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反イスラム感情による犯罪が増加するドイツ|毎日平均2件以上のヘイトクライムが発生

コロナ禍にもかかわらず前年比2%増

2020年、ドイツで記録されたイスラム教徒およびイスラム教の施設に対する憎悪犯罪数が前年のそれを上回った。少なくとも901件のイスラム憎悪と反イスラム感情による犯罪が起きており、2019年はその884件だったという。この数は連邦内務省による報告に基づいており、今後の調査によってまだ増える可能性がある。

ドイツでは、ネオナチや極右政党であるドイツのための選択肢(AfD)の主張などに後押しされ、近年人種差別と反イスラム感情が拡大している。そのため、主な加害者は過激派右翼によるものだ。

2020年には48人が負傷し、2019年の34人を上回ったが、同年には2名が死亡している。一方、2020年はコロナ禍で外出する機会が減少したにもかかわらず、モスクへの落書きが77回あったほか、脅迫や女性がかぶっているヒジャブの引き裂きなどの犯罪が増えた。しかし、これは氷山の一角に過ぎないという。

ヘイトクライム対策強化に予算1260億円

ドイツの人口は8100万人いるが、470万人がイスラム教徒であり、そのうち300万人がトルコ系だ。2020年11月の人種差別と警察官による暴力に関する報告によると、故意にトルコ人を標的とする「トルコ人狩り」が行われていることも明らかになった。ヨーロッパのトルコ人コミュニティは、とくに西欧諸国におけるイスラム憎悪の高まりを懸念しており、各国にヘイトクライム対策を強化するよう求めている。

このような背景から、2020年末にはドイツ連邦政府が国内における人種差別や過激派右翼への対策を強化させることを誓った。具体的には、民主主義プロジェクトや人種差別およびイスラム憎悪に関する研究、被害者の保護強化などが計画されている。これらの計画には、2021〜2024年の期間に10億ユーロ(1260億円/1ユーロ126円換算)以上の予算が注ぎ込まれるという。

参考:zeit.de「Islamfeindlichkeit: Zahl der Angriffe auf Muslime erneut gestiegen」spiegel.de「Islamfeindlichkeit in Deutschland: Mehr als 900 Angriffe auf Muslime und Moscheen im Jahr 2020」kulturpoebel.de「Im Jahr 2020 Wurden In Deutschland Über 900 Anti-Muslimische Angriffe Verzeichnet」

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