「破裂する」

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風が強く吹いたら、
わたしだって世界からいなくなりたい。
空から降ってくる ざらついた感触の空気を
傷口に押し付けて、小さくうずくまっている。
逃げるように耳を塞げば、
時計の針が無機質なリズムですれ違う音。
だんだんと大きくなって近づいてきた。
金属板をこり擦り合わせたように不快で、生々しい。
月が空から落ちてきたら、きっと血まみれのわたしがいる。
剥き出しの太陽の前に立って、バラバラになった破片を持ったら、
どくどくと血液が巡る心臓と一緒に投げ捨ててやる。
冬は凶器だ。ナイフになって突き刺され。

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