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「コスパ」を気にしすぎることの弊害

「コスパ」、全盛の世の中ですね。最近は「タイパ」などという言葉もかなり普及しているようです。「タイムパフォーマンス」の略だそうですが、まあ、コスパとほぼ同じ方向ですよね。いかに短時間で、最大の効果を発揮するか。とても現代的だなと思います。

僕もビジネス領域にいる人間なので、コストパフォーマンスを重視するという考え自体には基本的には賛成です。同じお金や時間を使うなら、最大のパフォーマンスを発揮したいと思うのは当たり前ではありますよね。ビジネスの基本中の基本だともいえるでしょう。

でもそれがあまり行き過ぎると、逆効果なのではとも思うわけです。しかもビジネスの話ではなく、趣味の領域でもいつもコスパ、タイパとか言ってる人を見ると。それこそ、人生という単位で考えた場合は、トータルでコスパが悪いんじゃないかと(笑)。以下、そういうことを考えていきたいと思います。


最近は、「ファスト文化」とか「ファスト教養」という言葉もあって、コスパ、タイパの話も関連させた上で昨今の風潮を批判する声も出てきました。

「ファストなんとか」というのは、たとえば本とか映画のサマリーだけをざっと読んだり動画で見たりして「とりあえず内容を押えておく」というような、そういうものが代表的な例ですよね。

いわゆる動画系インフルエンサーが、そのような「ファストなコンテンツ」によってビジネス展開しているのも問題だし、それを喜んで消費しているユーザーもまたどうなんだ、という批判です。

まあ、そのような批判も理解できます。知識や教養というものを単に「量」とみなして、ひたすら大量に消費するという風潮は、それが行き過ぎるとちょっと正常じゃないかなという思いが強くなります。


たとえばTwitterなんかでも、「自己啓発系」のアカウントがたくさん存在します。そしてプロフなどには、「月間◯◯冊読書!」などとよく書かれているわけです。

でも中には、どう考えても無理やろ...  と思う冊数を誇っている人もいるわけですよ。いったい1日に何冊本を読んでるのと。まあ、ご本人からすれば速読法とかなんとか、ちゃんと読んでると言うわけです。しかしそうなると、そもそも読書ってどういう概念なのか、ということになりますね。

これ、数を強調する風潮があるのは、本を読む冊数自体が「KPI」になってしまっているのかなと思うのですよね。ひたすらに量を追う。しかも速読などを駆使して、限りなく効率よく。そしてそれが、自分の成長のためには最善の行動であると。


コスパとかタイパというのは、結局は「KPIを追う」という発想に近しいですよね。KPIの達成を目指し、それをできるだけ効率よく追う、ということです。しかしながら問題は、本当の教養とか、知性とか、そういうものがはたしてKPIで測れるのかということです。

コストにしても、時間にしても、その「効率」だけを追いすぎると、そのこと自体が自己目的化することがあります。そして、そのパフォーマンスが良いこと自体に満足してしまう。だから、その結果として「何を得られたのか」を軽視するという結果につながる危惧があります。


本を読むということは、新しい知識を得たり、他の人の考え方を知るということを目的にする場合が多いと思います。かつ、それによって、自分の思考を変えたり、新しいインサイトを得たりということですね。

僕も、必要に迫られて、ある分野の本を短期間に大量に読むこともあります。しかしながら、そうやって読んだ本は長くは記憶に残らないことが多いのですよね。あまり深く刺さっていない。


やっぱり、じっくり何度も読み返したり、時間をかけて読んだ本の方が、自分の本当の「ベース」になる場合が多いと感じます。

そういう行動は、一見「タイパ」が悪いようにも見えます。一冊の本を、何日もかけて読むわけですから。ファスト消費の真逆の、スロー消費ですね。

しかしながら逆にいうと、本を一冊読んだだけで、それが自分の人生を大きく変えることもあるわけです。


それって、そう考えると、実はものすごくコスパ、タイパが良いですよね(笑)。人生トータルで考えた場合においては。なんでもかんでも、KPIに追われながら、大量に消費すればよいというものではないと思います。

量とか「やってる感」だけを自己目的化して満足するのではなく、やるための本当の意味をじっくり考えた上で動く。それこそが、人生において、本当に大切な態度だと思うわけです。


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