見出し画像

伝染の法則

前回はシーソーの法則を紹介しました。
相手を変えようとした時に、目には見えない関係性の「主体」と「依存」のアップダウンにハマってしまう可能性があるという話でした。

教育する場面で、もう一つ知っておいたほうがいい法則が「伝染の法則」です。

これは、シーソーの法則とは違って、相手を変えようと思っていない時に起こるものです。

遠くへ飛び込め

私が小学校6年生の時、水泳の授業で飛び込みスタートの授業がありました。
当時の担任の先生は、何でも子どもに任せるタイプだったので、自分が水着にもならずに口だけで教えていました。

綺麗なスタートができるのは水泳部に入っていた子たちだけで、他の子どもは、何度やっても腹打ちするばかりでした。

それを見かねたのか、いきなり先生が水着に着替えてきたと思ったら、飛び込みをしだしました。

私たち子どもは先生が水着に着替えたのもびっくりしたのですが、その飛び込みが遠くへ飛んで、とても綺麗だったことを今でも覚えています。

次の瞬間から、多くの子どもたちが、同じように飛び込み始めました。
先生と同じように遠くへ飛び込み始めたら、多くの子ども達ができるようになっていきました。

先生が見せたのはその1回だけでしたが、すごい影響力だと思ったことがあります。

ストレートな感情が伝染を生み出す

人の行動が自然と伝染するのは、相手を「変えてやろう」と思っている時ではなく、そこにストレートな感情が伴っている時に伝染が起こるように思います。

先輩が頑張っている様子を見て、こちらも感化されて頑張らなきゃと思った瞬間や、プロスポーツ選手のひたむきな頑張りを見て、自分も頑張ろうと触発された体験は誰でもお持ちだと思います。

でも、とうの頑張っている本人は皆さんを「変えてやろう」とは思っていないと思います。

真剣さや、嬉しさや楽しさ、悲しさや不安など、人間の計算されていない自然な感情が伴った行動は、伝染しやすくなっています。

人気塾講師のマインドセット

そのような伝染の法則をうまく使っているのが、人気塾講師の先生方です。

人気塾講師の先生の授業が面白いのは、プレゼンテーションスキルだと思う方が多いと思いますが、それもうまいとは思いますが、彼らの話にのめりこむのは、彼らが楽しいと思うことを提供しているからです。何より自分の楽しさを追及している姿をストレートに見せているからだと思います。
だから、生徒に伝染しやすくなっている。
要するに伝染の法則がまず第1にあり、それをより分かり易くするためにプレゼンテーションのスキルを使っているのです。

気づきを広め伝染させる

楽しさ、面白さ、一生懸命さなどの感情は伝染します。そういうのを広める環境をたくさん持つことです。

子どもが「あっ」って気づくと、他の子も「あっ」って気づきは伝染していきます。ですので、誰か気づいた人がいた時点で、皆の前で話させると気づきが集団の中に伝染し、学習の雰囲気がアップしていきます。

残念ながら、ネガティブな感情も伝染するので、こちらは早く消す必要があります。

シーソーと伝染を使い分ける

「シーソーの法則」と「伝染の法則」の二つを紹介してきました。教育では、これらをうまく使い分けてやっていくことで効果が高まると思います。

1対1で相手を変えたい、変わって欲しいという思いがあるときは、シーソーの法則が採用されます。ですので、自分自身は頑張らないことが大切です。相手に頑張っていただくために、自分がどういう関わりをするといいかを考えることです。

その他の対人関係が入ってこない時は、一生懸命頑張る背中を見せること、誰かの頑張りや気持ちや体験のプラスの部分を広めることで、全体が触発され学習への雰囲気が高まる集団へと変化していくことでしょう。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?