地主恵亮

日本のどこかにある、ラブホテルを紹介しています。 普段は記事を書いたり、写真を撮ったり…

地主恵亮

日本のどこかにある、ラブホテルを紹介しています。 普段は記事を書いたり、写真を撮ったり、動画を作ったりしています。 何かございましたら「jinushikeisuke@gmail.com」までご連絡ください

マガジン

  • 日本ラブホテル探訪

    日本各地にあるラブホテルを訪れ紹介しています。直接的な言葉は登場しません。何かございましたら「jinushikeisuke@gmail.com」までご連絡ください。

最近の記事

ホテルこの世の果て

朝になると日が昇り、夜になると日が沈む。日本に住む我々には、それが当たり前のように感じる。季節や地域にもよるが、六時頃には空が明るくなり、十七時頃に暗くなる。ただ世界は広く必ずしもそうとは限らない。 たとえば、北極に近い地域では夏場になると日が沈まない。二四時になっても明るく、場所によっては一日中太陽が沈まないこともある。これを「白夜」という。その反対に「極夜」というものもあり、これは白夜の反対でいつまで経っても、太陽が昇らず、暗い状態が続く。ずっと夜なのだ。 白夜や極夜

    • ホテルブラック企業

      最近でもないけれど、ブラック企業が話題になっている。終業時刻になってタイムカードは押すけれど、その後も変わらず仕事を続けなければならなかったり、ノルマがあり自社製品を自分で買わなくてはならなかったりと、いろいろなブラックな話題をよく聞く。 今回紹介するラブホテルの名前が「ホテルブラック企業」なのだ。ブラック企業は最近話題になっていることだけれど、このホテルはかなり昔からある。バブル期にできたホテルで、その頃は今ほどブラック企業が話題にはなっていないはずだ。先見の明があるホテ

      • スーパーファンタジーミリオンストライクヒーローズガーデンホテル

        ガラケーと言われる「フィーチャー・フォン」から「スマートフォン」へ電話が進化したように、ラブホテルにもいくつかの進化の歴史がある。ラブホテルの歴史を振り返ると、古くは「連れ込み宿(貸座敷)」が始まりだった。江戸時代にもそれはあったけれど、明治へと時代が変わり、日本料亭が不況の煽りで「連れ込み宿」へと業態を変え一気に件数は増えた。そのため、連れ込み宿は近年のラブホテルとは外観が大きく異なる。 その後も進化は生まれた。特筆すべきは戦後間もない頃に起きたものだろう。それは福岡県北

        • ホテルおくのほそ道

          松尾芭蕉が「おくのほそ道」の旅に出かけたのは、一六八九年のことだった。江戸を出発し、俳句を詠みながら秋田まで進んだ。「夏草や 兵(つわもの)どもが 夢のあと」や、「一家に 遊女もねたり 萩と月」など誰もが知る俳句を詠んだ。 そんな「おくのほそ道」を名前にしたラブホテルが岐阜県にあった。「ホテルおくのほそ道」。そのままの名前だけれど、「おくのほそ道」の終着点である岐阜にそのホテルがあることを素敵に感じる。ホテルのネーミングとしても、「おくのほそ道」にはいろいろな意味を感じるこ

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        • 日本ラブホテル探訪
          9本

        記事

          ホテル怒り天狗と微笑み天女

          深夜、眠れずにお酒を飲む。医者からは止められているけれど、眠れないので飲む。別に体のどこかが悪くて止められているわけではないので、いいだろう、という勝手な判断だ。ウイスキーをストレートで。毎朝気づくと750mlのボトルが半分くらい空になっている。二日に一本の計算だ。体にはおそらく良くないのだろう。 良いの反対は悪いだ。 全然彼女ができない。僕は求めているけれどできない。人類は僕以外滅亡しているのではないかと思う。街に出ると実に多くの人がいるけれど、全ては幻影で、この世界に

          ホテル怒り天狗と微笑み天女

          ホテル オールハンドメイド

          なぜか朝早く目が覚めた。一般的にはこの時間を朝早いと言わないのは知っているけれど、僕の中では早朝とも言える時間だった。カーテンを開け、布団を畳み、音楽をかけ、水道水を飲み、パジャマからTシャツとハーフパンツに着替え、パソコンの前に座った。 「パジャマ」と「Tシャツとハーフパンツ」の違いはなんだろう、とぼんやりと考えた。どちらもTシャツとハーフパンツなのだ。寝る時に着ていればそれはパジャマなんだろうという結論に達するまでに、朝のぼんやりした頭では無駄に時間がかかった。 パソ

          ホテル オールハンドメイド

          お盆の時にお墓に持って行くサイズのビール「ホテル継続性/一時性」

          ラブホテルの本質について誰かにできるだけ丁寧に説明しようと思うと、二冊の本を読んでいる必要があるように思える。一冊は「テリー・ピーターソン」が書いた「ラブホテル論」であり、もう一冊は「リサ・リビエラ」が書いた「ラブホテル存在論」だ。 どちらも二回りほど前の時代の本になるし、アメリカでの話になるけれど、ラブホテルで最終的に行われることはいつの時代も、どの国でも変わらないのでぜひ興味がある方は読んでみるといい。専門的な本のため、どこの図書館にもあるということはまずないので、大き

          お盆の時にお墓に持って行くサイズのビール「ホテル継続性/一時性」

          フロントの横にピッツァ釜! 本格的なピッツァが食べ放題「ホテル ピッツァ」

          僕が家に帰ると彼女が来ていて、パソコンの前の椅子に座りコーヒーを飲んでいた。「おかえり、どこに行ってたの?」と彼女が言った。「ただいま、ラブホテルだよ」と僕は台所で手を洗い、一歩だけ横にずれて換気扇の下に行ってタバコに火をつけた。 「どんなラブホテルだった?」と彼女が訊いた。多くの場合、ラブホテルに行ったと伝えれば誰と言ったの? などの会話になると思う。しかも真昼間にだ。関係性によっては大きな問題になるかもしれない。 ただ彼女は僕の趣味を理解しているようで、そんなことは全

          フロントの横にピッツァ釜! 本格的なピッツァが食べ放題「ホテル ピッツァ」

          冬の日本海、幻が実在する街「ホテル二本足のユニコーン」

          冬の日本海を左手に見ながら僕は一人歩いた。空は曇り、波は高く、冷たい風が吹いていた。忘れ去られた国旗を掲揚するポールがカンカンと寂しい音を響かせていた。ポールに巻かれたロープが風で揺れ、ポールに当たりカンカンと鳴るのだ。辺りには誰もいなかった。道路だけれど自動車も走らない。十分すぎる間隔を空けて家がいくつか建っているけれど人が住んでいるのか判断するのは難しかった。鳥すら飛んでいない。僕だけがその景色の中にいた。 とても現実を感じる場所だった。同時に幻のような場所とも言えた。

          冬の日本海、幻が実在する街「ホテル二本足のユニコーン」

          日本ラブホテル探訪

          日本の各地にラブホテルがある。東京にもあるし、大阪にもあるし、岐阜にもあるし、島根にもあるし、北海道にだってある。ただ人々はラブホテルをビジネスホテルやリゾートホテルのように調べようとはしないし、詳しくなろうともしていない。 たとえば、どこかに旅行に行こうと思いガイドブックを買う。そのガイドブックには美味しいレストランや、行くべき観光スポット、泊まるべきホテルが紹介されている。そのホテルはリゾートホテルであったり、ビジネスホテルであったり、あるいは旅館だったりする。ラブホテ

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