若者はキャリア焦燥感から早期離職に走る
人手不足が加速する中、どの企業も人材の確保には頭を悩ましている。採用が難しいだけではない。ようやく迎え入れることができたと思っても、入社後わずか数年で退職されてしまったという嘆きの声が聞こえてくる。
実は、遡ってみるとこれは今に始まった課題ではない。もう30年余りも続いている。どんな理由があるのか。
何か防止の手立てはないのか。筑波大学人間系准教授の尾野 裕美氏にインタビューした。
インタビューの前編では、若者の早期離職の推移やその要因などを語ってもらった。
■前編の目次
早期離職をせざるを得なかった理由を会社としても冷静に検証すべき
漠然とした焦りから解放されたい若者が多い
この30年、早期離職の割合は変わっていない
20代の転職は焦りに起因する
インタビューの後編では、若者のキャリア焦燥感への対応に加え、男性社員に対する育休取得のメリットについても語ってもらった。
■後編の目次
キャリア焦燥感は3つの要素にわけられる
男性の育休取得促進が職場にさまざまなメリットをもたらす
社員全員を大切にするという会社の姿勢を伝える必要がある
尾野 裕美 氏
筑波大学 人間系 准教授
日本製粉株式会社(現:株式会社ニップン)の人事、株式会社インテリジェンス(現:パーソルキャリア株式会社)のキャリアカウンセラー、株式会社リクルートマネジメントソリューションズの研究員を経て独立。大学生のキャリア形成支援に従事する。その後、横浜商科大学専任講師、明星大学准教授を経て2023年4月より現職。
筑波大学大学院人間総合科学研究科生涯発達科学専攻修了、博士(カウンセリング科学)。
主な著書に『働くひとのキャリア焦燥感――キャリア形成を急ぐ若者の心理の解明』(ナカニシヤ出版)、『個人と組織のための男性育休――働く父母の心理と企業の支援』(ナカニシヤ出版)などがある。