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台湾の宝石 北投温泉の歴史と風情

台北の北投温泉、その名の響きだけで風情ある風景と温かい湯に包まれた心地よさを想像しますね。北投とは平埔族の言葉で「女巫」を意味し、「八芝蘭」の温泉とも称されるこの地域は、神秘と美しさに包まれています。

17世紀、オランダ人が台湾に足を踏み入れた頃、北投の硫磺は恐ろしい「毒水」として恐れられました。風土が悪く、オランダ兵が病で倒れることもあったそうです。しかし、この硫黄の力は逆に現代の温泉文化の礎となりました。

1896年、大阪出身の平田源吾氏が天狗庵旅館を開設。温泉は商業的価値へと変貌し、次第に多様な旅館が北投に立ち並びました。その時代、女将や仲居たちが客人たちを心温かくもてなし、粋な話術で楽しませるサービスも魅力でした。今ではその風情を楽しむことはできませんが、心の中で想像してみると、何とロマンティックでしょう。

そして、北投温泉の素晴らしい一面が、一般の人々にも開かれていたこと。台湾婦人慈善会が公共浴場の創設に尽力し、地域住民が一丸となって美しい環境を築いたエピソードは、今でも心温まります。1907年に開設された「瀧乃湯」は北投に現存する最古の公衆浴場で、その木造建築や石造りの浴槽は史跡として今も愛されています。

1923年、裕仁親王(後の昭和天皇)が北投を訪れた際に立てられた「皇太子殿下御渡涉記念碑」や親王が渡ったとされる「皇太子殿下御渡涉飛石」もこの地域の歴史の一部。自然科学を愛した裕仁親王が、世界で希少な鉱石を自ら観察したエピソードは、何ともロマンチックです。

北投温泉は、ただ温泉が湧く場所ではなく、人々の共同体、歴史、文化、そして美しさの象徴。この地に訪れれば、まるで時の流れを忘れ、温泉の力で心も体も癒されるでしょう。

現代に蘇った「加賀屋」を訪れた際には、ぜひこの歴史と風情を感じながら、温泉につかりませんか?時間を忘れ、古き良き時代の台湾を感じる旅になることでしょう。独特の美しい風景と心地よい湯に浸かり、人々の温かさに触れ、北投の温泉がもつ神秘と魅力を存分に味わってください。

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