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オープン社内報🔫 アナログゲームのインストが好きなんだ!!


こんにちは、
㈱ジプロスが運営をしております、明光義塾お花茶屋駅前教室の葛西(かさい)と申します。

このたび、ジプロスオープン社内報の運営担当者から「連載をしてほしい」とのお声がけをいただきました。

二つ返事で快諾する姿勢を見せた後、古代ギリシアの弁論術で「週1更新」を「10日に1本」に譲歩させた上で、さらに「葛西さんは葛西さんの書きたいこと書いていいですよ」という言質も取りました。ありがとうアリストテレス。

その記念すべき1本目ですが、本当に書きたいことを書きました。

私もさすがに、葛藤がないわけではなかったのですが、原稿チェックの前にその旨を相談したら「君は君のままでいい」的な甘い言葉をささやかれ、理性が吹っ飛び、今もなお、軽くトランス状態です。軽トラです。


本題です

突然ですが、みなさんアナログゲームってわかりますか?

UNOのようなカードゲームや人生ゲームなどのボードゲームの総称です。今の御時世ではなかなか難しいですが、みんなで集まってワイワイやるイメージのゲームです。

仲間内でアナログゲームをやるとき、だいたい私が個人所有しているものを使うので、流れ上、私がそのゲームのルール説明(インスト)をするのですが、

インストがめっちゃ好き

なんですよ。これが。

きっかけはある時に「葛西さん、インスト上手ですよね」と言ってもらってからなのですが、正直、インストがしたいから新しいゲームを買っていると言っても過言ではない。


おそらく誰もピンときていないでしょう。
0ピンでしょう。共感ガーターでしょう。

『チャオチャオ』という傑作ボードゲームを例に、説明させていただきます。


最近は某バラエティ番組でこれとほぼ同じルールのゲームが人気ですね。

放送されたばかりのときはTwitterですぐ「チャオチャオ」を検索して「〇〇でやってるゲーム、まんまチャオチャオで草」というツイートにいいねしました。他意はない。

一般的な「チャオチャオ」のインスト

このゲームは2〜4人で対戦します。

順番になったプレイヤーは筒の中でサイコロを振り、周りに見えないように自分だけ出た目を確認します。サイコロには1〜4の目と、ふたつの✕の目があります。

サイコロを振ったプレイヤーは出た目を宣言します。その際、嘘をついても構いません。✕の目が出ているときは必ず嘘をつかなければなりません。

他のプレイヤーから指摘が入らなければ、宣言した目の数だけ自分の駒を進めることができます。他のプレイヤーから「嘘だ!」と指摘が入った場合、サイコロの目が変わらないようにそっと筒を移動させ、指摘したプレイヤーに目を確認してもらいます。

もし出た目が宣言した目と異なっていた場合、指摘されたプレイヤーの駒は盤の下に落とし、指摘したプレイヤーの駒を「宣言した目」の数だけ進めます。たとえばAさんが「4」と宣言し、Bさんが指摘を入れて確認をして、実際の目が「1」だった場合、Aさんの駒が落ち、Bさんの駒が4進みます。

また、出た目が宣言通りの目だった場合、指摘をしたプレイヤーの駒を落とします。

駒は各プレイヤーに7つ用意されており、ゴールしたり落ちたりして動かせる駒がなくなったプレイヤーはそれ以上サイコロを振ることができなくなります。

駒はゴールすると、①〜⑧と書いてあるマスに順番に移動します。これはプレイヤーの得点を意味します。このゲームでは、(1) 自分の駒を3つゴールさせるか、(2)すべてのプレイヤーが動かせる駒を失った場合に終了します。(1)の場合は即座にそのプレイヤーの勝利です。(2)の場合は、ゴールしている駒の合計得点がもっとも多いプレイヤーの勝利です。

なお、動かせる駒がなくなったプレイヤーも、ゴールしている駒があれば、それをかけて他プレイヤーに指摘を入れることができます。もし指摘を誤った場合はゴールしている駒の内、得点が低いものを落とします。

こんな感じですね。過不足なく、チャオチャオのルールを説明できています。

しかし、これではただルールを説明しただけ。

せっかく集まってくれたプレイヤーを、「プレイできる状態」にするだけです。

私はインストを通じて、「プレイしたい状態」にするべきだと考えています。そのためにはただルールを説明するだけでなく、このゲームの肝、面白いところがどこなのかを明確にしなければなりません。

チャオチャオの面白いところは?


