「お願い」

どうかお願い、静かにしていて

むせ返るような夏の空気に閉じ込められて、
鼓動、声、呼吸、血液、無意識に、迸る

無機質に光る天井は遠くに揺れる夜景のようで、
手を伸ばしても届かない、理想の姿、理想の私
脳内がネオンサインのように才気走り、
くるくると止まらず回る被害妄想、
更けていく夜を吸い込んでいく

見えない目で見つめていても、
きっと心は空っぽのまま
夜の雫がぽたぽた垂れて、
波紋のように染み渡るだけ

夜の光も雨音も、全部嫌いだ、大っ嫌いだ
どうかお願い、静かにしていて

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