血を吸う仮面の謎

高瀬 甚太
 
 「編集長、血を吸う仮面て、知ってます?」
 好奇心旺盛なフリーライターの結城隆は、時折、取材中に見聞きした話を私の元へ報告にやって来る。私もそういう手の話は好きだったので、ついつい聞き入ってしまう。この日もそうだった。
 「いやあ、知らないな。三流のホラー雑誌でなら目にしたことがあるような気がするが、現実にそんな話があるなんて考えられないからね」
 言下に否定したものの、もう少し聞いてみたい気持ちも片方にあったので、結城に尋ねた。
 「ところで、きみがそんな話を持ち込んできたところをみると、何か確証があるのじゃないか。それを聞かせてよ」
 結城は待ってましたとばかりに熱っぽい口調で「血を吸う仮面」の話を始めた。
 
 ――雑誌社の取材で淡路島と徳島を結ぶ鳴門海峡の近くにある卑弥呼島へ行った時のことです。その島は、神様が日本を創る時、最初に創られたと言われる島で、雑誌の特集企画『不思議発見!』の一つとして取り上げられることになり、私が取材に行くことになりました。
 取材前に編集部から『卑弥呼島には神様にまつわる不思議な話がたくさんあるから、それをまとめてくるように』と島の案内図をもらい、早速、出掛けたのですが、その島に到着するまでが大変でした。
 徳島の小松島港からフェリーが出ているということで、小松島港に行き、卑弥呼島に出発するフェリーの時間を訊ねると一日一便、午後12時しかないというのです。一日一便だと、島に住む住民は大変だろうなと思って船会社に聞くと、およそ三〇〇人が住む島だが、利用客がほとんどいないと言い、どうしてそんなに少ないのか聞くと、住民は島からほとんど出ないと言うのです。
 12時になってフェリーに乗り込むと、船会社がいったように乗客は私一人しかいませんでした。乗客が一人しかいなかったせいかも知れませんが、12時が過ぎてもなかなか出航せず、乗員にいつになったら出るのか、確かめると、『島の周辺が濃い霧に囲まれているようですので、少し時間を見合わせます』というのです。この日は本当によく晴れた日でした。海面を見ても霧など発生するように思えないほどの上天気です。乗員にそのことを話すと、乗員は困った顔をして、『卑弥呼島は普通の島ではないんです。時折、濃い霧に包まれて視界不能になることがたびたびで、そのため今までにもたくさん海難事故が起こっています。申し訳ありませんが、霧が晴れるまでお待ちください』と言うのです。
 卑弥呼島が普通の島ではないと、乗員は言いましたが、その時はまだ、私はそれほど深くその意味を考えてはいませんでした。
 船が出航したのは午後2時を少し過ぎた時間帯でした。待ちくたびれた私は、乗員に何分ぐらいで島に到着するかを確認しました。乗員は、『1時間、いや、2時間以内で着くでしょう』、と言います。島は小松島と鳴門の中間にあるはずです。1時間、いや2時間もかかるなんて信じられません。そこで乗員に確認すると、乗員は困った顔をして、『小松島と卑弥呼島の間の海流は日によってその激しさ、流れが違います。距離的にそう遠くなくても海流を乗り切るのに時間を要します。島に近付くと船の揺れが激しくなるので注意してください』と言うのです。信じられない思いで、海面を見つめました。海面はとても穏やかで、海流が激しくなるなんて、そんな予兆などまるでありませんでした。
 ところが、遠方に卑弥呼島の姿がぼんやりと見えてからのことです。突然、船が進まなくなりました。波とそれに伴う海流の激しさのためか、船は進行を妨げられて進んでは押し戻され、時にはくるくる回ったり、波の力で上に押し上げられてしまったり、あるいは下に沈んだりしてなかなか前に進みません。
 船がようやく卑弥呼島の桟橋に行き着いたのは出発して2時間後のことです。
 島はごく普通の島のように見えました。港に小さな集落があったので、そこの住人に村長さんはいらっしゃいますかと、尋ねることにしました。
