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日本リビングラボネットワークの部会活動3:実践事例の活用

地域創生Coデザイン研究所木村篤信です。

前回記事にひきつづき、日本リビングラボネットワークの活動を紹介します。前回は、リビングラボの実践的なノウハウ、知見についてでしたが、今回はリビングラボの実践事例の活用についてです。

活きた形で実践事例を共有・活用するために

前回の記事で、文脈のある実践的なノウハウや知見を学術論文だけから得ようとすることの難しさと、それを乗り越えるために対話会を行っていることをお伝えしました。

学術論文以外にも、ノウハウや知見を知る方法としてWebサイトでの記事があります。わたしたちも、国内外のリビングラボのWebサイトやリビングラボを取り上げた記事を見ることがあります。そこには、ミッションや活動概要、詳しく情報を載せている場合は具体的なプロジェクトの情報が載っています。企業や自治体とマッチングしたいために、必要としている人材像や一緒に働く人の顔が見えるエピソードが載っている場合もあります。しかし、それらの情報はリビングラボ運営者や記事の執筆者(送り手)にとって、発信したい成果であったり、予算提供者への報告であったりし、そこでは、一貫したストーリーが求められることが多いです。今回、得たいと思っているノウハウや知見は、たとえば、つまずいたことであったり、裏側の予算の話や、現場での人間関係の難しさだったりするので、Webサイトの情報から掴むのが難しい状況でした。

そこで、日本リビングラボネットワークの対話会では、受け手が得たいと思う文脈を伴った形で事例を共有するため、事例入力フォーマットを作成してみました。そして、実践者が事前に事例を入力し、それを元に事例の共有しつつ、適宜、問いや悩みが浮かんだところで対話して深めるやり方としました。

まだ試行錯誤の途中ですが、事例入力フォーマットによって、事例を共有する実践者も自身の振り返りに効果があり、また、対話会での深まりもいい形で起きているように感じています。

自身の文脈に近い事例を見つけるためのリビングラボデータベース

実践ノウハウを得るという話から少しずれますが、日本の中にはどのくらいのリビングラボがあると思いますか?
ヨーロッパの場合は、リビングラボの団体European Network of Living Labs (ENoLL)があり、ENoLLに登録をしている活動団体が見れるリビングラボマップがあります。

日本では、ENoLLのような団体がないので、以前の記事で書いた課題があり、日本リビングラボネットワーク(JNoLL)を立ち上げることになりました。そして、日本でもENoLLのマップのようなものがあることで、実践者が自身の文脈に近い事例を見つけたり、近い事例に取り組んでいる実践者に連絡をしたりできる可能性があるので、日本リビングラボマップの作成は取り組みたいことの一つです。

どのようなかたちでリビングラボマップを作るのが良いのか、議論をしているところですが、その議論の題材として、「実践事例部会」では以下のような日本のリビングラボ データベースを定期的に作成しています。

日本のリビングラボ データベース(2023年4月版)抜粋

2023年4月時点でのデータによると、日本のリビングラボ分布図やこれまでの設立数などは以下の通りとなっています。



まだまだ全国に普及したとは言えない状況ですが、経済産業省がリビングラボの事業に取り組んだ2017年から一定数のリビングラボ設立が行われていることが見て取れます。これから立ち上がるリビングラボ実践者が、良質なリビングラボの実践的なノウハウ、知見や、自身の文脈に近いリビングラボ実践事例にアクセスできるよう、日本リビングラボネットワークとしては活動していけたらと考えています。

次回は、日本リビングラボネットワークとして登壇する6/4の横浜市とよこはま共創コンソーシアムの連携イベントについて報告する予定です。


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