トカゲの星
対象年齢は高めです。
考える人 有料記事でもないのに偉そうに想定読者を指定するのはどうかと思うかもしれません。さらに言えば「専門外」の(「若輩」の)「院生」(執筆時)の意見をそのまま受け売りする人もいないと思うのですが、一応書いておきます。 当たり前ですが、考える人であってほしいです。そのための(最低限かもしれないが)内容であると信じています。是にせよ非にせよ。私たちは本能が最大発揮された昆虫(ベルクソン)ではないのです(考えることが生命の本能ではないとすれば)。 こころ 昆虫の話が出たので
盛者必衰 江藤淳がどこかで、「戦争の勝敗に道義的な優劣を持ち込むようになったのは米国の内戦(南北戦争)以後のことである」と書いていた(のちに出典を見つけた場合追記します)。 とすると、日本のいわゆる「勝ち目のない戦い」の敗者側、例えば南北朝の楠木正成や北畠顕家、西南戦争の西郷隆盛一党、そして先の大戦においては日本人など、これらの人たちは甚だしい場合情死とまで言われるけれど、彼らはこれらの戦いを道義的な優劣を決めるものとは考えていなかったということになる。 先の大戦においてよ
惻隠 学 静岡県によるリニア中央新幹線に対する「学のある」妨害の是非はさておき、移動時間が短くなるという、サラリーマンのお金でサラリーマンがより苦しくなる「進歩」の例を近い将来に目撃することになりそうである。 苦しいときこそ何か指針が必要になってくる。自分の(自分だけのという意味ではない)人生を生きるとは、そのような指針を持つことだと考えている。私は以下に示すように二つほど考えている。 せざるを得ない 一つは「せざるを得ない」に従って行動すること。仕事ではなかなかその
はじめに ーChoice. The problem is choice.ー 映画『The Matrix Reloaded』(邦題:マトリックス リローデッド) 選択肢は豊かさ、選択は強さ 以前「人は生きざま」という文章を書いた。人の生き方には当然その人の選択が反映している(もう一つ遡ると選択にはそう判断するこころが反映している)。 古代の四聖賢の「人類愛」について、彼らは決して雷同とか群れるということはなかったけれども、自分の周りだけ平穏であればいいなどとは考え
池崎忠孝の日米(英)戦関連の著作をいくつか集めたので、そのうち記述するつもりです。 元々は、「アメリカ製の義眼が嵌め込まれる」前の日本の言論を知るために『英米現勢論』(昭和7年)を買ったのが始まりでした。
先の本題に続き、現在欧米が注目しているイスラエルについて、これまでと同様に講演の要旨を引用の形で示しながら述べる。 アブラハムの二人の息子 旧約聖書の記述であるが、古くて不正確だと侮ってはいけない。ユダヤ人のシオニズム(カナンの地、パレスチナへの帰還運動)はディアスポラから約2000年後に行われたものであるし、多くのアラブ人が信仰するイスラム教はユダヤ教の孫宗教のようなものであるが、現在に至るまでそのくびきの中にいる人のなんと多いことか(なおアーリアンで人種が異なるイラン
長くなった導入を承けて、ここからが本題である。導入の冒頭で述べたが、講演の要旨部分を引用の形で示す。 そもそも世界とは イスラエル人という部分も補足(後述)が必要だが、とにかく白人社会のニュースが世界のニュースというのが、今現在も続く”世界”である。 世界の戦争のはじまり方 戦争の目的 無駄のない話しぶりで、実際に聴けば補足すべきところはない。 ここまで書けば(引用すれば)、導入の最後に述べた、世界の戦争の標準とは何かということがわかる。すなわち戦争とは皆殺しを目的
はじめに 先日、とある講演会に参加した。今回はその要旨をもとに(引用の形で示す)、(幸せなことに)日本人にはなかなか理解できない、世界の戦争について記述する。(講演者は伏せるが読む人が読めば誰の講演かは一目瞭然かもしれない。)長くなったので分けることにした。 戦争反対 先の大戦において、日本は三百万人を超える未曽有の犠牲を出し、なおかつ勝利できなかった。いわゆる平和憲法(憲法9条および前文)は、制定当時にはこの犠牲、すなわち人員喪失、生産拠点壊滅、飢餓、焼け野原が目の前
