見出し画像

「看護コーチは愛??!」

看護コーチは、看護とコーチングを実践する中で、患者・その家族・チームメンバー・他職種のスタッフ・地域の人々・その他関わる全ての人々がその人らしく輝いて生きるための支援をしています。
看護コーチトレーニングを卒業し、その後「認定看護コーチ」となった看護師の皆さんの日々の輝きを紹介することで、やっぱり看護っていいな、看護コーチングっていいなと思う瞬間をインタビューを通してたくさん見つけていきたいと思います。

初めて会った瞬間からなんだか懐かしい気持ちがして自己紹介も忘れてインタビューを開始した私。オンライン上、画面越しにもかかわらず、愛がにじみ出てあふれている小野寺美和さんのインタビューです。


画像1


小野寺美和さん
クリニック看護師
二児の母


【看護コーチは愛?】

(奈津美)前回のインタビューで「看護コーチは愛だと思います」といった名言があり、どうしてもその発言をした方にインタビューをしたくなって探しました(笑)どうしてそう思われるのか、その心を伺ってもいいですか?

(美和ちゃん)NCTを受けているときに私コーチングセッションができなくて逃げていたんですね、嫌で逃げていたというか。でもそんな時でも看護コーチの方々は心の窓を開けていて、いつでも戻ってきたくなったら帰ってきていいよって思ってくれていることや、私のことを認めてくれているっていうことをすごく感じたりして、もしかしたら看護コーチングって愛がないとできないのかなって思ったのがきっかけでした。NCTを受けていく中で、その人をきちんと見ないと、何も見えてこないというか、何も気づかない、そんな風に思えたんです。その人個人をきちんと見ると、やっぱりどんな人でも素晴らしいところがあって。でも、いつも「この人嫌いだな」って思うと、いつも悪いところしか見えなかったんですけど、その人に興味・関心・好奇心を持って聴くことで、嫌な人だと思ってたけど、こんないいところもあったんだなあっていう風に見つけ出すことができるようになったというか…。その人を愛さないと、見れないなあって思ったので、やっぱり看護コーチは愛がないとできないのかなって思いました。

(奈津美)そうだったんですね、心が震えました。なんて素敵なんだろうと思って、涙が出そうになります。その人をきちんと見ないとっておっしゃってましたけど、きちんと見るって具体的にどういうことですか?

(美和ちゃん)きちんと見る・・・何でしょうね、心の奥というか、その人が口で言ってることと本当に思っていることが違う時って、何か違和感というかそういうのを感じるものだなあっていうことにNCTで気づいて。学ぶ前は発せられた言葉だけに左右されてたんですけど、「この人実際どう思ってるのかなあ」って思ったときに一対一で話すとやっぱりこういう風に思ってたんだなあって思ったりして。言葉だけではなく、その人から感じる直感っていうか、何か心に引っかかるものがあると、ちょっと聴きたくなるというか。前まではそのままスルーしていたものでも、ちょっと一対一で話してみたいなって思うようになったりしました。

【聴くということ】

(奈津美)感じ取る力、言葉通りに聴くのではなく感じ取るのよっていうところですかね。そのことで、印象に残っているエピソードはどんなことですか?

(美和ちゃん)患者さんだと、お尻の手術のあとで「別に痛くはない」って言っていたけど、表情はすごく苦しそうな方がいたんです。痛くないって言ってるのに、どうしてこんなに苦しそうなんだろうと思って、「私にはちょっと苦しそうに見えるんですけど」って言葉を掛けたら「え、苦しそう?」って言葉が返ってきました。「はい、わたしにはちょっとそう見えます」ってもう一度言ったら、「あー、じゃあタバコかなあ」って言ったんです。その方はずっとタバコを吸いたかったみたいなんですけど、ニコチネルパッチはずっと拒否していたんですよね。そこで、「じゃあ(ニコチネル)パッチ貼ってみませんか」って言ったら「貼ってみる」ってことになって。貼ったらちょっと気持ちが楽になったみたいで、表情が変わったんです。率直に、「なんか、パッチ貼る前と今とでは表情が軽くなったように見えます」っていったら「なんかすごく落ち着いてきた」って言われて…、よかったなあって思える会話がありましたね。仕事では、今まで何となく気になってもスルーしていたことが、できるだけスルーせずにいられるようになりました。結局どんなに時間に追われていても、何分もかかるわけではないし、数秒で終わることだなあって気づいて、なるべく気になったら声をかけるようになったというか…。

(奈津美)なかなか普段「苦しそうに見えるけど、苦しくないって言ってるから・・・」ってスルーしそうになるところを、スルーしないというのがグッときますね。コーチとして働かれている姿がイメージできます。前までだったらそうじゃなかったかもしれないというところですけど、美和ちゃんの中でどんなことが起きていたんですか?