 人口三〇〇人の島です。閑散として人の気配がまったく感じられませんでした。港に近い集落の一軒の戸を叩くと、八十は過ぎていると思われるお婆さんが出てきました。
 「村長さんにお会いしたいのですが」
 と聞くと、そのお婆さんは、笑顔で、
 「島の峠を越えたところにいらっしゃいますよ」
 と丁寧に教えてくれました。お爺さんも出て来て、
 「ようこそいらっしゃいました」
 と挨拶をしてくれるなど、とても親切で、特に変わったところなどないように思いました。私は、急いで海辺の集落から山に向かって登り、峠を目指しました。
 その時、ふと気が付いたのですがこの島には歩道しかなく、車道がありません。車などこの島では役に立たないのでしょう。そう思いました。
 15分ほど歩いた、峠から少し下りたところにある場所で旧家を発見した私は、その家の戸を叩きました。二度ほど叩くと、小柄で白い髭を蓄えた仙人のような風貌の老人が出て来て、
 「何か、ご用かな」
 と私に尋ねました。私は、応える代わりに、
 「村長さんでいらっしゃいますか?」
 と質問しました。すると、その老人は、
 「村長は今、留守にしていますが」
 と応え、再度私に、
 「ご用は何ですか?」
 と聞きます。
 私はこの村へやって来た目的をその老人に伝え、村長さんにお話を伺いたいと申し出ました。
 「村長はもうしばらくしたら帰って来ますから、どうぞ、中でお待ちください」
 老人の丁寧な対応に恐縮しながら、案内されて村長の家に入りました。
日本の古い家の佇まいをそのまま残した土間を通り抜け、奥にある部屋に招き入れられた私は、そこで不気味な飾り物に出会いました。
 怪しい仮面が壁面に数多く飾られていたのです。
 「すごいですね。この仮面は村長さんのコレクションですか?」
 老人に尋ねると、老人は、
 「そうです。村長は昔、長く東南アジアにいましたので、その時のコレクションです
 と言っていわくありげな笑みを浮かべました。
 宗教の匂いをまるで感じさせない、そんな仮面の数々を見ているうちに私は不思議な感覚に襲われました。信じられないでしょうが、その仮面がまるで生きているかのような、そんな錯覚を起こして戦慄したのです。
 でも、現実にそんな馬鹿げたことがあるはずもない。この家の雰囲気に呑まれただけなのだ。そう思い直して心を落ち着けました。
 村長が帰って来たのは、30分後のことです。わずか30分のはずなのに、私にはその時間が途方もなく長く感じられ ました。だから村長が帰って来たことを老人から伝えられた時は思わず安堵したものです。
 「いらっしゃいませ」
 障子が開いて村長がそう言って顔を覗かせた時、私は一瞬、ひるみました。異形といったらいいのでしょうか、赤黒い顔と、膨れあがった鼻、大きな鋭い目、角を生やしたら鬼になる、そんな風貌の人でした。しかも体格がいい、身長も高く、二メートル近くあるのではと思われる、まるでプロレスラーを思わせるような人物でした。
 「突然、お邪魔して申し訳ありません」
 目の前に立った村長に、私は深く頭を下げ、
 「この島にはたくさんの不思議が存在するとお聞きして、それを取材するためにやって来ました」
 と用件を述べました。
 「この島の不思議ですか? 別に取り立てて不思議なことはありませんよ」
 あぐらをかいて私の前に座った村長は、笑ってそう言いました。
 「この島は、神様が日本を創るに当たって、最初に創った島だと聞きました。それだけにこの島には、他にはない不思議がたくさん存在すると聞いています。ぜひ、それをお聞き願えればと思いまして――」
 村長は、困った顔をして考えた後、私に応えました。
 「そうですね。確かにこの島には日本誕生の際のそういったいわれが残されています。ただ、それが不思議かどうか、私にはわかりませんが……」
 村長が控えめに言うのを聞いて、私は、畳みかけるようにして、
