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金、金、金、金…売り物もないのに発信すればマネタイズできると煽るキラキラインフルエンサーがいたらそいつはバカです【中村淳彦の名前のないコラム】

「マネタイズ」って言葉が流行りなのかどうなのか、SNSではよく耳にしますよね。カタカナにするとふわっとしますが、とにかくお金を稼ぎましょう、ってことをやたらキラキラしたインフルエンサーや自称インフルエンサーの多くが言っています。動画や音声を配信したり文章書いたりを副業にしてマネタイズすれば、誰でも簡単にたくさんのお金が稼げるらしいんです。すごい時代がやってきましたね。

お金が欲しいなら水商売したほうがいいです

 ノンフィクションライターの中村淳彦です。
先日もネタにしたCさんが「キラキラインフルエンサーに毒されているので、発信=副業=マネタイズの欲望にまみれている。欲望を捨てよ!」みたいな投稿されていました。なんなのこれと思った。
「発信=マネタイズ」に疑問を抱きました。調べてみると、どうもワーママインフルエンサーが副業とかマネタイズを煽っているみたいで、なんか勘いしている人がめちゃめちゃ多い。ちょっと、僕からもなにか言った方がいいかなと思うので話していきます。

 簡潔に言うと、個人の発信活動は引き算です。引き算とは自分にどれぐらい制限かけないかとか、しがらみがないかとか。そういう引き算です。どれだけ楽な状態でしがらみなく発言ができるか、書くことができるか、ということになります。だから、ガチガチに制限がある人、これも言えないあれも言えないみたいな、しかも会社員だからとか、仕事のことも家庭のこともなにも言えないみたいな人は発信する環境にありません。自己実現するのは、なかなか難しいわけです。

 制限を取り払って、どれだけ自由でいれるかってことが発信のスタート地点に立つために必要なこと。だけど、このキラキラインフルエンサーは「発信=副業=マネタイズ」と言っていて、売り物もないのに発信してお金を作るみたいなこと煽っている。「アホなこと言うの、やめてください」という感じです。

 僕は雑誌とか出版を軸にコンテンツつくりのプロの人たちをたくさん知っているけど、このワーママみたいに金、金、金、金みたいなことを言う人はひとりも見たことがありません。ゼロ人です。発信者も聴いている人も、すごく品が悪い印象で、まさに欲にまみれた底辺です。「学びと成長」と謳っているのに、品性がない底辺だから救いがないです。

 発信はもうちょっとシンプルなことです。文章を書くのも、音声配信も同じですが、制限を取り払って言いたいことを誰かに伝えるだけ。それがコンテンツをつくるクリエイターの基本。そこに儲けたいとか、金が欲しいとか、そんな意識はまったく必要がありません。マネタイズ的な欲望、お金が欲しい欲望、副業のために発信しますなんて、そんなものただの物や情報を売りつける情報商材屋じゃないですか。クリエイターというより、ネットワークビジネスマンでしょう。コンテンツを聴いてくれる人を自分の利益の養分にしようとか、そういう意識に品性を感じられないわけです。

 音声配信も文章を書くのも同じだけど、発信してコンテンツをつくるのは自分を見つめ直して個性を掴んでいくことです。自分の言葉で音声配信なり、文章書いていくっていうことが発信なわけですね。個性がなかったり、自分の言葉がなかったりして、それが儲けることが目的だったらクリエイターじゃなくてネットワークビジネスマン。営業ならクリエイターぶらないで「営業マンです!」って言わないと親切ではないですよ。

 発信するにあたって、自分を見つめ直して、自分の生き方はどうだったと振り返る。自分自身はこういう人間だからこういうことを言いたい、こう生きてきたからこういう言葉が言えるみたいな、個性を掴んで初めてスタート地点に立てる。会社員は個性なしと思い込んでいる欲にまみれたワーママが、会社員の私はなんの個性もないと自分のことを決めつけて、発信=マネタイズ=副業=それがパラレルキャリアとか騒いで、聴いている人が混乱している現状があるようです。お金が欲しいならアフターファイブに熟女風俗とか、それが嫌ならスナックとか、そういう仕事をしたほうがいい。それがお金に飢えている貧乏人の一般的な問題解決策です。

 発信するとか、文章を書くとか、クリエイターとしてコンテンツを作るなら、まずお金が欲しいとか、そんなのは後の後の後の後。個性が掴めないで、隣の人とその隣の人とその隣の隣の人と同じこと言っていたら、誰にも聴かれないし、読まれません。だったら、読まれたり、聴かれたりするほうが先じゃないですか。

これまでの自分を否定する人の、何を誰が買うのですか?

