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記事翻訳【Z世代と繋がるために】

こんにちは、チャネルトークのジョーです。
本日はWWDの英語記事に面白い記事があったので訳してみました。
登壇者はKarin Tracy。Giorgio Armaniの広報からキャリアを始め、ファッション誌を数社経験したあと、Meta社の小売・美容・ラグジュアリー部門のリーダーを勤めています。
彼女がMeta主催のアパレル・小売業向けCEOサミットで語った内容とは?

Getting Comfortable With the Uncomfortable
https://wwd.com/business-news/business-features/insights-into-generation-z-1235408226/

元記事はWWDより

Z世代の行動特性

Meta社で美容・ファッション・小売セクションを率いるKarin Tracyは、WWD主催のアパレル・小売CEOサミットで次のように述べた。
「Z世代とその購買力は、伝統的な小売業の慣習に大きな変化を起こしている。業界全体が新しいエンゲージメントの時代に突入しつつある中、Z世代には他世代と異なるアプローチが必要だ」

『Z世代のその先へ 〜創造性・文化を活用した成長〜』と題したこのプレゼンテーションを準備するために、Tracyは「事業成長のために彼らの創造性や文化をどう活用するか、Z世代と正面から向き合い続けた」と述べた。

新しい世代が登場する度に、私たちはその世代がこれまでの世代とどう違うのか、理解しようとした。しかしTracyは自身の長年の経験からこう述べる。
「大抵その取り組みは、若者のナラティブ(=物語)と、若者がメディアとどう付き合っているかに帰結します」

MTV世代(80年台〜95年台前半のテレビっ子世代)や、その後のインターネット世代がありました。Z世代はそれら上世代とどう異なるかは、文化的観点から明らかです。
Z世代はテレビやインターネットを使いこなす最初の世代だからです。

「Z世代がもたらすお金は大きな問題である」とTracyは続けた。Z世代は人口の40%を占め、3,600億ドルもの購買力を持っているといいます。
今後3年間で、ラグジュアリー市場の少なくとも50%はZ世代とミレニアル世代が占めることになります。
しかし、年代的には近しいZ世代とミレニアル世代だが、その行動特性は大きく異なるという。

「たとえば、Z世代は積極的に友人を作りたがりません。ミレニアル世代が膨大な数の(見知らぬ)友人とネットで繋がりたがる一方、Z世代は信頼できる少数の友人と密度の濃い関係を作りたがります

「Z世代はトレンドを追いかける代わりにそれを再利用します。逆説的ですが、目立つことで周囲に溶け込むのです」
Tracyは、Z世代は突然変異的に生まれたものではないとも指摘する。

彼らは世界的不況のなか生まれ、社会の混乱を体験し、テクノロジーの台頭とともに成長してきました。彼らを特別にしたのは、私たちがそれまで作ってきた文化なのです

『したがって、まず私たちがどう繋がり、どう働き、どう自己表現するかを考察することで、私たちにとって一番重要なこと、つまり「Z世代がどのような購買行動を取るか」を理解できる』とTracyは述べた。

Z世代理解の手がかり①『クリエイティブ・アクティヴィズム』

※クリエイティブ・アクティヴィズム=企業のスタンスをクリエイティブな形で表現すること(訳注)

Tracyは、Z世代を理解するための3つの手がかりの1つ目に『クリエイティブ・アクティヴィズム』を挙げた。

「Z世代は、自分達の事を人材スカウトや文化的キュレーターだと見做しています。彼らは、ブランドの未来を共に創ることを期待しています」
「彼らは、自分の意見を聞いてほしいと思っています。彼らはブランドと顧客との会話を、SNSのコメントを通してウォッチしています。

Z世代に適合しているブランドの多くは、この特性に対応し、またZ世代とブランドを共創しているといいます。

Z世代理解の手がかり②『スピード』

「Z世代がカルチャーを貪欲に摂取することはご存じだと思います」Tracyは述べる。「一度トレンドに乗ったからといって、そこにあぐらを掻いていたら、次の瞬間あなたはトレンドを見失うでしょう」

