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好きじゃないけど嫌いじゃない

実家から見る雨はどこか神秘的なものに見える。
今住んでいる大阪の家よりも田舎の実家で見る雨はなんだか見惚れてしまうときがある。その雨は妙に粒が小さく見えて長細いものに見える。木の葉に当たる音と土に吸い込まれていく音しかない世界に僕はどこか吸い込まれていくような感覚に陥る。
それに雨はその土地独自の匂いを生み出す。
以前、山口県に出張に行った際、会社の同僚が
「雨降った後の土の匂いがなんとも癒されるな~」と感慨深いそうに言っている姿を見てこれが本物の都会人(羽田出身・在住)だと思った。
彼は他にも
「見てください!霧が凄いですよ!辺りが霧で何も見えないですよ!」
「今、峠を越えてここは盆地ですか?それとも谷とかなんですか?」
などの発言をしていた。
田舎の盆地出身の僕からしたら、霧や土の臭いも珍しいものではない。どこにでもある一地方の一地形にしか過ぎない。それを好奇心を持って外を眺めている姿を見て、この人の素直さに驚いた。

僕は雨の日は好きじゃない。でも、晴れの日では感じない雨音、土の臭いや霧。生きているのは人間や犬や猫といった近くの動物だけじゃなく、土や木々などの自然も僕らと同じくらい、むしろ生きることに精一杯な彼らの生気を感じられる。

近いものが遠くに感じ、遠いものが近くに感じる。

雨の日は好きじゃないけど嫌いになれない

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