『三日間の幸福』を読んで、人生の大切さを知ろうと思ったら、ツンデレ女子に心を破壊された件
自分の残りの人生の価値は30万円です。
それをお金に変えて、残りの寿命は3ヶ月です。
さてあなたは何をしますか。
って問いを考えてたら、気づいたら寝てました。
そんで意外と「やりたいことってないな」と「おはよう」の代わりに口に出したのが今日の朝のことです。
三秋縋さんの小説『三日感の幸福』の主人公、クスノキと全く同じ感性を持っている僕なので大共感の一作でした。
貧乏学生のクスノキはひょんなことから、自分の寿命をお金で買い取ってもらえることを知り、いざ査定してもらうと、残りの寿命はだいたい30年、その価値は1年につき1万円。
ぶっちゃけのこの後の人生にいいことはないと知る。そういうわけで、寿命を買い取ってもらうんだけど、そこで文章の始まりに戻る。
クスノキには死ぬ前にやりたいことなんてないわけだ。
まあそれなりにかつての親友とか、初恋の人とかに会いに行くんだけど、だからといって何がおきるわけでもなく、むしろ不幸になっていく。これがまあとことんかわいそうで、ああ、お金売ってラッキーだったなって思う。残りの人生30年をかけて同じような悲しみを味わわずに、早く死ねるんだからそれはそれで幸せじゃん。
まあそれから何かしらの出来事があって結末に向かうわけだが、実はこの小説、人生の価値とか意味とか大きなテーマを掲げながら、実はツンデレ系女子をヒロインとしたラブストーリ―である。
いや、ほんとすいません。そうじゃないかもしれないんですけど、そう読んでしまいました。
寿命を売り、余命1年になった人間には、死ぬ前に自暴自棄になって問題行動を起こさないよう監視員がつく決まりになっている。しかも100m以上離れるとすぐに命を終わらせられるときたわけだから、3ヶ月間片時もそばを離れずにいることになる。
その監視員がミヤギという女の子。コットンのブラウスにサックスブルーのダンガリースカート、肩あたりでゆるい内巻きのかかっている黒髪に憂いを帯びているような瞳。こんなん男の子みんな好きでしょ、を具現化したクスノキと年もそこまで離れていない女の子が監視員になるわけだ。
この女の子、最初は恐ろしく冷たい。私は仕事で監視してるだけなんで、構わないでくださいと主人公を突き放す。その上、残りの30年で起こり得たクスノキの絶望の可能性を聞かせて、「聞いた感想は?」なんて、死ぬ前に地獄の諮問をしてくる。
し、しぬ前にこの仕打ち???クスノキかわいそう…。とか最初は思う。
しかし、読んでいるうちに評価が変わってくるのでだいたいのページ数あたりでの僕のリアクションを以下お届けする。
1~100ページあたり
僕「なんだこの女、もうすぐ死ぬんだから優しくしてくれたっていいじゃねえか」
101~200ページあたり
僕「なんだこの女、可愛いところあるじゃねえか」
201ページ~最後まで
僕「好きだ」
というわけで最後にはミヤギを好きになってる。
ミヤギの姿を探してる。俺のミヤギ、どこにいるんだ。寿命売らせてくれない????