 では、聴かれるためになにが必要かというと、個性です。で、個性とはなんなのかというと、あなた自身が自分の棚卸しをして、個性を掴んでいかなきゃいけない。だから、ただの会社員じゃつまらないから、副業で音声配信してマネタイズするにはどうすればいいか? 儲けるためにKindle出版するとか、大きな間違いです。
 発信=マネタイズ=パラレルキャリアなんて騒いでいる人がいたら、それは学びと成長どころか、有害。頭が悪すぎるし、自己実現するはずがない。金銭的に成功するためには嘘とかポエムを言って、無理やり聴いている人にお金をださせるしかないから本当にやめたほうがいいです。

 この騒いでいるワーママは、会社員らしい。自分では会社員を全否定しているので、関係ない僕があなたがどうすればいいか話します。金、金、金の前に自分が今までやってきた会社での仕事があるわけでしょ。そこで自分の個性を掴む必要がある。

 いったい、どういう仕事をしてきたのか、どういうことをして今に至っているのかがめちゃめちゃ重要。最重要なそこをすっ飛ばして、会社員なんか嫌だとか、嫌だから発信でマネタイズとか、今までの自分を全部否定することになる。そんな発言してはいけません。だってそうですよね。 30代後半で15年間くらい会社員をやって、その15年を全部否定してなにもないならば、ただのなにもしてない人じゃないですか。どうして自分がやってきた15年間を大切にして、そこで個性を作ろうとか思わないのでしょうか。自分の生業の15年間を全否定するような人は絶対に難しい。読まれることも、聴かれることもないでしょう。

 発信したいのだったら、大前提として今やっている仕事をちゃんとやる。本業を丁寧にやって、どうして自分がその仕事で頑張ってきたのか、いったい自分がその仕事でなにを生んで、自分にどういう影響があったのか、自分がどういう風に成長して、これからどうなりたいのかとか考えましょう。発信者はやっぱり生き様そのものが聴かれているわけです。あなたが無駄と思っている会社の仕事、無駄だと思っている時間を、ちゃんと発信できる人は自分のために使って、自分の血肉にしているわけです。

 作家とかライター、あと映画監督とかは、目指している人がたくさんいる人気職です。椅子取りゲームなので競争がある。駆けだしの人が食っていけないからと、コンビニのバイトを1日12時間して、残りの2時間を作家活動にあてて「売れるようになりたい!」と言っても、隣のプロの作家は1日中その時間を作家活動に使っている。そんな意識で敵うわけがないじゃないですか。

 そんなコンビニバイトの人がプロの作家より上に立てるたったひとつは、コンビニで働いている12時間を自分のものにしていくことです。そのワーママは会社員が嫌とか騒いでばかりで、どうしてわからないかなと思うわけです。「会社が嫌だから発信=副業=マネタイズ、みんなやろうね」とか言っている人いたらそいつバカですよ。バカなので、そんな話聴いたらまた無駄な時間が増えて、どうにもならなくなる。

 だから、ワーママは会社員の自分を受け入れる、それに発信したいみなさんは地に足をつけて「自分だけが言える言葉ってなに?」ということを考えてください。探せば、自分にしか言えない言葉は必ずあります。

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<著者プロフィール>
中村淳彦(なかむら・あつひこ)
ノンフィクションライター。無名AV女優インタビュー『名前のない女たち』シリーズ、『東京貧困女子。: 彼女たちはなぜ躓いたのか』、『悪魔の傾聴』などヒット作多数。花房観音との共著『ルポ池袋 アンダーワールド』(大洋図書)が絶賛発売中。Voicy「名前のない女たちの話」ほぼ毎日放送中。ニコニコチャンネルプラス「中村淳彦の40歳からの婚活ちゃんねる」が2月より配信スタート。

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