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アメリカ実質横断一人旅① ‐旅の始まり

旅の始まり

2022年3月16日。

私はついに夢だったアメリカの地に降り立った。
LINEのログがわけのわからない時間に変わっている。生まれて初めて時差の存在を感じる。

思えばこの壮大な一人旅の決定は衝動的だった。

私は幼い頃から父に洋楽を聴かされていたこともあり、いつしか海外のライブハウスに行くことが夢になっていた。
大学3年生の冬、父に
「いつかアメリカのライブハウスを巡る旅に行きたいんだよなぁ」とつぶやいた。
それに対して父は
「行けばいいじゃん」の一言。
あまりにアッサリな返答に私は一瞬動揺してしまったが、それと同時に
「そっか。行けばいいのか。」と悟った。
それだけが動機である。

年を重ねると、いつしか抱いていた夢や野望も忘れ、凝り固まった現実的な思考しかできなくなる。
父はそうなりかけていた私の思考をぶち壊してくれた。

アメリカ、夢への切符

そうとくれば話は早い。
まず、逃げられないようにライブのチケットを買おう。
見たいと思っていたアーティストを片っ端から調べた。

Tame Impala, Silk Sonic, Midland,,,

コロナ渦であったこともあり、たくさんのライブが延期や中止になってしまっていた。
だが、なんとかいくつかのライブを良いタイミングで取ることができた。
もちろん土地勘がないので実現可能な旅程かどうか見当もつかないが、とにかく道はある。
車さえ借りればどこへだって行けるだろう。
取得したライブスケジュールに合わせて航空券も取得した。約4万円。
学生である私からしたらもちろん高い買い物ではあったが、夢がかなうなら安いもんだ。

旅立ちの日

そんなこんなで迎えた当日。
とにかく得体の知れない高揚感で満ち溢れていた。
成田空港の国際ターミナルに着くと、コロナのせいか日本人は見当たらず周りは全員外人。
チェックインカウンターで戸惑いながらソロソロ並んでいるとアメリカ人に
「Go ahead」と言われた。
早速洗礼を浴びた。
ゴーアヘッドか。そうか。俺はこれからアメリカに行くんだもんな。
そして搭乗口に並んでいるガタイの良い人達に囲まれて、なんだか自分まで強くなったんじゃないかとかいう気分になりながら、飛行機に乗り込んだ。

地球だ。なんだかものすごい事をしでかしてしまっているのかもしれないという気持ちになった。

飛行機の中は暇なので、専ら目の前で煌々と光るディスプレイ問題の解明に夢中になった。
おススメの音楽を聴く。どれも良かったが、この曲だけは、「ようこそアメリカへ」と言ってくれているような気がしてずっと心に残っている。

そして、なんとも言えないクオリティの機内食をがっつく様にほおばり、いつの間にか眠りについてしまっていた。

第2章:ラスベガスへ


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