 「どんなことでも結構です。話して頂ければ幸いです」
 と訴えました。村長は、私の熱意に負けたのか、
 「では、お話しましょう」
 と答え、話し始めました。
 「この島の形をご存知ですか? 上空から見るとよくわかるのですが、四国とまったく同じ形状になっています。しかも、四国四県と同じ場所に、同じ地名が残されています。たとえば香川村、徳島村、高知村、愛媛村といった具合です」
 「いやあ、初めて知りました。不思議ですね」
 「それ以上に不思議なのは、この島に住む住人の名前がすべて一緒だということです。この島は出入りが少なくて、新しい住民が入って来ることはまずありません。結婚も同じ島に住む人間と行うのが慣例になっていて、この島から一度でも出た人間は、二度と入ることはできません。昔からそういうしきたりになっています。ですから、現在は人数も減って、島は廃屋だらけになっていますよ」
 「全員、同じ名前なのですか?」
 「そうです。ちなみに私の名前は岩戸と言いますが、この島に住む全員が岩戸なので、下の名前で呼び合っています。ちなみに岩戸という名前は、神話の天の岩戸から来ていると言われています」
 「そうなんですか。やはり神様に由来しているのですね」
 「いやあ、そうとも限りませんが、そんな言い伝えが残っているというだけですよ」
 私は、この島を見て回りたいと村長に告げました。すると村長は、
 「よしなさい。霧が深くなっているから危ないですよ。昔からこの辺りは霧が深くなると事件が起きるんです。だから、村人は霧が深くなると家を出ません」
 と言います。
 「どうしてこの辺りだけ霧に覆われるのですか? 先程もフェリーが霧に包まれて立ち往生しました。おまけに霧と共に海流の流れも激しくなって――」
 疑問に思っていたことを村長に話すと、村長はしばらく沈黙しましたが、やがて思い直したような口調で、
 「霧は一種の警告なんですよ」
 とだけ言いました。
 「警告……ですか?」
 「そうです。下手をすれば命を奪われます。以前もあなたと同じようにやって来た取材の方が、止めるのを無視して霧の中に出て、断崖から落ちて命を亡くしました。この辺りの霧にはそういう怖さがあります。霧を甘く見てはいけません」
 村長は強い口調でそう語りました。私は村長に断って、窓を開けて外を見ました。いつの間にか一面の深い霧に包まれていて視界が閉ざされ、何も見えません。いや、これは霧というような生やさしいものではありませんでした。一種の生物のふるまいのようにも思えました。
 「わかりました。霧が晴れるまで外には出ないことにします」
 私がそう約束すると、村長は、
 「それが賢明です。あと小一時間もすれば霧は去ります」
 と言って私にお茶を促しました。
 この部屋に入った時から壁面を飾る仮面が気になっていましたが、霧が深くなるに従ってさらにその仮面の不気味さが増したような気がしたので、村長に尋ねました。
 「この仮面は、私が戦争で東南アジアに出征していた時に集めたものです。店舗で売られているものではなく、土地の原住民が大切に保管していたものを譲ってもらったもので、名のある人が創ったものではありません」
 しかし、壁面を飾る仮面には不思議な威圧感がありました。それでそのことを村長に聞きました。
 「威圧感ですか? 確かにあるかも知れませんね。この仮面には東南アジアの住民たちの怨念が込められていますから」
 「怨念と言いますと……?」
 「この仮面を頂いた原住民たちは、すべての人間が日本軍に滅ぼされています。私たちの兵は住民と親睦を深め、仲良くしていたのですが、後からやって来た軍の兵隊たちは違いました。住民の中にスパイがいると言い出して、一人残らず殺してしまったのです。残酷な話です。その住民たちが死ぬ前に私にプレゼントしてくれたのがこの仮面です。いただいたのは私一人ではなかったのですが、他の者はすべて悲惨な最期を遂げています。私一人が幸運にも無事で、その際、他の人たちが持っていた仮面がいつの間にか私の元に届けられ、今、こうして私の家の壁面を飾っているというわけです」
