セックスレスと顧客満足度

セックスレスと顧客満足度

先日の金曜日に僕は久しぶりに出社した。この2週間出張で鳥取県をウロチョロウロチョロしており毎日、日本海から吹く海風を浴びながら生活していた。初めて行く県に出張すること楽しみの一つである。そこの土地の臭いや人に触れることは自分の知らない世界に触れる瞬間であるからだ。また、その土地に住む方々の方言もなおのこと良い。しかし、2週間もウロチョロしながら県内を回ると流石に飽きてくる。そう、今の僕はもう既に鳥取県を自分の庭のような感覚で足を踏み入れている。人間はたった2週間で変わってしまう生き物だ。
話を戻す。
久しぶりに出社した理由はある会議に参加するためだ。その会議は特別重要でもないし正直すっぽかしても、誰にも文句を言われることのない会議である。ただ、なら参加しなくても別にいいだろうって思う方もいらっしゃるだろう。そんなわけにもいかないのが会社という組織である。また僕がこの事業所にやってきてまだ2か月という浅さ。さすがに一度も顔を出さずに知らない振りをしているのもまずく今回したわけだが、結論を言うとこの会議は面白かった。会議は基本面白くないものだからもしかしたらこの会議はミーティングという位置づけの方が正しいのかもしれない。どちらにせよこの時間は面白かった。ミーティングの内容は簡単に言えば「顧客満足度」に対しての反省点と改善点を探すものだが、この反省点が面白かった。様々な反省点と改善点を明るい雰囲気でミーティングを進めていく中で特に面白かったのが「付き合いの長い顧客からはいい評価を貰うのが難しい」ということである。まだ付き合いの短い顧客からは良いお言葉を頂いたり励みになれるような点や改善点がありミーティングに参加した物は各々メモを取ったり頷いたりしていた。しかし、付き合いの長い顧客からは厳しい評価を見て皆顔を顰めていた。理由はもう手を尽くした”感”が顔を顰める原因だと僕は思った。そしてこの皆の表情を見たときに「長年付き合いのある顧客」と「付き合いが短い顧客」の差はなんだろうと思ったときあることを思った。それは「恋」に似ていると。
「付き合いの長い顧客」は熟年老夫婦に、「付き合いの短い顧客」を付き合いたてホヤホヤの高校生カップルに置き換えて考えてほしい。ただ僕はまだ結婚もしていないし「老」が付く年齢でもないのであくまでも僕が想像する老夫婦として考えてほしい。日本人の多くの老夫婦はあまりイチャイチャしないイメージが僕にはある。お互い年齢を重ねても毎日キスしたり、愛の言葉を掛け合ったりする老夫婦は少ないように思える。この国は万年セックスレス大国であることは皆さんもご存じだろう。勿論、年齢による体力の低下などの身体的問題はあるにしろセックスレスは老夫婦だけではなく多くの「若い」夫婦でも見られる課題でもある。僕はこの「セックスレス」と「顧客満足度」は実は似てないけど似ているような存在ではないかと思った。セックスは生き物としてとても神秘的な行動である。生き物が次の世代へと子孫を残していくのは生き物にとって最高の行いである(※個人的な意見)。ただ、セックスは相手を敬う気持ちがなければ出来ない難しい代物だ(もちろん例外の人もいる)。一方、付き合いたてホヤホヤの高校生カップルを想像してほしい。きっと毎日セックスを行ったとして直ぐに飽きたり辞めたりしないだろう。それはまだ相手のことをよく知らず後々思うめんどくさいこともその時はカッコよく思えたり可愛く見えたりするのだろう。まさに「恋は盲目」という言葉が当てはまる状態だ。ではこの2組には何が違うのか。
僕が思うに、それはある一定の「評価基準」であるように思える。
ホヤホヤカップルには過去の付き合った人と比べることができる。
「前の人はこんなことしてきた」
「前の奴は臭かった」等上げだしたらキリがないが、要は男女共に今と昔の比較ができるデータを持っている(覚えている)という点だ。比較できるデータがあるからこそ今の人に対してより強い愛情をささげることができるのではないだろうか。
一方、老夫婦。長い間一緒に暮らしていると過去の比較できるデータすら覚えていないはずだ。「あの人は良かった」と思っても何が良くて良かったかを思い出すまでに時間がかかる。それは老夫婦に限らずどの世代にも言えることではあるのだが、思い出すことに時間をかけているということ。それはもう曖昧な記憶である。「付き合いの長い顧客」は過去の他の業者と比べることが出来ず、ここでいう「我々」と「付き合いの長い顧客」はセックスレスであるようなものだ。そして「我々」と「付き合いの短い顧客」は付き合いたてホヤホヤのカップルのようなものであると思う。
そんなことを考えていたミーティング。面白かったけどもう参加しなくていいかな。

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