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算命学(基礎)「鑑定マニュアル」

ご購読いただき、ありがとうございます。基礎では、宿命を読むのに不可欠な知識/技法を解説します。入門レベルですが、しっかり理解すれば、事例によってかなり深いところまで読めるようになると思います。
今回はその最終回で、これまでに学んだ知識/技法で鑑定する方法について解説します。市販の本は、「この星があったらこういう性格」「この星がまわる年に起こること」「〇×天中殺のひとの今後の運勢」など、該当するページを読むだけの「おみくじ」のようなものですが、このテキストでは、陰占・陽占を読み込んで相談に応じた回答ができるようになることを目標としています。
占いの結果だけを知りたいのであれば前者で十分ですが、自分自身のこと/他人のことを深く知るには、後者の知識/技法を学ぶことが必要不可欠です。今後もさらに内容を充実させていきたいと考えていますが、一度ご購読いただいたかたは無料で更新されますので、ご安心ください。


1.鑑定のスタンス

宿命と現実

算命学で占えることは多岐にわたりますが、基礎では心に原因のある問題(心の持ちかたを改めればよい問題)を扱います。もっぱら運勢に関係する問題は初級以降とします。鑑定はおもに陽占で、陰占/後天運は天中殺などで補助的に観ます。
つぎに、鑑定のスタンスですが、鑑定は相談者の悩み/不安(潜在的なものも含む)の原因と解決策を探すことが目的なのであって、相談者の性格や過去/現在の事実を「当てる」ことにはあまり意味もありません。
だから、鑑定で重要な情報は事前にできる限り収集したうえで、陽占を観てそのひとが星をどう使っているのか、どの星のどんな使いかたに悩み/不安の原因があるのか、徹底的に考えてください。それは、星の理解を深めるうえでも大いに役立ちます。
また、陰占を観て、五徳の偏り/人物(家族)との関係/宿命天中殺の消化状況について、宿命と現実とのズレをチェックしてください。そして、それが陽占の星の使いかたに影響していないか、チェックしてください。それは、五徳/人物(家族)/宿命天中殺の理解を深める助けになります。
同様に、後天運を観て、運命天中殺がどう影響しているのかをチェックしてください。
宿命は、現実(能力/環境/努力など)によっていろんな出方をするので、何の情報もなく過去/現在の事実などを当てることは不可能です。同じ生年月日のひとが同じ運命をたどるわけではないですし、常識で考えればわかると思います。
鑑定は当てることが目的ではないということは、肝に銘じたいと思います。

【コラム】テレビの占い番組
テレビの占い番組では、座っただけでピタリと当たる占い師がよく登場しますが、あれは当然演出です。有名人を占う場合は、本人の知らないところで、関係者しか知らないようなことを番組スタッフが徹底的にリサーチして事前に占い師に伝えていますし、一般人を占う場合は、台本にしたがって収録が進められて、このことは一切他言はしないという守秘義務契約を結ばされています。
https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2022/06/08/kiji/20220608s00041000653000c.html
ただ、これは別に責められることではなくて、占い番組の趣旨は(占い師の宣伝ではなく)相談者の数奇な人生にスポットライトを当てて視聴者に楽しんでもらうことです。占い師は演者のひとりにすぎません。ただ、くれぐれも「何でもわかる占いがある」なんて思わないことです。
昔、自分の一生が予言されている「アガスティアの葉」なるものがインドにあるとブームになったことがありますが、あれも単なるインド占星術の宣伝文句です。葉みたいなものにかかれているのは命式で、占い師はその解釈を話しているに過ぎないのです。だから、当然当たらないこともあります。それにしても、うまい宣伝文句ですね。

算命学で読めないこと

上との関連で、算命学で読めることについて私見を述べます。
私は、宿命だけで運勢などを断ずるのはナンセンスだと思います。特に四柱推命では命式の格付け(貴命/貧命)に重きを置きますが、貴命でも冴えない人生を送るひともいますし、貧命でも社会で活躍するひともいます。なぜでしょう?
当たり前の話ですが、宿命だけでは人生は決まらないからです。同じ宿命でも、能力/素質が違えば、違う人生になります。大谷翔平氏と生年月日が同じ著名なスポーツ選手は(Wikipediaでは)見当たりません。同じ宿命でも、氏は並外れた身体能力の持ち主だからです。また、イーロン・マスク氏と生年月日が同じ著名な起業家は(Wikipediaでは)見当たりません。同じ宿命でも、氏は並外れた知能の持ち主だからです。少し考えてみればわかることです。なのに、なぜ、宿命だけですべてがわかるような鑑定をするのか、私には理解できません。
算命学でわかることは限られています。少なくとも、宿命だけを観て、そのひとの能力/素質、生活環境、容貌/体質などはわかりません。もしわかるというのなら、同じ生年月日のひとは同じように成功/失敗しているというデータが何かあるはずですが、そんな話、聞いたことがありません。それでも「いや、わかる」というひとは、たまたま当たった事例だけを強く記憶していて、ほかの当たらなかった事例を素通りして忘れているだけでしょう。
だったら、算命学は役に立たないのかというと、まったく逆で、人間に関することがら(人事)を推し量る最強のツールだと思います。宿命から心理/運勢の構造を読んで、現実からそれをどう使っているのかがわかれば、宿命と現実とのズレを戻すような力が働く結果、「こんなことになったのはなぜか」「このままだとどうなるのか」などを推し量ることができます。もちろん簡単な作業ではないのですが、未来を(直観ではなく)筋道立てて読めるなんて、すごくないですか?!

当てはめ鑑定はダメ

鑑定では、宿命と同じくらい現実を重視して、宿命をどう使っているのかにフォーカスを当てます。現実を説明するのに都合のよい知識/技法だけを選んできて「宿命がこうだからこうなった」と断定するような鑑定、血液型診断のようにタイプごとに書かれたものから都合のよい部分を引用するだけの鑑定は、意味がありません。
このような当てはめ鑑定では、応用がきかず、解釈を深めていくことができないので、いつまでたっても鑑定の技量は上がりません。重要なのは、現実を宿命に引き寄せるのではなく、現実にもとづいて宿命をどう使っているのかを観ることです。答えは、宿命ではなく現実にあるのだから、当たり前のことです。
基礎の後は初級に入りますが、このテキストでは、相談内容に応じて自在に解釈できるように解説していきたいと思います。基礎で学んだ知識/技法は必ず使うので、これから説明する手順などを参考に、できるだけ多く鑑定の練習をしてください。

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