はじめに ふりつもる み雪にたへて いろかへぬ 松ぞををしき 人もかくあれ 昭和天皇 御製 (於 昭和21年 歌会始) まさかの友こそ真の友 逆境にある時こそ偽りのない人間性があらわれるようで、この場合に人は個人主義的であるが、その中でも”気高い”ふるまいをなす人たちがいる。この気高い人たちについて、私は二つに分類できるように思われる。以下にその分類を示す。 待つ人の目 まずは、「待つ人の目」によって自律する人たちがあげられる。これはサン
はじめに (親譲りのあまのじゃくで)ついにVIVANTを見逃してしまった。そのうち見るつもりであるが、聞くところによると「どんでん返しのストーリーが面白い」らしい。 本稿はいくつかの「どんでん返し」について述べたものである。 江戸城無血開城 歴史上どんでん返しはたくさんあるのかもしれないが、ここでは勝・西郷会談で有名な江戸城の明け渡し(無血開城)を例に取り上げる。といっても新解釈をするわけではない。江藤淳の『海舟余波』にある通り、会談の主導権は勝海舟の側にあり、西郷隆
前提条件 複数人、複数の組織、さらには複数の国々の間で分業して何かをなすというのは非常に高度な構造のなせる業である。あまり対象を大きくしすぎてもよくわからなくなるので、一人の人間の衣・食・住について考えてみる。どのような「文明」のレベルかにもよるが(というよりそれが分業の成果であるが)ひとりで、あるいは最小の構成単位で、衣食住さえその全てを賄うのは大変なことである。ホッブズ・ロック・ルソーについては勉強不足で何も言えないが、「社会」を成り立たせるのが分業であるとすれば、分
はじめに 若葉して 御目の雫 ぬぐはばや 芭蕉『笈の小文』 プラトン『ソクラテスの弁明』 プラトン作(/田中美知太郎訳)『ソクラテスの弁明』では、ソクラテスがギリシャ神話の英雄アキレウスについて、次のように語る。 アキレウスに関しては以上であるが、続く部分も引用する。 ソクラテス、裁判の判決に従い、刑死。 中島敦『李陵』『弟子』 李陵の「やむを得ない」とは異なる生き方を貫い
先の記事に続いて各論であるが、各論Ⅰの方が重要度は高い。 スタイルとイズム スタイルとイズム、どちらも日本語ではないので、私の用法であてはめるとすると、スタイル=地金、底流的な各人の気質に沿った生き方、イズム=処世術的な生き方、となる。イズムであればこそ「転向」も可能だが、スタイルはそうはいかない。スタイルは三つ子の魂百まで式であって、その人の中で一貫している。 芸 芸は制限のもとで磨かれる。芸を輝かせる一大要素が制限であるといってもよい。自ずからその価値は局地的で、
先の記事に続いて、各論として述べていく。 エネルギー 日本がかつて油がなく(なりそうになっ)て戦争までしたことは、全国民の知るところであろう(偏見)。また暖衣飽食の私のような人間にはなかなか実感がわきにくかったのであるが、最近読んだ本の中では「飢え」の話が出てきていて、考えてみれば当然であるが人間のエネルギーである食糧も、日本では特に死活問題である。エネルギーと食糧、日本にミサイルを撃ち込むよりも機雷敷設と海上封鎖の方が費用対効果は大きいだろう。 行政 地方行政という
はじめに ー自分を裁くのは、他人を裁くよりずっと難しい。それができたなら、そなたは真の賢者だー サン=テグジュペリ『星の王子さま』 常識 常識を持っていることは一面判断の迅速化に役立つが、当然ほかの可能性を捨て、保守的になるという面がある。私自身、高校時代の基本的な古典(not量子)物理でさえ腹落ちするのには相当の苦労を要した記憶がある。 恐れるべきは堕落・腐敗よりも機能不全 上り調子のときに機能不全な部分をみつけ対処するのは難し
はじめに 高校時代(今も、かもしれない)物理の、作用反作用の法則というものがなかなか理解できなかった。現実は大事だが、それを成り立たせているものも大事だ。 論旨ではないが、SNS(インターネット時代)でアンチと呼ばれる人たちや誹謗中傷を行うことについて、私はいつもこの(こころの、とでもいうべき)作用反作用の法則を考える。すなわち、誰かを傷つけるとき、同じだけ自分に傷をつけているだろう、それがどれほど気軽で無責任なものであったとしても、と考えている。 米国務長官のロシアウ