必要は発明の母、ロボットニーズも同じ
こんにちは。世の中必要に迫られると、いろいろなアイデアから夢のようなものから実用的なものまで、いろいろと発明されていきます。
これはどうしても必要に迫られている状況が、改善策を生み出すということで、昔から言われる必要は発明の母と言う元になっていると思います。
さて、いつも話しているロボットについても結局は同じことだと思うんですよね。
今日はその一例を紹介します。
何でもできるはなんにもできない
よく言われることですが、このロボットは何でもできるんですよって。これって裏を返せばなんにもできないってこと言ってるようなものですね。
人間も同じじゃないですか、何でもできるようなマルチな人より、1つ秀でた特技を持っている人のほうが重宝がられる。
これとおんなじなんです。
今までのロボットのセールストークは、だいたいこの何でもできるんですという言葉だと思います。
もう少し詳しく説明すると、こんな事できますか?の問に対して、こうすればできますよ。この場合はどうなりますか?これで大丈夫です。
確かに、言ったような事の動作はできますね。
ただし、動作できるだけであって、それが求めている領域に達しているかは別物になると思います。
現在のロボット、特に協調型ロボットがこの領域だと思うんです。やろうと思えば、一様求めている内容の動作は可能なんです。
しかし、決定的な問題は精度が追いついていない、更には実行速度が極端に遅いということです。
以前にも話したかと思いますが、ロボットは人と同じ動きはまだ出来ていません。一番最先端を言っているボストンダイナミック社のロボットでさえも人間と全く同じ動作をすることは出来ておりません。
サイバーダイン社がT800を開発してくれれば、可能な領域に入ると思いますが、夢また夢の世界ですよね。
ということは、何でもできる=何にもできないという普遍の公式は今も健在なんです。
必要をロボットの発展に取り込めば特化した機能になる
先に話したように、必要は発明の母ですから、同じことをロボットの要求に置き換えていけば、必然的に単機能に絞られてくるんです。
例えば、物を作るときに行うネジ締め動作ですが、ネジを締めるために使うのはドライバー。手締めから電動に変わりそして今はネジ締めロボットというものがあります。
これは、製品の所定の位置にネジを締めるだけの自動機ですが、X-Y方向に動きながら、自動でネジを供給し締めていきます。
これだって、目的を絞ったから出来上がったロボットのひとつなんです。
また、接着剤や液体を塗布することも同じで、それ専用に作られた物で自動で精度良く行うものはすべてロボットと言われています。
このように、ロボットと言われる物は人と同じように動くということが大前提という固定概念が有るので、やれることはたくさんあっても、中途半端なものにしかならないんですよね。
目的を絞ればこんなものもできる
ロボットの基本にあるものは、人が実行するには難しいとか、単純作業で価値を生まないとか、そういうところに適用していくことが望まれていると思います。
そて、そういうことを目的とし現場ニーズに有ったロボットを三菱UFJ銀行が導入したようです。
これは今言われているデジタル・トランスフォーメーションに移行するための準備としても必須のことのようです。
今まで蓄積してきた3億枚以上の印鑑票を対象に、ホッチキスを外してデータに取り込み、デジタル化を行うロボットなんですね。
これは働き方改革にと、今年のニューノーマルと言われる働き方に対応するためなんです。
従来の紙ベースの業務スタイルでは現物にしばられてしまい、現物を保有するところでしか出来ない業務になってしまいます。
しかし、これがデジタル化されていれば、場所に縛られることもなく、日本各地どこでもそのデータを使うことで、効率よく作業をすることができるよになるんですね。
何でもできるは何にもできないの言葉から、一番利用が多いが現状の課題に縛られている事を洗い出し、それだけに特化したものがこの例になりますね。
ロボットのアームがガンガン動いているだけがロボットではなく、機能に特化したスペシャリストのようなものもロボットなんです。
使う目的、使うシチュエーションを絞ることにより、本当に使えるロボットってできるんです。
このように、我々生産技術者が柔軟な頭を持って、本当に困っていることは何なのだと言うことを明確にし、その課題に取り組むことが大事なんですね。
じぇいかわさきです。生産技術者として35年、今まで培った経験とスキルを元に、ものづくりに関わる世の出来事に対して思ったことをホンネで書いてます。ノウハウやアイデアもありますよ。 また写真も全力で撮っています、気に入った写真があればサポートや感想をぜひお寄せください。