俄には信じがたい村長の話でしたが、壁面を彩る仮面の苦渋の表情を見ていると、信じないわけにはいきません。
 霧はさらに深くなってきました。窓の外が暗く重く、昼間だというのに、まるで夜の底に沈んでいくようにも見えました。
 「今日はどうなさいますか? このままでは船も出ないし、外にも出られませんよ」
 村長に聞かれて絶句しました。一日一度しか出ない5時の便で小松島港へ帰るつもりでいたからです。こんな怪しい島から一秒でも早く抜け出したい、今は不安が先に立ち、その思いで一杯でした。
 夜と見まがうような漆黒の光景が窓の外を包んでいました。時間はまだ3時になったばかりです。
 「今晩、ここに泊まって行って、明日、帰ればいい」
 村長はそう言い置いて、部屋を出て行きました。そうするしか方法がないように思えました。私は一晩、村長の家でやっかいになることにしました。
島を見て回ることこそ出来ませんでしたが、原稿は八割程度、書くことができました。村長に聞いた話のすべてが記事になったからです。
 ある程度原稿が書けたところで、出版社に連絡を取ろうとしましたが、携帯が繋がりません。この島は電波の届かない地域のようです。
 午後7時、老人が食事を運んで来てくれました。魚料理と煮物、思わぬごちそうに感激しました。
 老人に尋ねました。
 「村長のお父様ですか?」
 すると老人は、
 「いや、わしはただの使用人です。先代からずっとこの家に住み着いております」
 と応えます。
 「では、やっぱりあなたも姓は岩戸ですか?」
 「そうです。わしは岩戸洋右、村長は岩戸悠仁です」
 老人に、この家には他に家族はないのかを尋ねると、
 「奥さんがおられたが三年前に亡くなりました。子どもは二人いましたが、どちらも島を出て、今は消息が掴めません」という。
 「一度、島を出ると帰ることが出来ないと聞きましたが、息子さんたちもやはりそうなのでしょうか?」
 「そうです。例外はありません。風の噂によれば一人は大阪でサラリーマンをして、もう一人は静岡で教師になっていると聞きましたが、便りなど一切ありません」
 それでは……、と席を立ちかけた老人に、私は、
 「壁に飾られている仮面ですが、何となく薄気味悪いですよね」
 と話すと、老人はしばらく壁に飾られた仮面を眺めていましたが、ふと我に返って、
 「お客さん、この仮面は皆、生きているんですよ」
 と言います。私は慌てて、
 「生きているってどういうことですか?」
 と訊ねました。すると、老人は、
 「夜中になればわかります」
 とだけ言って部屋を出て行きました。
 仮面が生きている……? 信じられない話を聞いた私は急に寒気がして、その場に蹲りました。
 それでも昼の疲れが出たのか、食事をすると急に眠くなってきました。再び老人がやって来たのが2時間後のことでした。老人は風呂に入るよう促し、その間に布団を敷いておくと言いました。
 「村長さんは?」
 気になったので老人に訊ねました。老人は、平然と、
 「村長は見回りに行っています」と応えます。
 時刻は午後11時を過ぎています。こんな時間に見回りなんて、と思った私は、
 「見回りって――、一体どこの見回りですか?」
 と聞きました。
 「島の村々をですよ。何しろ年寄りが多いですからね。一日一度は見回らないと何が起こるかわかったもんじゃありませんから」
 老人はそれだけ言うと、
 「どうぞ風呂に入ってお休みください」
 と布団を敷き始めました。
 風呂は、この家の一番奥まった場所にありました。家の様子からして五右衛門風呂ではないかと心配しましたが、普通のどこの家庭でもあるような風呂だったので安心しました。
