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[フィルム紹介]FUJIFILM NEOPAN100 ACROS

いまさら紹介するまでもないかもしれないモノクロフィルム。
先日、生産・出荷終了がアナウンスされ、フィルム愛好界は大きな悲しみに包まれました。

値段も手ごろで、品質も良く、入手しやすい国産唯一のモノクロフィルムが無くなってしまう寂しさを噛みしめながら、今この記事を書いています。。。

FUJIFILM NEOPAN100 ACROS 120
D−76原液 23℃ 5分30秒 
Mamiya RB67 + MAMIYA-SEKOR 180mm F4.5

微粒子なために、T-Maxなどに比べると線は柔らかい印象です。
しかし、十分なシャープネスと微粒子により解像度の高い美しい線が表現されます。
やや高温気味の現像でコントラストを上げてみました。
ハイライトが残り、シャドウにも粘りを感じさせる良好な階調性です。

FUJIFILM NEOPAN100 ACROS 120
D−76原液 20℃ 5分30秒
Mamiya RB67 + MAMIYA-SEKOR 65mm F4.5

感色性はオルソパンクロマチックで、赤色は暗く映ります。

FUJIFILM NEOPAN100 ACROS 120
D−23原液 20℃ 5分30秒
Mamiya RB67 + MAMIYA-SEKOR 100-200mm F5.2

FUJIFILM NEOPAN100 ACROS 120
SPUR AcurolN 1+80 20℃ 14分50秒
Mamiya RB67 + MAMIYA-SEKOR 100-200mm F5.2

ACROSの特徴の一つとして、現像に対する安定性が非常に高いことがあげられるでしょう。
上記三枚の写真はそれぞれ標準、軟調、硬調の現像液で現像したものですが、コントラストに大きな差異は感じられません。一定の条件の範囲内であれば、おおよそ良好な結果が得られます。
言い方を変えれば、増感には不向きで、現像によるコントロールが難しいとも言えます。

FUJIFILM NEOPAN100 ACROS 120
Microfine 原液 18℃ 13分 
Mamiya RB67 + MAMIYA-SEKOR 100-200mm F5.2

もう一つ、特徴的なのが120秒まで相反則不軌の影響を受けないと公称している点です。通常、この滝のように長秒露光を行うと、相反則不軌の影響で露光時間と露出との間の相関性が失われていき、より長い時間露光しないとアンダーになってしまう。という現象が起こります。
しかし、ACROSはどういう原理かよくわかりませんけど、120秒までは補正の必要なく露光できるわけです。便利。

この特性はコントラストとも重要な関係があります。
相反則不軌は、低照度、つまり画面のきわめてアンダーな部分でもマクロ的に発生します。
この影響を受けない。ということは、アンダー側のラチチュードが広く、つぶれにくい特性であるといえるわけです。
この特性から、ACROSは良好な階調性を表現し、写真に立体感や質感を与えてくれます。

こんなに、いいフィルムなのに、無くなってしまうなんて。。。
ロストテクノロジーとならずに、
Kodak P3200のように、いつか復活してくれる日を待っています。

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