見出し画像

まだ見ぬ君へ(10年後のお孫ちゃんへの伝言)

嫁さんに呆れられながらも、買ってしまった数多のプレゼント。
君はまだ、ママのお腹の中にいるけど、こっちは着々と準備を進めているぞ。安心するがいい。


君のママは日本生まれ

君のママが生まれる時、私たち夫婦はアメリカに駐在していた。
なので君のママは、アメリカ国籍を取得するはずだった。

若かりし日のじーじ(つまり私)とばーばは、君のママが生まれるまでに何度も、他の妊婦のカップルと一緒に、病院で呼吸法の練習をしたりして、出産の日を楽しみにしていた。

しかし急遽、私たちのおじいさん(つまり、君のばーばのおじいさん)がいよいよ危ないということで、その日までに曾孫の顔を見せてあげようと急遽、ばーばだけ帰国することとなった。

国際線の飛行機は、出産予定日まで2ヶ月を切ると搭乗を拒否されるので、帰国できるギリギリの日程だった。きっと呼ばれたのだと思う。運命だね。

そんなこともあって、君は日本で生まれることになったのだが、私は仕事の関係で駐在先で単身生活をしていた。

結局、君のママは私たちのおじいさんと入れ替わりで生まれてきたけれども、まさに生まれ変わりって感じだった。


君のママの誕生日の話

君のママの出産予定日は今でも覚えている。
手帳に書き、カレンダーに書き入れ、職場の人にも言って、私にとってはとても大切な日として脳みそに深く刻み込まれている。

結論から言うと、君のママは”まさに予定日通り”に生まれてきたんだ。
(いずれわかると思うけど、君のママはお利口さんだったんだよ。)

ただし、皮肉にもそのせいで、私は未だに君のママの本当の誕生日をしばしば間違えてしまうのだ。私の記憶に刻まれた出産予定日は私の駐在先の現地時間で、日本時間ではすでに翌日になっていたからだ。
、、、と言うことで、君のママの誕生日を間違えてしまうと言うわけだ。


ドキドキハラハラの出産連絡

君のママは、ばーばの実家近くの産婦人科で生まれた。
ばーばは出産直後には疲れ果てているだろうから、ばーばのお母さん(つまり君のママのおばあちゃん)が、出産の電話連絡を私にしてくれるだろうと予想した。

しかしばーばのお母さんは全く英語を話せない。どうしよう、、、。

一計を案じた私は、職場のローカルスタッフに、
「⚫︎月⚫︎日は、私の赤ん坊の誕生予定日だ。義母から電話があるかもしれないが彼女は英語が話せない。もし、”もしもし”を連呼する人から電話がかかったら全て私に回してくれ」と頼んだ。

そうして私は出産予定日が近づくにつれ緊張感が高まっていったのだった。

出産予定日当日、いつものように同僚とランチに外出したのだが、もういつ出産してもおかしくないと思って、See's candyの店で、"It's a girl!"のシールが貼られた葉巻型のクッキーを買っておいたんだ。みんなからは「まだ早い早い」と冷やかされたのだけれども、事務所に戻って程なく私の机の電話が鳴ったんだ。オフィスの同僚が一斉に私に注目する中、慌てて電話をとる私。

会話は日本語だったけど、私の表情で察したみたいで、電話を切った途端にみんなから祝福されたんだ。
職場のみんなに葉巻型クッキーを配る時、溢れんばかりの幸せを感じたよ。


じーじ/ばーばになるということ

君のママが生まれてから、私たち夫婦は初めて”親”になった。
今だからこそ言えるけれども、”親”から”子供”が生まれるのではなく、”子供”が出来て初めて”親”になるんだね。


私たちはもう直ぐ、さらに新たなステージへの変更を迎える。
”君”が生まれて初めて、私たちは”じーじ”と”ばーば”になる。
私たちにとってもまだ未体験の世界だけど、君と一緒なら私たちはきっとうまくやっていけると思っている。

親としての反省点もたくさんある。失敗もたくさんあった。
でも、それを踏まえた上で、私たちがどのように振る舞うべきかも学ばせてもらったと思っているよ。


じーじ/ばーばになるための準備運動

君が生まれてくるまでの目標を設定しておきたい。

喫緊の課題は五十肩の克服だ。
抱っこした君を地面に落とすわけにはいかない。絶対に治すと誓う。

君と散歩するために足腰の筋力増強も大切だ。
事務所に出勤した日は、通勤と昼休みの散歩で1日で6-8kmは歩いているのだが、在宅勤務の日は1kmにも満たない。これではダメだ。善処すると約束しよう。距離の長さよりも歩くスピードがトレーニングに大切らしいので、それを意識するようにしている。

実は私は水泳はからっきしだが心配は無用だ。君のパパもママも泳ぎは得意だ。私は球技も不得意だがこれも心配ない。君のパパは野球部出身だし、君のおじさんは強豪校のサッカー部出身だ。

私はといえば、野営生活は得意だった。もっといえば、アウトドア料理は得意だ。君にはサバイバル術を教えてあげよう。
ブランクがあるので思い出すのに少し時間を要するが、たいしたことではない。君がそれを始めるまでには十分に時間があるから大丈夫だ。

今でこそ、日本国中で携帯電話が使えるようになったが、世の中何が起こるかわからない。もし君が、私や君のママやおじさん同様にアマチュア無線家になりたいと思うなら応援するよ。私としても、孫とQSO(無線通信)できる日が来ることを楽しみにしている。

私が他に君にしてあげられることはといえば、、、海外生活の楽しさについてとことん語ってあげよう。そのためには外国語の能力もブラッシュアップしておかないといけないね。お孫ちゃんと外国語で大声で内緒話できたら楽しいかもしれない。


、、、と言うわけで、着々と準備は進んでいる。
今のままで居心地が良いのかもしれないが、準備ができたら出ておいで。
外の世界も捨てたもんじゃないぞ!



ここまで読んでいただいきありがとうございました。




これまでの収益は全て、それを必要としておられる方々へ、支援機関を通して寄付させていただきました。この活動は今後も継続したいと思っています。引き続きよろしくお願いいたします。