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次世代リーダー育成塾 第2講 リーダーとは誰のことか?

おはようございます。本日は第2講をお届けします。今回はリーダーって誰の事?について。決して社長や部長といった役職では無いことだけ先に申し上げておきます。

1,リーダーの要件

今年も様々な企業様の次世代リーダー育成に関わらせて頂く予定ですが、どこのお客さま先でも共に追求(或いは追究)する共通したリーダー像があります。過去の記事に書きましたが改めて明示すると以下の4要件となります。

▼私の志向するリーダーの要件(こういう人は皆リーダー)
【1】次世代の社会、会社、組織に明るく豊かな時代を引き継ぐことを人生の目的としていること
【2】次の世代のリーダーを育てることに関心のある人
【3】面従腹背ではなく、ついてきてくれるメンバーがいること
【4】組織全ての成果に自身が最高の責任を負う覚悟があること

詳しくは過去の記事「リーダーを志す道」をお読み頂ければ幸いです。第2講の今回はさらにこのリーダー像を実現すべくそこに至るまでに求められる要素についてお話ししたいと思います。ざっくり?ですがリーダーに至るまでに磨き続けなければならないリーダー育成モデルとして下記のように纏めています。

リーダーモデル2.0

2,リーダー育成モデル ~成果とは何か~

私のお客様は基本的にはビジネス社会の企業です。よって社会や顧客にとっての成果を生むことが前提とされます。当たり前の話しで恐縮です。上記リーダー育成モデル(以降、上記モデル)の最終アウトプットは「成果」ですが、意外と「成果とは何ですか?」と問うと「数字=売り上げや利益」という答えは返ってくるのですがその先にある本質の答えはなかなかどの企業様でもで出来ません。「その先」とは何か?それは端的に申し上げれば企業の目的です。では企業の目的とは何か?それは各々の企業が大切にする理念やビジョンの実現に他なりません。もう少し具体的にいうと存在意義や本業を通じてどのような未来の社会や自社の姿を実現したいのかという未来像の実現です。会社ごとに成果は違うのです。つまり各社に独自の使命に基づいた独自の成果があるということです。但し、前提として企業の目的には原理原則があります。それはドラッカーの有名な「企業の目的は顧客の創造である。」(P.F.ドラッカー『マネジメント 基本と原則』)の一言に凝集されます。顧客、つまりお客さまのいない会社は存在できません。顧客の欲求、課題、困りごと、不満、不足、まだ知らない本当のニーズなどなど…顧客が価値ありとするモノゴトを解決することが企業の使命、存在自体の大前提になります。その上での独自の使命に基づいた独自の成果なのです。数字とは価値を提供し、顧客に受け容れられた”結果”であり、またその利益を使ってさらに提供価値を高めるための”手段”ということになります。前回、企業とは「社会の公器」と申し上げましたが、社会への貢献はこの顧客への貢献、課題の解決を通じてのみ実践できることです。ここがボランティア団体など非営利組織とは違うところです。つまりお客さま第一とはこのために必要な価値観であり実践なのです。ビジネスの世界ではこの第一の営みを「マーケティングとイノベーション」と表現します。よって企業戦略の第一はマーケティングとイノベーションの戦略を熟考し実行します。その先にある成果が「世の為人の為」になるのかどうか、この土台があるかないかが社会にとっても会社にとっても持続的な成長を支えるのです。故に上記モデルでは「正しい考え方」から出発しています。

3,リーダー育成モデル ~土台となる人間力とは~

上記育成モデルではリーダーが持つべきもの(自己に内在させるもの)として「正しい考え方」「軸(観性)」「情熱」をその土台としています。人格と言い換えてもよいかもしれません。人格形成という言葉があります。自己の中には潜在的な強みがありますが、性格も含めた人格は誰でも「形成」できるのです。学び続けることで誰でも磨き上げることが可能なのです。従って松下幸之助さんや優れたリーダーは「素直さ・謙虚さ」を大切にしたのだと思います。上記モデルでは上半分を「何を持つか」、それを持つために下半分を「何をするか」に分けています。まだまだ追究が必要な要素もありますが、2万時間近くをリーダー育成に向き合ってきた中で感じ取った枠組みとしては上記モデルが最新版です。上半分の何を持つかについて補足します。色を赤系と青系に分けていますが、これは幕末の志士、明治維新を通じて我が国の近代化に貢献した多くのリーダー排出の起点ともなった一人、佐久間象山の以下の言葉にヒントを得ています。

「学問に道と芸あり」(佐久間象山)

補足すると道とは人格形成の道徳であり、芸とは食べるための術(習い事) であるとされます。この二つを修得して一人前であると。のちにこの言葉が「東洋の道徳、西洋の芸術(科学)」に転化し、さらには「和魂洋才」の基 となります。渋沢栄一氏の「論語と算盤」の「士魂商才」にも通じる考え方です。しかし我が国の戦後教育では「道」を忘れ、「芸」ばかりを学んでしまったのではないか、との論考もあります。戦後教育の懸念については松下幸之助さんも述べておられますが、それはまた別の機会に。リーダー育成の基はこうした「道=正しい考え方」を磨く人間教育、人格形成から始めなければなりません。上記モデルではこの考えを基に赤系を「道=正しい考え方・人格形成」、青系を象山が言うところの「術」として色分けしています。無論、成果を出すためには「術」も大切であり否定するものではありません。しかしその土台が正しい考え方に基づかなければならないということです。よくこのことを説明するのに引用させて頂く金言があります。

「「徳」とは世のため、人のために頑張れる優しさのことです。人のために役立とうと思ったら、能力が必要になります。ですから、「徳」の高い人は自ら「才」を高めるよう努力するのです。でも「才」が高くて、「徳」が低い人は、その「才」を人殺しにつかってしまうのです。」
(コーケン工業株式会社 村松久範会長のことば)【出典】『日本でいちばん大切にしたい会社6』

正しい土台があれば「術」(才)は自ら高めるようになるものです。その姿勢がなければ受け身となり、研修を受けても学びは無く、また書物を読んで学び実践することもありません。故に土台が重要。次回、この正しい考え方、観性という軸、情熱の根源である志の磨き方について書きたいと思います。今回はここまで。お読み頂き有難うございます。

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