 湯船に浸かっているうちに、少しは気が晴れました。風呂から上がって部屋に戻った私は、急いで布団に潜り込み、電気を消すと自然に深い眠りに陥りました。
 その日の夜半のことです。怪しい気配がして、思わず目を覚ましました。真っ暗な部屋の中に何かしら人の気配がするのです。その気配がどんどんこちらに近付いてきます。私は、意を決して飛び起き、電気を点けました。
 だが、部屋の中には何も存在しませんでした。安堵のため息をついた私は再び眠ろうとして、電気を消そうとした。その時のことです。壁に飾られた仮面を見て驚きました。
 飾られていた位置が変わっているように思えたのです。仮面の位置をはっきりと把握していたわけではありませんが、眠る前の印象と明らかに違うような気がしました。でも、仮面が一人歩きするわけがありません。そう思い直して再び眠りに就きました。
 朝、老人に起こされて目を覚ましました。それまでしっかりと熟睡したような気がします。しかし、なぜか、体のあちこちが傷むような気がして、腕や足、胸、お腹を見ると、蚊に刺されたような跡が残っているのです。痒いわけでもなく、痛いわけでもなかったので、気にしなかったのですが壁面に飾られた仮面を見て、腰を抜かしました。
 位置こそ最初の位置に戻っていたものの、それぞれの仮面の口元から血が滴り落ちているではありませんか。私は驚いて老人を呼びました。
 老人は私を見て、
 「やられましたか」と言い、
 「でも、安心してください。害はありませんから」と言います。
 「この仮面は生きていると申し上げたでしょう。本当に生きているの  です。仮面の生命をつないでいるのは人間の生き血です。毎日ではありませんが、時折、血を与えないと凶暴になって人を襲いかねません。ですから、時折、人間の生き血を与えなければならないのです。ですが、私たちや村人の血では追いつきません。幸い、昨日はあなたが来られて泊まって行かれました。そのおかげで、仮面たちは新鮮な血を吸うことが出来て満足しています。これで三カ月は大丈夫でしょう。村長も喜んでおります」
 唖然として老人の話を聞いていました。信じられない話です
 私には、血を吸われた感覚はまるでありませんでした。体のあちこちの傷が気になったぐらいです。ただ、朝から貧血気味なのが気になって、そのことを老人に伝えました。
 「食事を用意しています。レバーとほうれん草をたっぷりご用意していますのでしっかり栄養を摂ってくださいませ」
 老人は笑顔でそう言うと、食事を用意した部屋へ私を案内しました。
 「村長さんはおられないのですか?」
 食事をしながら老人に聞くと、老人は、
 「村長は、医師と坊主を務めていますので、毎日、忙しいのです。ただ、この村の人たちは、あの仮面に救われています。だからみんな元気です」
と言います。
 「仮面は、生き血を吸う代わりに吸った人間を健康にしてくれます。あなたもきっとこれから先、大病などすることはないでしょう」
 老人は笑ってそう言いました。
 村長に挨拶できないまま、私は老人に見送られて小松島港行きのフェリーに乗りました。来た時とは打って変わって、霧もなく、海流も穏やかで、船はスムーズに小松島港へ向かうことができました。
 
 結城隆は話し終えると、仮面に吸われたという傷跡を私に見せた。ずいぶん小さくなってはいたが、無数の傷跡が、体のあちこちに残されていた。
 「それで健康の方はどうかね?」
 と訊ねると、結城は、
 「ええ、それが風邪一つ引きません」
 と言って力こぶをつくってみせた。ただ、結城によれば、仮面に血を吸われたという話の部分は雑誌社でボツにされたという。
 「嘘を書くな、と言って叱られました」
 と言って、不満げな表情を見せ、
 「編集長は信じてくれますよね」
と私に向かってすがるような口ぶりで言った。
〈了〉

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