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mud works|青木産婦人科

街の産婦人科のリブランディング

青木産婦人科は80年にわたり、世田谷区赤堤の土地に根ざした、街の産婦人科です。院長の2代目から3代目への代替わりを機に計画された医院建て替えと並走するかたちで、リブランディングのプロジェクトも始まりました。

青木産婦人科は長年地域に愛された医院であり、この場所でお産を経験した婦人や近隣の人々からの信頼も厚く、周囲との関係は開かれています。また、産後も育児の不安を相談できる「子育て相談室」が設置されており、育児中の親たちが情報交換や子育て中特有の孤独感解消の場として機能しています。
この“街に開かれた”場を継承し育てることを、街のホームドクターである産婦人科の役割として捉えて、建て替え/リブランディング計画を貫くテーマとしました。

3代目が目指すビジョンや想いを掘り下げ、街とコミュニケーションを深めるシナリオをプランニングし、「青木産婦人科のあるべき姿」を体現するコミュニケーションを行いました。 

  • 2018年4月着工。工事現場の仮囲いにカラフルなポスターを掲出。そこには青木産婦人科の新しいロゴ(命の継承・循環、地域の人々が集う場を表す「木」をシンボルマークにした)と「当院は、2019年6月にリニューアルオープンいたします。」というメッセージ、そしてQRコードを添えた。

工事現場の仮囲い
  • そのQRコードによって誘導されるウェブサイトでは、作業員が建設工事を行うアニメーションが描かれ、新院長からの代替わりに向けた街の皆様へ日々の感謝を伝えるご挨拶の文章も載せた。

ティザーサイトのキービジュアル
  • 工事中の仮診療所では、通院されている方に向けて、リニューアル後のサービス展開などが記載された手のひらサイズのリーフレットを配布。

リーフレット
三つ折り仕様
  • 工事期間を経て、オープンを前に仮囲いが取り払われ、建築全体が現れる。同時にウェブサイトのアニメーションも「工事中」から、完成された建物で人々が暮らしを営んでいる様子に変更。

ウェブサイトのキービジュアル
実際の時間帯と天気がイラストに反映される仕様
  • そのウェブサイトの中では、当院で出産を経験した方のインタビューコンテンツ「先輩お母さんたちの声」を掲載し、産婦人科選びで迷っている妊婦向けに、(大学病院などの選択肢と比べられるよう)土地に根ざした街の産婦人科の特徴がわかるリアルなエピソードを用意した。

先輩お母さんたちのインタビューコンテンツ
  • 院内のサイン計画は、施設内外のサイン計画はピクトグラムと機能ごとのカラーリングを組み合わせ、誘導性は担保しつつも病院の記号は極力省いた。

1F受付の案内板
案内板のカラーリングとリンクする、各サインの小口
  • そして、オープン直前。(一般的には医療関係者向けのみに行うことが多いが)地域の方も招いた医院内覧会(街開き)を行い、院長をはじめとする当院スタッフたちが提供サービスや設備について丁寧に案内した。

内覧会 当日の様子
内覧会 当日の様子

こうした継続的なコミュニケーションによって地域の人々との信頼関係を深めながら、新たな青木産婦人科での営みが始まりました。
オープン当初から問い合わせや予約が多く、いつも赤ちゃんの元気な泣き声や親子の笑顔が溢れる育みの場として賑わっています。(それはもちろん、院長をはじめとするスタッフの方々の日々の努力の賜物だが、僕もこのような場の立ち上げや運営に関わることができて嬉しく思う。)

その他制作物はこちらをご参照ください↓


周年プロジェクトのプランニング

その後も運営のお手伝いをさせてもらっている中、2021年8月で、青木産婦人科は80周年を迎えようとしていました。そこで、青木さんから「80周年に何かできないかな?」とご相談をもらい、プランニングを始めました。

あらゆるステークホルダーへ“感謝”を伝え、“関係性の強化”を図るということを上位の目的としつつ、
・スタッフや取引先との意思統一
・お客様への価値提示
を目指してプロジェクトを設計しました。

医院のある商店街に掲出する屋外広告や、院内のコミュニケーションを促すツール開発など、いろいろと議論を重ねましたが、最終的には以下の撮影イベントを中心に据えたプロジェクトを行うことに。

  • 過去青木産婦人科でお産をされたお母さん/ご家族に対して、撮影イベントを直接ご案内・ご招待。その後少し時間を空けて、一般告知も行った。

  • 2日間の撮影イベントを実施。1家族ごとに時間を確保して、丁寧に撮影を行った。撮影カメラマンも、青木さんに縁のある方にご協力いただいた。

受付準備中
撮影の待ち時間
撮影中の様子
  • 後日、写真データを整理して、80thの特設サイトを公開。院長メッセージや撮影写真などを掲載した。

特設サイトのキービジュアル
  • さらに後日、撮影イベントに参加されたご家族やスタッフ、関係者に対して記念ブックを贈呈。

記念ブック
撮影した写真をセレクトして掲載
院長メッセージも掲載

撮影イベントには先代院長や助産師、スタッフにも参加してもらったこともあり、ご家族との再会を喜び合う、同窓会のような賑やかな空間でした。
これはリブランディング時に大事に考えていた、“街に開かれた”場を継承し育てることを体現する、象徴的なイベントとなったように思います。

その他制作物の写真はこちらをご参照ください↓


以上、mudのブランディング案件の事例として、青木産婦人科のプロジェクトをご紹介させていただきました。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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