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モノクロネガ自家現像研究録 低温静止現像

今回はモノクロ低温静止現像の実験をしましたので、その結果をまとめたいと思います。

結論

結論としては十分成功したといえる。
およそ目的の感度は得られているし、画像としての機能性も損じていない。
しかし、後述のとおり懸念事項がいくつかあるので、結果とともに述べる。

低温静止現像とは

通常、タンク現像においては現像液の注入直後に30秒程度連続で攪拌をおこなう。これは、フィルム面に付着している気泡やごみを取り除く目的で行う。
また、一定間隔(1分ごとに10秒など)ごとにも攪拌を行う。これはフィルムに接触する現像液が現像の進行とともに疲労(現像効果が低下)することを見越して、より新鮮な現像液がフィルムに接するように現像液を動かすことで現像の進行を早めるとともに均一でムラのない結果を得るために行う。
静止現像においては、注入直後の気泡などを取り払う目的で攪拌を行うが、一定間隔の攪拌は行わない。
攪拌しないことで、現像が進行するともに疲労した現像液は現像効果が低下し、一定水準を超えると化学的な変化をほとんど及ぼさないようになる。この現象はハイライト部分になるほど顕著に表れ、シャドウ部分との明暗差を少なく(コントラストを低く)する効果が期待できる。
標準現像の温度条件はおよそ20℃前後で行われ、温度が高いほど現像が速く進行し、温度が低いほど遅くなる。この関係はハイライト‐シャドウ間でリニアリティではなく、ハイライト部分ほど影響が顕著になる。したがって、温度が高いほどコントラストは増大し、温度が低いほどコントラストが下がる。
低温静止現像の最大の目的は、攪拌と温度条件を極端に設定し、きわめてコントラストの低い画像を得ることにある。
現像時間が大変長いため、許容誤差がとても大きくなることも特徴である。低温静止現像において秒単位ないしは分単位の時間管理は必要ないだろう。

現像条件および使用機材

現像液:Adox FX-39 II 
希釈:1+200
温度: 7℃ (冬季屋外の常水温)
現像時間: 10h
攪拌:初回1分間連続の後静置

camera: NikonS
Film: Kentmea100

結果

スポッティングの工程は省略している。
自動補正などの設定はすべてOFFにしてスキャンした。

非常にシャープネスの高い画像が得られた。
コントラストは非常に低く、太陽を直接フレームインさせない限りおよそ白飛びすることはないし、逆光部分のシャドウ部分は黒つぶれすることなくディティールを残している。
粒状は極端に荒いものの、鑑賞の邪魔にならない程度である。
現像ムラが生じている。コマによっては使用に耐えないものもあった。
1/3段ほど感度不足を感じるが、プリント工程において対処できる程度だろう。

総括して、最大の目的である低コントラストで、飛びも潰れもない画像を得ることに成功した。
粒状性の改善、および、感度不足を補う目的で現像液の希釈率を変更するのも一つの手段かもしれない。
現像ムラを改善する手段は今のところ思いつかない。。。何かないものか。。。


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