付け、相手に与えて、それをどんどん広げていくことでいろんな価値に満ち溢れた素晴らしい世界になれると想像しています。

そんな世界を実現するために、まずは「自分の聴くを意識してコミュニケーションする」ことから始めてみませんか?

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