Z世代理解の手がかり③『Omni-Cultural』

最も大切な手がかりとして、TracyはZ世代が『Omni-Cultural』であることを挙げた。

彼らは#MeTooやBlack Lives Matterのような政治運動のなか成長しているので、多様性・公平性・包摂・帰属意識はZ世代にとって重要なテーマです。

Z世代の63%が、ブランドが象徴するものが「購買の意思決定に関わる」と答えたと言います。
そして、上記の多様性・公平性・包摂・帰属意識の全てにおいて鍵になるのが「authenticity=信憑性」です。企業がブランディングと矛盾した行動をしないかどうか、Z世代は常にウォッチしています。

クリエイターとの関係性がブランディングの未来をつくる

Meta社の擁するプラットフォームでは、1日に9,500万もの投稿があると言います。しかし、Z世代を突き動かす原動力は単なる投稿ではなく、それが「共有された繋がり」であるとTracyは言います。
MetaのようなSNSに、複数のクリエイターやブランドが集まり、各々のカルチャーをぶつけ合うマッシュアップによって、新しいカルチャーが創造されると言うのです。

Z世代は、ブランド発のコンテンツに比べると、クリエイター発のコンテンツに13倍の時間を使っています。したがって、ブランドや小売の皆さんは、自分のブランドがどのような形でプラットフォーム上に現れるかについて考えなくてはいけません。

メタバースがもたらす「没入性」

この先のインターネットを構築するキープレイヤーはクリエイターであることをTracyは確信しています。
Z世代が期待しているのはハイブリッドな体験です。
そしてブランドは、没入型のストーリーをZ世代に提供する必要があります。「没入型」といえば、メタバースに触れざるをえません。

メタバースは大きな賭けです。
皆さんは、メタバースという没入型フォーマットで消費者とどう繋がるかについて、各々考えていることでしょう。
なぜなら、メタバースこそ、インターネットの正統な後継者だからです。

正直、日本の現状を見るとそこまでの事業規模になるかどうかは微妙…(訳注)

まとめ:Post-Cookie時代の事業成長に必要なもの

Post-Cookie(Cookie規制施行後)の時代の事業成長のためには、クリエイティブが最も重要な手段である、とTracyは最後に述べました。
優れたクリエイティブはパフォーマンスに直結するので、ブランドホルダーがクリエイターに投資し、良いクリエイティブを生み出す流れはますます加速するでしょう。

「クリエイターの力を借りて、あなたのストーリーを複数のフォーマットで伝えよう。文化は、私たちが慣れていないスピードで起こっています。新しいことに慣れ、彼らのスピードに合わせよう」

感想


Meta社のポジショントーク(主に巨額の資金を投下しているメタバース周り)を除けば概ね肌感にも合った分析です。一方で、日本のZ世代の特性とは異なると思われる部分もあります。
例えば購買力。冷え込む一方の日本市場においてZ世代の財布の紐は海外ほど緩くなく、「コスパ」「タイパ」の様なワードが示唆するようにパフォーマンスを重視します。従って、これまでのブランディングでは「結局似たようなパフォーマスならUNIQLO/ワークマン+/SHEINで良くない?」とシビアな判断をされてしまいます。
この世代に支持されるためには、Tracyが言うように「このブランドは自分たちの声を聞いてくれる!」と思ってもらえる様、対話の窓口を開けておくことが重要だと考えます。それは彼らにとって、上に挙げた様な「高見えコスパ◎」なブランドとは大きな違い=選ばれる理由になるでしょう。
我田引水みたいになりますが、ブランドとユーザーの接点で最も購買に直結しやすいのは自社ECサイトです。自社ECにアクセスしてくれているユーザーに対し、入力箇所も多くコンタクトしにくい「お問合せフォーム」ではなく、気軽に対話できるチャットがあると、Z世代のウケは絶対に良くなります。

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