見出し画像

『ベンチャー企業がぶつかる「10億円の壁」』Vol.8:メンバーシップ型雇用のデメリット

前回(7回目)では、メンバーシップ型雇用のメリットをテーマにした。今回は、その裏面と言えるデメリットを取り上げる。

前回説明したように社員を長い期間にわたり、計画的段階的に育成できるのは確かに大きなメリットではある。トップマネジメント(経営層)にとっては、事業を展開する人材を確実に着実に確保できるのだから、安心ではあるだろう。事業の先行投資はしやすいだろうし、金融機関から融資を受ける際にも説明がつきやすくなるかもしれない。社員にとってもキャリア形成のメドが立つから、人生設計もしやすいはずだ。会社への帰属意識が深くなり、定着率が向上する傾向にはなる。

だが、経済状況や市場が相当な速さで変わる時代に突入している今、時間をかけて計画的段階的に育成するのは大きなリスクにもなる。例えば新卒(大卒)で入社し、様々な部署を経験し、20年目に営業部の管理職になったとする。20代前半で営業をしていた頃とは手法が様変わりし、部下にどのような指示をすればいいのかすらわからないかもしれない。その1つが、ITデジタル機器を駆使した営業手法だ。

現在は仕事で求められる技能や経験、ノウハウ、知識が高度化、専門化、複雑化している。特定の職務に長く従事しないと、適切な対応はできないはずだ。まして管理職として部下を束ねてのチームビルディングは難しいとも言えよう。一般職(非管理職)の頃から基本的には特定の職務のみに関わるようにして、その分野のエキスペートにすべきなのだ。そのようにしないと、時代の変化についていけなくなる恐れがある。

Vol.8の続きはこちらから


■もくじ

  • メンバーシップ型雇用のデメリット(その1)

  • メンバーシップ型雇用のデメリット(その2)

  • メンバーシップ型雇用のデメリット(その3)

  • メンバーシップ型雇用のデメリット(その4)

  • メンバーシップ型雇用のデメリット(その5)

  • メンバーシップ型雇用のデメリット(その6)

  • メンバーシップ型雇用のデメリット(その7)

  • メンバーシップ型雇用のデメリットのまとめ