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世界の戦争 実例

先の本題に続き、現在欧米が注目しているイスラエルについて、これまでと同様に講演の要旨を引用の形で示しながら述べる。

アブラハムの二人の息子

アブラハムとはすべての民の父という意味。
アブラハムの妻には90歳まで子供がいなかった。子供を産めなかった妻は下女を差し出し、この下女が生んだのがイシュマエル。これがアラブ人の祖。これに嫉妬した本妻のために神が子供を宿らせ、生まれたのがイサク。これがユダヤ人の祖。この通り異母兄弟であり、同じセム族である。顔つきも似ている。そもそも反ユダヤ主義はanti-semitismという。

旧約聖書の記述であるが、古くて不正確だと侮ってはいけない。ユダヤ人のシオニズム(カナンの地、パレスチナへの帰還運動)はディアスポラから約2000年後に行われたものであるし、多くのアラブ人が信仰するイスラム教はユダヤ教の孫宗教のようなものであるが、現在に至るまでそのくびきの中にいる人のなんと多いことか(なおアーリアンで人種が異なるイランはアラブ人と同様のものは信じられないということでイスラム教の中でもペルシャにルーツを持たせた宗派を信仰する)。

白人系ユダヤ人

ユダヤ教を信じる人がユダヤ人というのはトリック。白人系ユダヤ人とは誰か。コーカサス地方という現在ロシアの制御が利かなくなってきているアルメニアやアゼルバイジャンといった国のある地域は、コケージャンといえば白人を示すように白中の白の国であった。イスラムの台頭時、この地方の王国(注:講演時は国名を言われていたが失念)はキリスト教とイスラム教のいずれからも狙われ、そのどちらにもつかないためにユダヤ教を選択した。結局王国は滅んでしまったが、パレスチナにルーツのある人たちではない。この人たちをアシュケナージ、もともとはドイツという意味らしい、という。これとは違いセファルディ、もともとはスペインという意味らしい、のユダヤ人が人種的にもパレスチナにルーツがある人達。
シオニズムを隣のヨルダン国王は歓迎していたが、戻ってきたのは同じセム系ユダヤ人ではなく白系ユダヤ人アシュケナージ(※)であったため、第一次中東戦争がおこった。現在のイスラエルは9割以上がこのアシュケナージ(※※)。

(※)(およびユダヤ人)について、山本七平氏の『日本人とユダヤ人』(1970年刊行)には以下のように記されている。

ユダヤ人が庶民一人一人に至るまで、はっきりとユダヤ教徒という自覚を持つに至ったのは祖国喪失の後である。事実、旧約聖書が最終的に編纂へんさんされたのは紀元一〇〇年のヤムニアの会議においてであり、タルムドの編纂はそれ以降である。
・・・
現在(注:1970年直前か)ではユダヤ人の四十二パーセントはサブラすなわちパレスチナ生まれである(中略)これらのサブラが実に全国民の約半数なのである。次に多いのがアジア・アフリカからの移民で約二十八パーセントである。(中略)ということは国民の実に七十六パーセントがパレスチナおよびアラブ圏の出身であって(中東人とでも言おうか)彼らは西欧には全く関係がない。(中略)一九四八年五月十四日、すなわち独立以降の移民は百二十五万だが、このうち約五十万はアラブ諸国からの移民である。さらに良く統計をお調べになれば、西欧と北米が非常に少ないのに、おそらく一驚されることと思う。これが実情である。ユダヤ人は西欧人ではないのである。(中略)イスラエル共和国を西欧の国のように考えるのはやめていただきたい。

山本七平(イザヤ・ベンダサン名義)『日本人とユダヤ人』

さきに(※※)について言及しておくと、『ユダヤ人とは誰か』という本(残念ながら手に入れられていない、Amazonで7万円弱する)の著者はアシュケナージ(東欧系ユダヤ人)で、Amazonの概要のところには、1500万ユダヤ人の9割を占める東欧系ユダヤ人は『聖書』の民、セム系・ユダヤ人ではなかった。と書かれている。(こちらの信憑性については読んでいないので何とも言えないのが非常に歯がゆいところである)(※※)も資料としては裏付けを持っていない、上の本が資料になる可能性はある。

(※※)をもとに(※)および山本七平氏の著作の内容を矛盾なくつなげるとすると、
西欧系ではなく、パレスチナにルーツのない東欧系(白系)ユダヤ人が大挙して戻って(?)、というより入ってきた
ということになるだろうか。こうするとたしかに誰も嘘は言っていないが、東欧系と西欧系の違いなど人種に弱い日本人にはさっぱりわからない部分で、氏の著作は日本人読者にとってはややこしいのではないだろうか。

イスラエルとハマスそれぞれの戦い方

実例と書きながら補足の話が長くなり、ここからが実例の本題である。

イスラエルは自国民1400人が虐殺されたことをもって戦争を始めた。目的は民族淘汰であるから女子供であろうと殺すしむしろ望むところだろう。
ハマスは自国民であろうとお構いなしに、ニュースの種になるだろうくらいの思惑で自国民にミサイルを撃ち込み、イスラエルのせいにしている。これはかつての中国のやり方とそっくりだ。中国は米式空軍で上海を爆撃(数千人死亡)し、ウクライナでもあったように大河の堤防を決壊させて自国民を数十万人殺してもお構いなしだった。
為政者はこの通り自国民が死のうが関係ない。

おわりに

日本人がどちらがいい悪いといっても何の関係もない。関係ないからこそ、偏らずに見ることができる。変だな、おかしいなと思うところに真相がある。

長くなったけれども、現在の世界情勢に対し、ニュースでは触れられることのない見方であったので、紹介した。理解の助けになれば幸いである。

文責筆者

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