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顧客にとって最善の選択肢であるために大切なこと

多くの人が困る課題に対し、自社の製品・サービスが最善の選択肢であり、顧客からもそう思われている状態は、マーケティングで目指したい理想です。

こちらのnoteでは、競合他社だけでなく「何もしない」「自力で何とかする」まで引っくるめた全選択肢の中で最善の選択肢であろう、という趣旨のことを書きました。

※"「何もしない」「自力で何とかする」に勝てない状態"と言うとまどろっこしいのですが、要するに「需要がない」ということです。

「最善の選択肢である」は言うは易し行うは難しで、そのためにどうすればいいのでしょうか?

4P施策の前にやっておきたいこと

最善の選択肢であるために、
・製品・サービスを改善する
・適切な値付けをする
・伝わる工夫をする

・手に取れるようにする
こういった努力は大切なことだと思います。
これは、4P(Product, Price, Promotion, Place)施策と呼ばれます。

しかしその前に、そもそもやっておいた方がいいことがもう1つあります。

それは、顧客のお困りごとを絞り込むことだと思います。

顧客のお困りごと・要望はあれもこれもと聞きたくなるものです。しかしそこをグッとこらえて、あえて「この要望には答えない」を決めること。そして「この要望には世界一のクオリティで応える」を決めることです。

自社が最善の選択肢であるための、ランチェスター経営戦略

自社が優位に立てる局所戦にリソースの一点集中すべきと説くのはランチェスター経営戦略です。

ここで勝つんだという戦場を定め、そこに集中し、敵に優る力を投入する「局所優勢主義」こそ、弱者逆転の法則です。

"新版 ランチェスター戦略 「弱者逆転」の法則 小さくても儲かる会社になる「勝ち方」"(福永雅文 著)

例えばネットショップを作れるサービス、BASE(ベース)は、これからネットショップを始める個人や中小企業に特化。手軽にコストを抑えてネットショップを始められることを強みとします。

一般的には、個人や中小企業向けでなく、大企業向けにサービス展開すれば、高単価で売上に繋がりやすいとされます。

しかし、同社のミッション
"Payment to the People, Power to the People"
(民衆に決済サービスを、民衆に力を)と、大企業向けサービスは、相性が悪いです。

なぜなら、"the people"(民衆。つまり個人や中小企業)向けにサービス展開するのと、大企業向けにサービス展開するのでは、あるべきチーム体制から異なるからです。

大企業向けだと1億円が100アカウントあつまって100億円の流通総額になるのに対して、個人・中小企業向けだと10万円が1万アカウント集まって100億円の流通総額になります。

顧客数が全く違い、求められるサービス内容・水準も変わってきます。
個人・中小企業向けだと、1社1社対応していられません。そのため、大企業向けで求められる個別開発はできないし、顧客フォローも手厚くはできないと思います。

そして、そもそも大企業はBASE社のミッションでいう"the people"(民衆)ではありません。
ジョン・レノンの歌う"Power to the People"の趣旨としてはむしろ搾取してくる敵ですらあります(笑)

つまり、同社としては、大企業は、ミッションの時点から割り切って「捨てて」いるのです。

また、大企業と言わないまでも、売上が増えてきて色々な機能が欲しくなってきたショップさんが、BASEからShopifyなどより複雑だけど高機能なサービスに「卒業」していくことも、手軽にコストを抑えていることが強みの以上、ある程度しょうがないと割り切っていると思います。

こういった、ある顧客層をバッサリ捨てるような思い切った「割り切り」こそが、むしろ顧客にとって最善の選択肢となるために大切なことであり、ランチェスター経営戦略なんだと思います。

サービスの改善・伝え方の工夫だけではどうにもならないことがある

もちろんそんな割り切りをする前に、製品・サービスの改善や、伝え方の工夫を頑張ることも非常に大事です。努力や物量やハッタリで突破できる課題もたくさんあります。

しかし一方、ただ頑張っても太刀打ちできないことも多いと思います。

例えば、サプリメントを売っているとします。
何か健康の悩みがあるとして、普通に考えると、サプリメントなんか飲まずに病院に行った方がいいです。処方箋医薬品の方が効きますし、保険適用で安く済みます。

そこで「最大の競合は病院だ」などと思って「病院より効くサプリを作ろう」とするのは無謀です。新薬開発には多くの場合、数百億円のコストや10年近い歳月かかっています。

また、伝え方を工夫して「病院よりもサプリを飲もう」と伝えるのも止めたほうがいいです。ハッタリでもなんでもなく、単なる詐欺なので。
※「ガンが治るキノコ」などと言ってここにチャレンジする人たちはいます。

そうではなくて狙うは局所戦。病院がケアできない場面、例えば「予防に使ってもらおう」とか「治療後のケアに使ってもらおう」とかだと、現実的になるかなと思います。

自分たちが最善の選択肢になれる場面はどこなのか、冷静に考えてみることは大切だと思います。

最善の選択肢でなくても集客はできるが…

自社の製品・サービスが、顧客にとって最善の選択肢ではなかったとしても、販促・セールスの技をあの手この手駆使すれば集客自体はできてしまいます。

しかし、結局早々に見限られてしまいLTVが出ません。クレームや悪い口コミにもなります。結局、ROIが悪くなりやすいということになります。

まとまった人数の顧客がすでにいるとしたら、自社を選んでもらう必然性のある理由や場面は何らかあると思うので、それが何かよく考えて、実行に落としていきたいと思いました。

終わり。




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