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次世代リーダー育成塾 第1講 新社会人を迎えるリーダーに伝えたいこと

おはようございます。現在令和3年3月27日早朝。間もなく社会に「新社会人」がデビューを果たします。そんな時節になりました。私も来週からとある法人のお客さまの新入社員研修に講師として”新社会人”と対面します。ワクワクします。同時に責務の重さに身が引き締まります。そういう意味ではワナワナします。この会社様とはもう7年のお付き合いです。毎年新入社員を迎えさせて頂いています。会社の理念や社長方針の解説、本質の解釈を深める対話もさせて頂いています。責任重大です。

今日から新たなシリーズでこちらに仕事や人生を通じて「思うこと」を書いて参りたいと思います。テーマはここ数年、様々なお客様先で実践させて頂いている「次世代リーダー育成塾」。リーダーの定義は別記事で書いておりますので過去の記事をご参照ください。基本は「全社員がリーダー」、そしてリーダーの前提は「自分の人生を自分でリードしている」こと。そして多くの方が思い込んでいる「グイグイ人や組織を引っ張る」だけがリーダーでは無いことだけここで補足させて頂きます。

社会人とは誰のことか?

先ずこの問いです。皆さんはどうお答えになりますか?自らの信じる定義があるでしょうか。様々な個々の思いはしっかり受け止めつつ、こうお話ししています。「私の定義はたった一つ、”社会に貢献する人、または貢献しようと努力する人”」と定義しています。これは私の中では揺るぎない一人の人間としての思いです。皆さんは如何でしょうか。経営コンサルタントとしてお仕事をさせて頂いているからかもしれませんが、会社に入ったから社会人では困る、と考えています。何故なら会社とは「社会の公器」であるという原理原則があるからです。この基本理念の上に法律上法人格として認められているのが会社なのです。「社会の公器」とは松下幸之助さんがよくお使いになられた言葉ですが、もう少し具体的に言えば「本業を通じて社会に貢献する」ということです。ボランティアだけが社会貢献ではありません。むしろこの本業を通じてこそ社会・経済は発展していきます。より良い社会を次世代に遺す、この連綿とした人類の、国民の営みが世の中を発展させていくのです。

新入社員だからこそ最高を見せる、本質を知らせる

私の私淑する師の一人、田坂広志先生(多摩大学名誉教授・大学院経営情報学研究科特任教授、グロービス経営大学院大学特別顧問・経営研究科特任教授、株式会社日本総合研究所フェロー、シンクタンク・ソフィアバンク代表、田坂塾塾長、社会起業家フォーラム代表、社会起業大学株式会社名誉学長。長くてすいません…)はその著書の一つでこう述べられております。

マネジャーの無意識に、「新入社員なのだから、まず、この程度の教育をしておけばよい」といった発想が忍び込んでくることです。しかし、こうした発想は間違っています。 新入社員だからこそ、最も「高み」にあるものを見せなければならないのです。もちろん、それが新入社員の力量で理解できるとは 限りません。しかし、ビジネスマンとしてスタートした最も瑞々しい時期にこそ、 最も高みにある頂きを見上げるということをさせてあげるべきなのです。 
  
田坂 広志. 『なぜ、マネジメントが壁に突き当たるのか』(PHP文庫)

この覚悟が迎える側のリーダー(≒すべての先輩・上司)に求められているのです。益々わたしもワナワナして参りました(汗)。

会社において「最も高みにあるもの」とは何でしょうか?私は会社の存在意義(存在理由)であり、組織に集う仲間の共通の価値観でもある「理念」だと考えています。そしてこの理念とは、伝えるもの、では不十分で「体現する」ことが大切なものです。多くの企業の理念や社訓、社是といったものを以前研究したことがありました。おおよそ「社会への貢献」「お客様への貢献」或いは「社員の幸福追求」が共通した内容上位3つです。「利益の追求」を土台の価値観にしていないのが古来日本企業の特質であり、100年を超える企業が世界でも圧倒的に多い所以だと考えています。故に「体現」し続けてこなければこの歴史がウソになるわけです。しかし、以前も書きましたが、相変わらず講演・講義等で「企業の目的は?」と問うと「利益の追求」が先に来る方が9割くらいを占めます。”先義後利”という大切な原理原則があります。我が国で最も成果を上げた経営者の一人である松下幸之助さんはこう仰っています。少し長い引用ですが是非ご一読を。

私は六十年にわたって事業経営に携わってきた。そして、その体験を通じて感じるのは経営理念というものの大切さである。いいかえれば、“この会社は何のために存在しているのか。この経営をどういう目的で、またどのようなやり方で行っていくのか”という点について、しっかりとした基本の考え方を持つということである。
出典:松下幸之助『実践経営哲学』 (PHP研究所)
〝事業は人なり〟といわれるが、これはまったくそのとおりである。どんな経営でも適切な人を得てはじめて発展していくものである。いかに立派な歴史、伝統をもつ企業でも、その伝統を正しく受け継いでいく人を得なければ、だんだんに衰微していってしまう。(中略)
 それでは、どのようにすれば人が育つかということだが、これは具体的にはいろいろあるだろう。しかしいちばん大切なことは、〝この企業は何のためにあるのか、またどのように経営していくのか〟という基本の考え方、いいかえればこれまでに述べてきたような正しい経営理念、使命観というものを、その企業としてしっかりともつことである。そうした会社としての基本の考え、方針がはっきりしていれば、経営者なり管理監督者としても、それにもとづいた力強い指導もできるし、またそれぞれの人も、それに従って是非の判断ができるから、人も育ちやすい。ところが、そうしたものがないと、部下指導にも一貫性がなく、その時々の情勢なり、自分の感情に押し流されるといったことにもなりかねないから、人が育ちにくい。だから経営者として人を得たいと思うならば、まずみずからがしっかりした使命観、経営理念をもつことが先決である。                                   出典:松下 幸之助『実践経営哲学』 (PHP研究所)

「最高の高み」、皆さんはどのように伝え、体現していくか、目先のテクニックを教える前に先ずはこのことを真剣に向き合ってみて頂きたいと思います。最初が肝心です。その後の若い人たちの人生を左右する最初の1週間。後進を育て続けるのが現役世代の共通の使命。そのことを改めて思い、新たな春を迎えたいと思います。

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