(美和ちゃん)えー、やっぱり看護コーチの愛を知ったから、「これはちょっとスルーしちゃいけないなって」思ったんだと思います。今までだったら、その言葉をかけて時間を延ばすくらいだったら、痛くないって言ってるしいいやって思って終わるんでしょうけど、これはちょっとそれではいけないなって。そこで気づいたんですよね。…もしかしたら人が好きになったのかもしれないですね。人が好きになったから、どんな小さな不安とか痛みでも少しでも取り除いてあげられたらなあと思ったんだと思います。

画像2


(奈津美)めっちゃ胸がきゅんとしました・・・。私も「人が好き」になった人だったので。患者さんにも何なのこの人って思うことがあったけど、そんな風に思わなくなったなって思います。

(美和ちゃん)そうですね。前までだったら、なんかやだなこの人って感じで終わってたのが、「あ、きっと何かあるんじゃないかなこの人」って思うようになって。それですね(笑)

【人が好きになったから…】

(奈津美)共感が止まりません(笑)なんか、美和ちゃんの看護観にも変化があったんじゃないでしょうか。

(美和ちゃん)看護観・・・。何だろう、まず、笑顔でいようと思ったんですよね。なんか、他の病院で働いている看護師さんとちょっと違うかもしれないんですけど、クリニックに来る患者さんはみんなお尻の病気の方なので、別に、今すぐ生死にかかわる患者さんたちではないのですが、クリニックには売店もなくどこにも出られないので、少しでも気持ちよく過ごしていただきたいって思うんです。看護とはちょっと違うのかもしれないですけど、病院で気持ちよく入院生活を送って、リラックスして、帰っていけるっていうか、誰にでも同じように気持ちよく過ごしていただけたらいいなって思うようになりました。前までだったら、ただ業務を終わらせようっていうか、この時間はこの仕事をしなくちゃいけないとか。たぶん人を人と思ってなかったっていうのが大きいと思うんです。今は、「人は人」。人として見れてるので、気持ちよく、ここに来てよかったって思って帰ってくれたらいいな、退院していってくれたらいいなって思えるようになったことが一番変わったことだと思います。

(奈津美)本当にほっこりします。心に熱いものが流れてきた気がします。なんて素敵な看護師さんなんだろう・・・

(美和ちゃん)なんか、こう、他の病院で働いている看護師さんと違って、医療行為が限られているというか、急患がそんなに来るわけでもないし。医療行為として行うことは少ないですけど、とにかく気持ちよく来てもらいたい、ここに来てよかったと思えるようなクリニックだったらいいなあって思ってます。

(奈津美)きっと皆さん思ってそうですよね。病院にまた来たくなるっていうのはなんだか違うかもしれませんが、また来たくなっちゃうクリニックのような気がします(笑) 美和ちゃんはこれからどんな看護師になっていきたいのですか?

(美和ちゃん)ちゃんと伝えられる看護師。患者さんだけじゃなく、スタッフだったり、医師にも伝えていけるというか、アサーティブに伝えることがわたしはまだ難しいので、それができたらいいなと思うんですよね。患者様の意見も伝え、スタッフ間でも円滑にコミュニケーションが取れるように、きちんとアサーティブに、自分をごまかさないで、自分の心にまっすぐ、素直でいたいなと思っています。ありのまま、事実をきちんと伝えていけるような。それから、やっぱり言葉に惑わされないできちんとその人を見て、素直でいたいですかね。一度NCTで学んで人が好きになったので、そのまま、前に戻らないように(笑)、人を好きなまま愛を忘れずそのまま行きたいなって思ってます。


画像3


【インタビューを終えて】

「人が好き」という美和ちゃんの愛にあふれた言葉に胸がいっぱいになっていました。
看護師として働く中で忙しさに追われ、どうしてか いろんなことにイライラしたり、関わるさまざまな人に腹が立ったりしてしまうことは誰にでもあるのではないでしょうか。ただ、美和ちゃんのように「人がすき」になることで、そのイライラやストレスは軽減できるのかもしれません。看護師として愛をもって看護を提供したり看護コーチとして関りをもったりすることは、患者さんやスタッフ、関わるたくさんの人の本当の気持ちを引き出すことにつながるのだと思います。
話している言葉通りに聴くのではなく、ちょっとした直感や違和感を大切にしながら聴くことで、看護師の会話の質はぐっと上がるのではないでしょうか。

美和ちゃんのいうとおり、看護コーチはとても大きな愛で成り立っているように思えました。


このインタビューのきっかけになった記事はこちら!



次回もお楽しみに★

インタビュアー:奈津美
救命病棟24時にあこがれて看護師になるも、その責任の重さからメンタルを崩し、1年で看護師を挫折。その後「自分のような新人看護師をつくりたくない」と病棟看護師へ再チャレンジ。もがいているうちに日本看護コーチ協会と出会い、認定看護コーチを取得。看護コーチングを通して、看護の楽しさや やりがいに気づき、たくさんの看護師の笑顔と幸せのため、現在は看護コーチ協会スタッフを務めながら、ナースの幸せサポーターとして活動中。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?