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横浜FCのバスコレ第2弾

 先日「相鉄バス YOKOHAMA FCラッピングバス」の製品化が発表された。横浜FC的には今年夏に発売された「HAMABLUE号」に続く第2弾という形になる(タイトルカットの写真は筆者が自作したもの)。

 Jリーグで同一チームのラッピングバスが複数発売されるのは史上初である。TOMYTECのバスコレ担当者にフリエサポでもいるんじゃねぇの?と思うぐらい異例の事態だ。

https://diocolle.tomytec.co.jp/product/detail.html?jan=4543736327103

 リリースを最初に見た感想は、「HAMABLUE号も店頭に残っているのに、TOMYTECさん大丈夫?」。

 ただ視点を変えると、Jクラブによる販売・広報戦略の違いがあるのかな?とも思えてきた。

Jリーグバスの定番はトミカ

 Jリーグラッピングのバス・トラックのミニカーを数多く製品化しているのはTOMYTECの親会社・タカラトミーのトミカ。誰もが知っているミニカーの定番ブランドだ。

 近年はJクラブとのコラボレーション企画であることがほとんどで、試合会場やグッズショップ、オンラインストアでの限定販売とされることが常である。

 試しにJリーグオンラインストアで検索してみると、2023年12月時点でヒットするのは、ヴィッセル神戸やFC東京といったJ1で存在感をみせるクラブと、J3ながら絶大な人気を誇る松本山雅FCだ。

 トミカという商品のターゲット層は言うまでもなく年少者。ファン・サポーターに占める「子供に買い与えるニーズ+ミニカーコレクター」の割合はどのJクラブでもほぼ同じだと考えていいだろう。

 人気チー厶であれば販売数の計算が立つ。さらにトミカはデフォルメ化されたデザインなので、細かな違いを無視しながら既存の金型を流用しても商品として成立する。つまり製造コストも小さい。メーカーにとっては比較的手堅い商品といえる。
 現に松本山雅のトミカは再生産で完売。確実に利益を生み出しているはずだ。

バスコレ組は2パターン

 一方のバスコレ・Jリーグラッピング車は川崎フロンターレ、サンフレッチェ広島、V・ファーレン長崎と横浜FCの4クラブ。これらは発売時期によって2組に分けられる。

 川崎と広島の2クラブは2019年発売。前年の優勝・準優勝チームだ。何だかんだ言っても、強いチームには人気がついてくる(※1)。バスコレ初のJリーグアイテムだけに、その人気を当て込んで勢いをつけたかったのかもしれない。

 だが、そうだとしたら当ては外れた。発売から4年半が経った2023年12月現在も、新品を買うことが可能だ。バスコレは基本的に再生産のないアイテムだ。店頭にこれだけの期間のこっていること自体は珍しくはないが、少なくとも爆発的に売れたとは言いがたい。

 そもそもバスコレのターゲット層は、トミカより狭い。
 単価はトミカほど安くない。リアル志向の商品がゆえに、実車との違いにユーザーはシビアだし、仕上がりも繊細。プラスティック製なので強度にも劣る。小さな子供に買い与えるには躊躇してしまう代物だ。

長期在庫で店頭に残る、というメリット

 一方、4年のブランクを経て、2023年にバスコレが発売されたのは長崎と横浜FC。両クラブに共通しているのは、J1経験が浅い点だ。来季2024年はともにJ2で戦うことが決まっている。全国的な人気・知名度の面でも、まだまだ拡大を目指す立ち位置だ。

 これらJリーグラッピングのバスコレは、トミカのような限定品ではない。家電量販店やホビーショップなどで容易に手に入る一般販売品である。

 現状、川崎・広島・長崎・横浜FCの4チームがそのような実店舗の店頭で、残留争いを繰り広げているわけだ。商品としては困った話であるこの状況、クラブ側の視点から見ると必ずしもデメリットとはいえない。

 客層が別方向に偏っているとはいえども、ファン・サポーターという身内以外の不特定多数の目に触れる場所で、クラブ名やマスコットなどのビジュアルをコストなしに露出できるのだ。

 確かにパッケージ込みで10cm程度の小さいモノだ。せいぜい名前を思い出してもらえるぐらいの効果ぐらいだろう。下手すりゃ次の正月の福袋に放り込まれて「なんだ、横浜FCか」と舌打ちされるのが関の山なのかもしれない。

 それでも、身内以外の視線にさらされることは、ファン・サポーター層の拡大には大事だ。売れ残りとバカにされながらも、誰かの目に触れる場所に小さな広告塔を忍ばせ続けるチャンスは逃さないほうがいい。特に長崎や横浜FCのようなポジションのクラブであれば。

おわりに

 以上、いろいろな憶測を並べてみた。クラブやメーカーの中の人に取材したわけじゃないので、憶測です。
 とりあえず、相鉄バスYOKOHAMA FC仕様がどうなるか見てみよう。小さな広告塔の占有スペースが倍になるのかもしれないのだから。

注釈

※1:なぜかグサリと胸が痛くなる言葉である。

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