「チャオチャオ」の面白い点は、次の2点だと思います。

(1)出た目を虚偽報告できる
(2)勝ち筋が2パターンある

まず(1)は言わずもがな、通常のすごろくではありえない要素ですね。ここはもっとドラマチックに、「え、それやっていいの?」という反応を引き出せるように伝えたいところです。

次に(2)ですが、これはルールをただなぞるだけでは気づきにくい部分です。

「チャオチャオ」は勝利条件が2つあります。自分の駒を先に3つゴールさせるか、高いポイントを獲得して勝利するか。
このゲームでは、最初にゴールするとポイントが1点、次にゴールすると2点、3点、4点と、後にゴールしたほうが得点が高い仕組みになっています。

つまりこのゲームは、(1)時に出た目を虚偽報告してもなるべく早く駒をゴールさせるか、(2)自分の駒を多く生存させてできるだけ遅いタイミングでゴールさせるか、の2つのベクトルが存在するのです。これもかなり面白いポイントですね。

この2つに力点をおいて、インストがしたいわけです。

私なら「チャオチャオ」こうインストするんだぜ

「チャオチャオ」はすごろくゲームです。

自分の手番が来たらサイコロを振って、出た目にしたがって自分の駒を進めます。駒を先に3つゴールさせたら勝利です。簡単ですね。

ただ、お気づきだと思いますけど、皆さんの手元には駒が7つあります。3つゴールで勝ちなのに、なぜ7つあるのか。実は、このゲームにおいて、3つの駒が無事にゴールすることは珍しいのです。

サイコロを見て下さい。1〜4の目と、✕印が2つ書いてあります。手番のプレイヤーはサイコロを筒の中で転がして、自分だけが目を確認し、「3!」とか「4!」とか宣言します。このとき、嘘をついても構いません。また✕が出た場合は、✕とは言わずに必ず1〜4の数字を宣言する必要があります。

他のプレイヤーはその様子を見て、「嘘だ!」と指摘することができます。

指摘が成功した場合、指摘したプレイヤーの駒が「宣言した目」だけ進み、指摘したプレイヤーの駒は橋の下に落とされ、新しい駒をスタートマスに置きます。
いくら順調に進んでいても、落とされたら振り出しです。

指摘が失敗した場合は、指摘したプレイヤーの駒が落ちますので注意しましょう。

ただそれを恐れて指摘を入れないと、他プレイヤーが3つゴールさせてしまうので、ときには勇気をふりしぼる必要があります。

このように、互いに疑い合って駒を落としあうので、3つをゴールさせることがいかに難しいか、ということなのです。

では、全員が駒を落とすなどして、3つをゴールさせられなかった場合はどうなるでしょう。これはそこまでで稼いだ「ポイント」での勝負になります。

駒がゴールすると、①〜⑧と書かれたマスに順番に移動します。最初にゴールすると1点、次は2点、3点、4点と、後半にゴールするほうが得点が高いことになります。

さっさと3つゴールさせるか、他人より多くの駒を生存させてできるだけ遅くゴールするか…。戦略が問われます。

しかし、このゲームの必勝法は、

「できるだけ✕を出さない」。これだけです。

嘘をつかなければ、駒が落ちることはありません。数字を出し続ければよいのです…。

「したくなる」インストのポイント(だと思うこと)


意識した点は3つです。

(1)面白いポイントを一番わかりやすく。
(2)プレイヤーに疑問をもたせる。
(3)すべてのルールをインストで伝えない。

(1)は伝え方よりも、まず面白いポイントを自分で見抜く方が大事です。

なお「勝ち筋」の話は、インストでしてしまうとプレイヤーの楽しみを阻害する恐れがあるので、「さっさと3つゴールさせるか…」という文言はわざと伝えない、ということも考えられます。

(2)では、「じゃあなんで駒が7つなの?」をフックにして虚偽報告のルールを説明したいがために、普通のすごろくゲームです → 3つゴールさせたら勝ちです →じゃあなんで駒が7つなの?と疑問を誘発する伝え方にしています。

(3)は意外と重要で、インストは何もルールをすべて伝える場ではありません。

私はインストの目的を「ゲームがしたい状態」になってもらうことだと考えていますから、最低限、ゲームが始められる程度の理解で良いのです。

特にゲームの根幹(=面白いポイント)に関わるルールと、勝利条件はお伝えをしますが、それ以外はおいおいにします。

今回であれば「自分の動かせる駒がなくなってもゴールしている駒を賭けて指摘ができる」という点には触れていません。
もちろんインスト中に質問があれば答えますが、ゲーム中盤〜終盤の動きで、「こういう場合はこうなる」という状況対応のルールは、煩雑になるのでインストからは除外します。


ひとくちに「ルール説明」と言っても、工夫は無限大です。

インストを考えるの、ほんとに面白いんですよ。そのゲームの魅力を引き出すも殺すも、インスト次第だと思っています。

特にルール設計は、ゲーム制作者の方たちが血ヘド吐きながら細部までこだわってやっておられるわけで。その熱意には応えねばなるまい、でしょう。


ほんとに最初から最後まで好きなものの話しをしただけだった。
お読みくださりありがとうございました。



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