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「女性活躍」が企業育成の鍵であることは知っています。でも、どうすれば?

こんにちは、noteコーディネーターの玉岡です。
本日紹介する書籍はこちら!



企業価値が非財務情報によって位置づけられる潮流はもはやグローバルスタンダードとなりつつあります。
日本国内においても、上場企業において有価証券報告書内の開示項目に「人的資本」が定められ、女性の管理職比率や男性の育児介護休業制度取得率等、また企業としてのコンプライアンス遵守体制も記載内容に挙げられています。
2022年のジェンダーギャップ指数において、日本は国際ランキングで116位置と低位置に留まっており、その原因は政治および経済の参加率の低さとされています。
そうした背景を受け、政府は2030年までに企業内の女性役員比率を30%に引き上げる方針を打ち出しています。

本書は、まさに人的資本の要のひとつである「女性活躍」にフォーカスした一書です。
目次はこちら。


第1部 理論編
第1章 なぜ今「人的資本経営」なのか?
第2章 ダイバーシティが組織に与えるポジティブな効果 
第3章 日本における女性活躍の歴史
第4章 日本企業の女性管理職が増えない理由

第2部 実践編
第5章 女性活躍推進3つの視点と7つのポイント:現場・人事編
第6章 女性活躍推進3つの視点と7つのポイント:経営・広報編
第7章 実践!自社のアクションプランの作り方
第8章 先進企業事例


なぜ日本では女性管理職が育たないのか?

第一部では理論編として、人的資本と女性活躍の背景を詳述していきます。
注目すべきは「第4章 日本企業の女性管理職が増えない理由」でしょう。

下表は、国際社会における日本の「女性管理職」を取り巻く状況を分かりやすく切り取っています。

84P

入社から役員までのステージアップには「リーダーシップ・パイプライン」という理論があり、スタッフ~マネジメント層~経営層までを通貫したリーダー育成構造を指します。女性の場合、このリーダーシップパイプラインに破綻があり、適切な人材プールができていないと指摘します。
どれだけ男女共同参画が叫ばれても、出産、育児、子育ては未だ女性の肩に重くのしかかる現状は続いているのではないででしょうか。その現状を、本書は「昇格要件と育休ペナルティ」という図表で指摘します。

92P

産前産後休業、育児休業の取得がキャリアの停滞を生み、人材パイプラインの破綻につながるというわけです。
では、どのようにこの現状を打破すればよいのでしょう?
続く第2部 実践編でその方策が提案されます。

女性活躍のための5つのステップ

女性が企業組織でキャリアを育成するための段階を、本書では5つのステップに分類します。


125P

第5章は各ステップについて、リサーチデータや企業の実例を交えながら解説を行います。採用拡大期における、社団法人日本建設業連合会(日建連)やメルカリの取り組み等は興味深いです。

そして、ステップ間で最大の隔たりがあるのはステップ3とステップ4の間であると本書は説きます。その現状確認ためのチェックリストがこちらです。

154P

続く第6章、第7章では、経営・広報が女性活躍推進に果たすべき役割、課題分析は各種リサーチ手法を解説します。
組織としての「枠」づくりと、枠に入れ込む「中身」の作り方がまとめられています。ぜひ詳細は本書でご確認ください。

そして最終章となる第8章では、女性活躍における先進企業の実例を取り上げます。

キリンホールディングスのGMM

日本アイ・ビー・エム株式会社、キリンホールディングス株式会社の2社が紹介されており、特に印象に強く残ったものがキリンホールディングスが2024年3月に公表したグループ・マテリアリティ・マトリックス(GMM)です。

243P

「女性活躍」が単なる1トピックではなく、企業の社会的責任や目的達成に至る地続きのプログラムなのだ、ということが、キリンホールディングス株式会社 代表取締役副社長・CPO、法務統括 坪井 純子氏へのインタビューで実感できます。

本書は「女性活躍」に焦点を当てた一冊です。そしてそれ以上に、書題にある「多様性を活かすマネジメント」をどう実現するかに切り込んだ、とてもプラクティカルな一冊でもあります。経営企画、人事、総務セクションの方々はぜひ参考にすべき良書です。

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