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#つぶやき

「26歳生まれ」

生まれた時の私は一本の線でした。26歳でした。 感情は撒き散らかされたペンキの色でしかあ…

「ループする」

時計の針を逆さに回して 世界が無限にループする 私の体は誰かのからだ 私の言葉はわたしの…

「お願い」

どうかお願い、静かにしていて むせ返るような夏の空気に閉じ込められて、 鼓動、声、呼吸…

「風に乗せて」

振り向く度、揺れる前髪。 胸の鼓動と重なった。 怪訝な顔も、不機嫌な声も、 春の香りがい…

「Q」

「Q」という字を手に入れました。 水でした。明かりでした。 さらさらと風の間をすり抜けて…

「性に関する覚書」

結んだ髪を解いたら 夕暮れの先まで飛んでいけ わたしの声は もっと遠くで、もっと自由にな…

「破裂する」

風が強く吹いたら、 わたしだって世界からいなくなりたい。 空から降ってくる ざらついた感触の空気を 傷口に押し付けて、小さくうずくまっている。 逃げるように耳を塞げば、 時計の針が無機質なリズムですれ違う音。 だんだんと大きくなって近づいてきた。 金属板をこり擦り合わせたように不快で、生々しい。 月が空から落ちてきたら、きっと血まみれのわたしがいる。 剥き出しの太陽の前に立って、バラバラになった破片を持ったら、 どくどくと血液が巡る心臓と一緒に投げ捨ててやる。 冬は凶器だ

「クリスマスの思い出」

午前2時 真夜中の空を見上げてみれば きらきらひかる ドライフルーツ さらさらと 雪に変わっ…

「螺旋階段」

血液はいつもと変わらず体を巡る 空っぽになったお腹の中に 私の声が虚しく響いた 傷ひと…

「夜がくる前に」

立ち止まり 振り返れば 人ごみの中 茜色 なだらかに傾いて 薄明かりの下に注がれる 太…

『銀杏並木』

秋の入り口で 銀杏並木がさらさら揺れる ひらひら落ちる黄色い葉っぱは あたたかい文字 優…

『小さく回りながら』

首筋を流れる血液が 顔にかかった泥を拭うと 胃袋で飛び跳ねた黒猫は 身体中に鐘の音を響か…

『ブラックアウト』

静けさが黒く響くと 心臓は 寂しさの中に溶けていく 道端に捨てられた空は 灰に覆われて コ…

『夜のお仕事』

言葉たちがざわつく 36.5℃の砂浜では 子どもたちが行くあてもなく 足跡をつける 何も見えない海の底では 帰り道も分からず ひたすらベッドの上に 横たわる 白い太陽が邪魔だから 私は 水の中から起き上がる 私には はっきりと見える 私には はっきりと見える