読書感想文 『世界史を大きく動かした植物』 著:稲垣栄洋

面白かったです。とても!
素晴らしい出会いでした。

あまり読者にふける時間を取れないので、200ページ以内で、という探し方をして出会った本です。その気になれば2日ほどで読み終えられそう。そして、興味を持った章を、折に触れて読み返すのも楽しそう。

タイトルの通り、世界史を、人と密接に関わってきたそれぞれの植物に主眼を置いて、章ごとに語られている。
人々が主食としているムギやイネ、革命的な香辛料であったコショウなど、人の生活や文明との関わりが解説されており、とても楽しく読める。

個人的にとても面白かったのは、ジャガイモの章だ。
ヨーロッパに持ち込まれ、雌雄による生殖を行わないジャガイモが性的に不純であるとされ、魔女裁判にかけられたうえに火あぶりにされた話などは爆笑した。
また、ルイ16世についての逸話も興味深い。私たちが教育課程で教わる彼の印象は、どうしても絶対王政で強大な権力をふるい、革命によって倒され、捕縛されギロチンにかけられるというものが強く残っているのではないだろうか。
しかし、飢饉に苦しむフランスにジャガイモを広めたのはルイ16世による功績が大きいのだという。並べてあまり良くない語られ方をしがちなマリー・アントワネットも、ジャガイモの花飾りをつけて協力していたようだ。植物に主眼を置くことで、モノの見え方が大きく変わることを強く感じたエピソードだ。

私はトマトがとても好きで、ほぼ毎日食している。そのトマトについても、一章が使われている。
よく言われる、トマトが野菜であるか果物であるか、という話も詳しく解説されている。ここでも裁判だ。
また、トマトが赤い理由なども、どこかで聞いたことがあった気はするが、改めてしっかりと知ることができた。

その他の章についても、歴史が好きな人ならより深く楽しめるのではないだろうか。
中学歴史程度の知識があれば、十分に楽しめると思う。
いわゆる雑学・教養としても役にたつ知識が詰まっているので、ぜひ読んでみて欲しい1冊です。

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