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沈水香木
2019年1月6日 23:37
店には23時前に着いた。菓子店はシャッターが閉まったまま、街の灯りに埋もれるようにして、静かに息を潜めている。磨りガラスの窓に灯りはなく、白玉団子みたいな女は、まだ出勤してないようだった。 店の路地を歩き、勝手口だと思われる扉を見つけた。 店の外観と寸分違わず、くたびれた扉だ。金属製のドアノブは試しに回してみると、今にも取れそうな音を立てた。鍵は閉まっている。こんなぼろい扉でも、一応はその役
2019年1月2日 22:01
あの女、薬でも盛りやがったか。 幻覚症状が抜けないまま、朝っぱらから外に出るのは危険なんだろうが、左腕以外は至って正常に思える。よし、ナメた真似してくれたあの女、シメに行こう。 ショップカードに書かれていた場所は、たしかに女の言う通り繁華街から少し離れていた。新しく見えるビルの合間に、朽ちかけた商店が息も絶え絶えに生息する混沌。 女の店は、閉店中なのも相まって、夏の明るさにそぐわない陰気さ
2019年1月1日 21:08
射殺す日差しを身に受けるこの街の人間が、等しく俺みたいになればいい。 アスファルトからせり上がってくる熱気はこんなに暴力的なのに、朝の通勤のためスーツ姿や化粧で武装している中年男や女どもは、みな二足歩行で前を向いて歩いている。忌々しい。中途半端に生え散らかしているビルから垣間見える空は、晴天。ガキの頃図工で使ったセロファンみたいに透き通った青だ。偽物じみた爽快さ。反吐がでる。 俺は閉店した